カロライナ・パンサーズを2シーズンにわたって指揮してきたヘッドコーチ（HC）マット・ルールはこれまで期待に応えてこなかったが、今のところ、職を失うような状況ではないようだ。

ルールHCは報道陣に対してオーナーのデビッド・テッパーと現地10日（月）に将来について議論したと明かしたが、それ以外の関連する詳細事項については話していない。チームは来季もルールHCをヘッドコーチとして在籍させる意向のようだが、シーズン中に攻撃コーディネーター（OC）ジョー・ブレイディを解雇したパンサーズは、このポジションに空きがある状態だ。

パンサーズは先発クオーターバック（QB）をはじめとし、他のポジションでも解決すべき問題を多く抱えている。2021年にパンサーズに復帰したQBキャム・ニュートンは2022年に再び活躍するかもしれない。パンサーズのジェネラルマネジャー（GM）スコット・フィッタラーは報道陣に対し、初めてニュートンを直近で見てきて気付いた彼の実力を絶賛しつつ、カロライナはQBを呼び戻すことに前向きだと語った。

『The Athletic（ジ・アスレチック）』のジョー・パーソンによると、フィッタラーは「キャム（ニュートン）を外から見ていた。実際に会って、これほど感動した選手はこれまでにいない」と述べたという。

しかし、ニュートンはチームに戻る心構えはできていないようだ。

『ESPN』によれば、ニュートンは「この先、5勝12敗には戻らない。今だから言える。勝つためなら賛成。そうじゃないなら、乗らないよ」とコメントしたという。

ニュートンは爆発力に欠けるオフェンスの一員として先発した試合で1勝もできなかった。もちろん、2シーズン連続でRBクリスチャン・マカフリーが途中離脱したことも影響しているだろう。マカフリーは2020年と2021年を合わせて10試合しか出場しておらず、マカフリーがいなくなるとパンサーズが著しく悪いチームになるのは明らかだ。

意外にも、パンサーズは他のどのランニングバック（RB）よりも多く年俸を支払っているマカフリーを維持することに必死になっているわけではない。シーズンあたり約1,600万ドル（約18億5,000万円）を受け取っているマカフリーは、ケガからの復帰を目指す間も多額の報酬を得ている。パンサーズは投資のリターンをまともに得ておらず、過去2シーズンはほとんど成果を確認できなかったため、移籍を検討すらできなかった。

フィッタラーは月曜日に報道陣に対し、パンサーズにはマカフリーがいたほうがいいと語っており、クラブは彼をトレードするつもりはないと強調した。トレードすればパンサーズは2022年に1,850万ドル（約21億3,000万円）のデッドキャップを背負うことになるため、トレードしたくてもマカフリーに巨額の報酬を支払っているパンサーズには難しいのだ。ルールHCはマカフリーが来季もチームに残ることを「完全に期待している」と述べている。

2022年はマカフリーがシーズンの半分以上に出場することを期待しながらその復帰を待つのが無難だろう。誰がクオーターバックを務めるにせよ、パンサーズはマカフリーを使えるようになることを望んでいるはずだ。QBサム・ダーノルドは2021年にこの教訓を、身をもって知った。

パンサーズは2021年に5年目オプションを行使した際にダーノルドに期待を寄せていたが、ダーノルドは成績とケガによる欠場でそれを裏切っている。

ダーノルドの将来について聞かれた際に言葉に詰まってしまったルールHCは、パンサーズがダーノルドの5年目のオプションを早く行使した理由について、ダーノルドの5年目のサラリー（1,885万8,000ドル／約21億8,000万円）が比較的、手頃であったためだと説明するにとどまった。ダーノルドはもちろん、パンサーズの決断が賢明であったと証明するようなプレーを見せておらず、チームはまたもクオーターバックの定まらないシーズンを送ることになりそうだ。

ダーノルドの契約は2022年まで保証されており、チームが彼を放出した場合は、マカフリーと同様のデッドキャップペナルティが課される。新年を迎えるにあたり、パンサーズとすでに契約しているクオーターバックはダーノルドとP.J.ウォーカーの2人だ。

パンサーズの問題にはいずれも簡単な答えがないが、ルールHCに今季終盤に経験したような連敗を再び喫する余裕はないと言えよう。今季は免れたとしても、また7連敗すれば2022年に職を失ってもおかしくはない。同じような状況を避けるために、パンサーズはロースターとスタッフを改変しつつ、実りあるオフシーズンを過ごす必要がある。ルールHCにはもう時間が十分に残されていない。

【RA】