ワシントン・コマンダースのオーナーであるダン・スナイダーは現地3日（木）、ワシントンD.C.で行われた円卓会議で受けた申し立てを否定した。これには元職員による職場での不正行為の疑惑も含まれている。

2002年から8年間にわたってチアリーダーやマーケティングマネージャーとしてチームに所属していたティファニ・ジョンストンは円卓会議で、スナイダーにチームの夕食会で同意なしに太ももに手を置かれたことや、腰に手を当てられてリムジンの方へ押されたことがあると明かした。ジョンストンはこれまで、メディアや捜査当局にこれらの疑惑を明らかにしていなかった。

監査・政府改革委員会の議長を務めるキャロリン・マロニー議員は、ジョンストンの証言を裏付ける、別の元チーム職員であるジェイソン・フリードマンの書簡を読み上げている。

円卓会議で指摘された疑惑に対して、スナイダーは以前に組織内で起きた“不正行為”について謝罪する声明を発表したものの、「私個人に向けられた」疑惑は「真っ赤なうそ」だと述べた。

「私は過去に何度もチームで起きた不正行為と、大切な従業員の一部が被った被害について認め、謝罪してきた。このような行為があったことを本日、改めてお詫びするとともに、被害に遭われ、名乗りを上げてくださった方々を全面的に支持している。2020年にこのような事件が発生したことを知り、チームは独自に方針や手順、人員の見直しを行ってきた。実際に変化が起こり、この18カ月でチーム文化が大きく向上したとチーム従業員が認めている」

「チームでの過去の行為は容認できるものではないが、今日の円卓会議で私個人に向けられた疑惑――多くが13年以上前のもの――は真っ赤なうそだ。私はいかなる時も、いかなる人に対しても、そのような行為に関与したことを明確に否定する。ターニャ（スナイダー夫人／共同CEO）と私は、過去18カ月間を通じてチームで起きた人事面と文化面の前向きな変化、そしてわれわれがフィールド内外で起こし続けている変化を、その真逆の議題によって邪魔されることはない」

NFLはジョンストンの申し立てを「職場の不正行為に関する他の新たな申し立てと同様に」検討し、「必要に応じてさらなる措置を決定する」と述べた。

NFLのスポークスマンであるブライアン・マッカーシーは木曜日に声明の中で次のようにコメントしている。「今回も勇気を出してつらい体験を語ってくださった証言者に感謝する。NFLはジョンストンさんの申し立てを再調査中であり、ワシントン・コマンダースの職場の不正行為に関する他の新たな申し立てと同様に検討する予定だ。必要に応じてさらなる措置を決定していく。今回の証言はすべての従業員がいかなる種類のハラスメントからも解放され、不正行為を安心して報告できる職場環境を享受するに値することを強調するものだ」

木曜日の円卓会議で明かされた疑惑の数々には次のようなものが挙げられる。チームで働いている女性たちが何度も体を触られたり、下品な言葉をかけられたりしたこと。チアリーダーが球団幹部や顧客にいやらしい目つきで見られ、容姿を理由にスナイダーに解雇されたこと。チームの映像制作部門がスナイダーの命令で、カレンダー用の撮影で密かに撮っていた映像を使って、チアリーダーたちの性的に露骨な映像を編集していたこと。

2020年7月にスナイダーが依頼したチームの職場環境に関する調査は、同年8月末にNFLに引き継がれた。弁護士のベス・ウィルキンソンの事務所による調査の結果、2021年7月にリーグは当時のワシントン・フットボール・チームに1,000万ドル（約114億9,000万円）の罰金を科し、スナイダーは一時的にチームの日常的な運営を妻のターニャに任せている。

コマンダースの元従業員や議員たちは、木曜日にNFLとコミッショナーのロジャー・グッデルに対し、チームのセクシャルハラスメント疑惑と敵対的な職場風土についての報告書を公表するよう圧力をかけた。彼らはチームとスナイダーの責任が問われていないと主張している。

『Economic Club of Washington（ワシントン経済クラブ）』に出席した際、慈善家のデビッド・ルーベンスタインに議会からの監視について質問されたコマンダース社長のジェイソン・ライトは、チームの職場における問題は自分が着任する前に起きていたとコメント。ライトはNFLで唯一の黒人球団社長であり、彼が築き上げてきたスタッフの多様性を強調している。

ライトは「このリブランドの期間とわれわれがここにいた期間は、組織の中でとても速く、とても深く、そして不可逆的な変化の時期と重なっている」と語った。

【RA】