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スティーラーズとともに「今すぐ勝つ」ためにより高額なオファーを断っていたLBクイーン

2024年05月28日(火) 12:08


パトリック・クイーン【NFL】

このオフシーズン、ラインバッカー(LB)パトリック・クイーンは伝統的なAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)北地区のライバル同士の間でチームを移った。そして、そうするために他のチームからのより高額なオファーを断っていたことが判明している。

ボルティモア・レイブンズからピッツバーグ・スティーラーズに移籍したクイーンは、昨シーズンにキャリア初となるプロボウル選出およびオールプロのセカンドチーム選出を果たした。その後、今年3月にフリーエージェント(FA)市場に出たクイーンは、スティーラーズと3年4,100万ドル(約64億3,189万円)の契約を締結。クイーンがこの決断をしたのは、スティーラーズでチャンピオンシップを勝ち取れると信じているからだ。

クイーンは先日、ポッドキャスト“Steelers_DB(スティーラーズDB)”に出演した際にフリーエージェントでの道のりについて、「15チームと交渉する機会があったんだけれど、最終的に5チームくらいに絞られた」とコメントした。

「5チームが残った感じだ。そのうちのいくつかのチームは年俸1,700万ドル(約26億6,742万円)を提示していたんだ。あとは優勝を目指すか、より高い給料を得るかのどちらかを選ぶ機会があった。俺にとっては400万ドル(約6億2,764万円)か500万ドル(約7億8,462万円)の違いだ。こういう条件を見ながら、今まで負け越しのチームにいたことはないし、今は勝ちたいから、再建するチームの一部にはなりたくないって思ったんだ。俺は本当に今すぐ勝ちたいし、それを実現させたあとで報酬を得たいんだ」

スティーラーズがクイーンに対する提示額を本当に他のチームよりも低くしていたとしたら、彼らが勝利の文化と常に卓越したディフェンスを誇る歴史によってクイーンをブラック&ゴールドに招くことができたのはとても幸運だった。昨季にキャリア最高のタックル133回を記録したクイーンは、ラインバッカーのT.J.ワットやアレックス・ハイスミスが相手に与える混乱をうまく活かせる理想的なオフボールラインバッカーだ。

さらに、いずれにせよクイーンは自分の働きに対して高額の報酬を受け取ることになる。現在、クイーンの平均年俸は1,360万ドル(約21億3,299万円)であり、これはラインバッカーの中で5番目に高い額だ。

同じポジションで最高の報酬を得ているのは、2022年シーズン終了後に契約延長したレイブンズのロクアン・スミス(年額2,000万ドル/約31億3,675万円)であり、結果的にスミスとクイーンのコンビは終わりを告げた。

今後、クイーンは年に2回、敵チームのカラーをまとった状態でスミスをはじめとする元チームメイトと対戦することになるが、優勝を目指す上で最大の障壁の1つはかつての仲間だと言えるだろう。

レイブンズは昨年のMVPに輝いたクオーターバック(QB)ラマー・ジャクソンを擁し、リーグ1位のスコアリングディフェンスを保持した状態で2024年シーズンを迎える。また、昨季のカンファレンス第1シードでもあったレイブンズは、スーパーボウルには届かなかったものの、スティーラーズが切望する地区王者の座には依然として君臨している。

一方のスティーラーズはマイク・トムリンがヘッドコーチ(HC)を務める17年間で未だ負け越したシーズンは一度もないものの、ここ5年以上は真の優勝候補には上り詰めていない。スティーラーズは2018年以降、AFC北地区を制したのは1回だけであり、その間に3回のプレーオフ進出を果たしているものの、ワイルドカードラウンドより先に進めていない。

今オフシーズンの焦点は再び行き詰まらないようにすることにあった。クイーンはディフェンス側におけるチームの大型補強を象徴した存在だ。その一方で、QBラッセル・ウィルソンとジャスティン・フィールズが新たに加わったことで再編成されたクオーターバック陣は、今年ドラフトされた才能あるルーキーによって強化されたオフェンシブライン(OL)の後ろで安定したプロテクションを見いだせるだろう。

スティーラーズはここ数年よりも明らかに高い競争能力を持っており、ライバルであるレイブンズとの初対決までに、その動きが実を結んでいるかどうかを見極めることができるだろう。両チームが対決するのはシーズンの後半になってからであり、スティーラーズはクイーンをドラフト指名したレイブンズとシーズン第11週にホーム、第16週にアウェーで対戦する。

クイーンはこれまでのシーズンでの対決について「その週、スティーラーズとレイブンズが対戦する週は、間違いなく一番盛り上がる週だ」と話し、こう続けた。

「激しい試合なんだ。すべてがハイリスクだ。練習ではコーチが叫んだり騒いだり、いろいろしている。誰もがどんな試合になるかを知っているからね。今はこっち側にいるから、逆の立場になる。だから、今度はこっち側で同じことをするんだ。彼らがそういうことを期待しているのは分かっている。正直に言って、俺は待ちきれないよ」

その時には、NFL最高の選手の仲間入りを果たせるような、そして、念願の優勝リングに近づけるような形でシーズンの半ばが過ぎていることを、クイーンは目指している。

クイーンは2024年に向けての個人的な願望を次のように詳しく語った。

「俺にとっての目標は、NFLのトップ3のラインバッカーとしての地位を確立することだ。トップ3という人もいれば、トップ10という人もいるし、トップ7という人もいる。だから——それがトップ何であろうと——今年の俺の目標は確実にトップ3に入ることだ。順位は関係ない。トップ3にしっかりと入れればそれでいい。それが俺の目標だ。そして、それに付随してオールプロやプロボウル、タックル、ターンオーバーがある。ターンオーバーが一番大きいと思う。ファンブルフォースであれ、インターセプトであれ、何でもいいからボールに触れることが重要だ」

【KO】