先発争いへの準備に励むカーディナルスの新人QBカーソン・ベック
2026年06月19日(金) 12:36
一年の中でもこの約40日間だけは、アリゾナ・カーディナルスの練習施設に静けさが訪れる。砂漠の強い日差しを浴びる駐車場には数台の車しか見られない。
そのうちの1台は、カーソン・ベックのものだ。
この夏、ルーキークオーターバック(QB)のベックは、自身初のNFLシーズンに向けてのんびりと休みを取るつもりはない。新ヘッドコーチ(HC)マイク・ラフルアーの信頼を勝ち取ることができれば、きたるシーズンに出場機会を得るチャンスが巡ってくるかもしれないからだ。
「本音を言えば、気楽に始めたくはなかった。今は1日13時間ここにいる」とベックは明かしている。
マイアミ大学出身でドラフト3巡目指名のベックは、攻撃コーディネーター(OC)ナサニエル・ハケットとフットボールについて語り合い、元NFL選手であるQBコーチのマット・ショーブとともに映像を分析している。ベック自身も大学時代とはかなり違うと認めるプロの複雑なスキームを学びながら、プレーブックを読み込んでいる。
「身体的にどれくらい順応する必要があるかは分からない」とベックは語った。
「ただ、メンタル面での違いは大きい。プレーに慣れて、レップスを重ねれば重ねるほど、フィジカル面は自然とついてくるはずだ。これまでの人生で何千回もフットボールを投げ、何千回もディグインルートやアウトルート、ゴールートを投げてきた」
「今はそこにタイミングや周りとの意思疎通、そして理解力を組み合わせている段階だ」
7月22日(水)に始まるトレーニングキャンプで、24歳のベックはベテランのジャーニーマンであるジャコビー・ブリセットやガードナー・ミンシューと、3人によるQB争いを繰り広げることが予想されている。ロースターにはケドン・スロヴィスも名を連ねる。
33歳のブリセットは昨季、足を負傷したカイラー・マレーに代わって12試合の先発を含む14試合に出場し、3,366ヤード、タッチダウン23回、インターセプト8回を記録している。そのことから、今秋に向けた先発争いで一歩リードしているとみられていた。
問題は、ブリセットが自身の契約状況に不満を抱いている点だ。今季の保証額はわずか150万ドル(約2億4,177万円)にとどまっており、先週の参加必須のチーム合同練習(OTA)には合流しているものの、その前に行われた任意参加のワークアウト期間中はチームから離れていた。
ブリセットは練習に参加せず、フィールド上でドリルを見守っていた。
そうなると、最も先発の可能性が高いのは、約500万ドル(約8億590万円)の保証を含む1年575万ドル(約9億2,678万円)の契約で獲得した、もう一人の経験豊富なベテランであるミンシューかもしれない。任意参加のワークアウト中に多くのスナップに参加した30歳のミンシューは、インディアナポリス・コルツ時代に13試合に先発して2023年のプロボウルに選出されるなど、キャリアの随所で成功を収めてきた。
一方で、最も伸びしろがあるのはベックだろう。
ロサンゼルス・ラムズの攻撃コーディネーターとして3年間、テンポの早い攻撃スタイルを展開したラフルアーにとって、これは興味深い状況と言える。
「今は(誰が先発QBになるかについては)それほど気にしていない」とラフルアーは言う。
「私が気にしているのは、彼らが7月22日に集合することと、それまでの40日間だ」
カーディナルスにとって一つの好材料は、オハイオ州カントンで8月6日(木)に行われるプレシーズンゲームのホール・オブ・フェイムゲームに出場するため、トレーニングキャンプ中に1週間多く練習できることだ。
ベックはその試合で、自身の能力を示すために多くの出番があると考えている。
「そのことはすでに頭にある」とベックは話している。
「オフといっても、大した休みにはならない。当然、俺たちはハードに動くつもりだ。これは俺個人の意見だけど、他の選手たちも同じ考えだと思う。自分たちに課せられた使命は分かっているし、俺自身は特にそう感じている。実戦に向けて、確実に準備を整えておくつもりだ」
カーディナルスのQB陣の動向の背景には、大学生の有望株ブレンダン・ソーズビーがNFLの補完ドラフトにかかる可能性がある。
多くの関係者がドラフト1巡目級の逸材と評価するこの有望株について、カーディナルスは獲得に興味があると明言していない。しかし、チームが関心を寄せる理由は容易に想像がつく。
現時点では、7月下旬にベック、ミンシュー、ブリセットの3人が火花を散らす構図になりそうだ。
競争がすでに始まっていることをラフルアーも認めている。
「激しさは増していると思う」とラフルアーは先週にコメント。
「毎日が競争だ。OTAからトレーニングキャンプにかけて緊張感が変わるべきではない。変わることと言えば、防具を着用して実際にフットボールをプレーするようになるため、自然とフィジカル面の激しさが上がることくらいだ」
【R】



































