プロ野球選手のジャッキー・ロビンソンがブルックリン・ドジャースで歴史的デビューを果たした1947年の1年前、黒人フットボール選手4人組が1930年代初頭から立ちはだかっていたプロフットボールの人種の壁を打ち破った。

1946年にプロフットボールにおける差別を改めて撤廃し、“忘れられた4人”として知られているマリオン・モートリー、ウッディ・ストロード、ケニー・ワシントン、ビル・ウィリスに今回、プロフットボールの殿堂のラルフ・ヘイ・パイオニア賞を授与されることが決定している。

エンシュラインメント（殿堂入り）ウイークには現地8月5日（金）にゴールドジャケットディナーが行われ、8月6日（土）にトム・ベンソン・ホール・オブ・フェイム・スタジアムで2022年プロ・フットボール・ホール・オブ・フェイム・クラスの祭典が開催される予定だ。

殿堂の会長を務めるジム・ポーターは声明で次のように述べている。

「この4人がラルフ・ヘイ・パイオニア賞の受賞者に選ばれたことは、これ以上ないほどふさわしいことだ。個人としても集団としても、彼らはプロフットボールの人種差別の壁を破り、長年にわたる人種隔離に終止符を打つことで、プロフットボールの歴史において最も大きな文化的転換をもたらした。彼らの先駆的な役割は後に続く何世代ものNFL選手にチャンスを与えただけではなく、ゲームを永遠に変えたのだ」

1972年に創設されたラルフ・ヘイ・パイオニア賞は、過去9回しか授与されていない賞であり、“プロフットボールへの意義深い革新的な貢献”が評価されて贈られる。この賞は1920年にカントンでNFLの形成会議を開催したカントン・ブルドッグスの元オーナーの名前にちなんで名づけられた。

1920年にフリッツ・ポラード、1922年にデューク・スレーターがプロフットボールにおける人種差別の壁を破ったが、その後に再び差別撤廃のきっかけを作ったのがモートリー、ストロード、ワシントン、ウィリスだった。

1968年と1977年にそれぞれ殿堂入りを果たしたモートリーとウィリスは1946年にクリーブランド・ブラウンズに入団している。一方のワシントンとストロードは同年にロサンゼルス・ラムズに入団した。

ストロードはプロとしてはラムズで1年プレーしただけだが、知名度は最も高いかもしれない。カリフォルニア大学ロサンゼルス校（UCLA）でロビンソンやワシントンと共に1939年のブルーインズ・フットボールチームで活躍したストロードは、カナディアン・フットボール・リーグ（CFL）でも成功を収めた。第二次世界大戦中はアメリカ陸軍航空隊に所属し、後に俳優としてのキャリアを築く。『Spartacus（スパルタカス）』でゴールデングローブ賞の助演男優賞にノミネートされたストロードは、1941年から1995年にテレビドラマや映画で100近い役を演じた。また、プロレスの世界でも“シェリフ・ウッディ”として名を馳せており、『Toy Story（トイ・ストーリー）』の主人公の名前はここから取られている。

ハーフバックのワシントンは膝の負傷の影響を受け、プロキャリアでは3シーズンしかプレーしていない。UCLA出身のワシントンはキャリアを通じてキャリー平均6.1ヤード、通算859ヤードをマークした。

モートリーとウィリスはブラウンズ王朝における重要な存在であり、4回のオール・アメリカ・フットボール・カンファレンスチャンピオンシップ戦と1回のNFLチャンピオンシップゲームに登場している。

オールプロに2回、プロボウルに1回選出された傑出したフルバックだったモートリーは、ラッシングタイトルを2度獲得したパワーランナーであり、クオーターバック（QB）オットー・グラハム率いるパスゲームのパワーブロッカーでもあった。モートリーは4,720ラッシングヤード、タッチダウン31回を記録してキャリアを終え、フットボールの殿堂のオール1940年代チームのメンバーに入っている。

モートリーと一緒にオール1940年代チームに入ったのがガードおよびディフェンシブガードをプレーしたウィリスで、そのキャリアの中でオールプロに3回、プロボウルに1回選出された。

“忘れられた4人”の全員が、その死後に功績を認められている。

【ラルフ・ヘイ・パイオニア賞受賞者一覧】

【RA/A】