スーパーボウルMVPを受賞し、その功績が称えられて銅像にもなったクオーターバック（QB）ニック・フォールズ。彼がNFLで成し遂げてきた輝かしい経歴は他のどの選手と比べても引けを取らないと言える。

しかし、彼の現時点における完ぺきなシチュエーションは、インディアナポリス・コルツのヘッドコーチ（HC）フランク・ライクの下でプレーし、同じくベテランQBのマット・ライアンのバックアップを務めることのようだ。

『FOX 59』のマイク・チャペルによると、フォールズは現地25日（水）に「ずっとプレーしたいと思っていたけど、今年はどこかでゆったりとプレーするつもりはなかった」と明かしたという。「ただひたすら努力を楽しめるところに行きたかった。できれば、自分が知っている人がいて、スキーム的に楽しみながらプレーできそうなところに加わりたかった」

「ここは自分の最有力候補だったんだけど、必ずしも実現するとは限らない。うまくいって、ここにいられることに感謝している」

フォールズの第一希望がコルツだったことにライクHCの存在は間違いなく関係している。一方で、ライクHCもコルツが最高のバックアップQBを獲得できたと考えていた。選手としてそれぞれベンチから出て輝きを放ってきたライクHCとフォールズは、それを十分に理解していたのだ。

ライクHCは「私がニックを欲しがっていたのは皆さんご存知だろう」と述べ、こう続けている。「ニックのことはこのチームに来たときからずっと欲しかった。それくらい良い選手だと思っているからね」

「ニック・フォールズという、どんな天候でも、どんな瞬間でも、最高のレベル、最高の舞台で自分ができることを証明してきた人材を確保できたのだ」

5月1日にシカゴ・ベアーズから放出されたフォールズは、2017年シーズンにライクが攻撃コーディネーター（OC）を務めていた頃のフィラデルフィア・イーグルスをクラブで唯一のスーパーボウル優勝に導いた経験がある。

フォールズは当時、負傷したQBカーソン・ウェンツのリリーフとして試合に出場するまではバックアップを務めていた。現在、33歳のフォールズはキャリア史上6つ目のチームに在籍しているが、QB1の座を争うという幻想は抱いていないと強調しており、「これはマットのチームだ」とコメントしている。

つまり、フォールズはバックアップとしてオフシーズンワークアウトと2022年シーズンに向き合おうとしており、確実にQB1の座を手に入れているときや、それを目指しているときとはまったく異なるマインドセットを持っていると言えよう。

コルツと2年契約を結んだフォールズは「先発を務めているときは、チームの手綱を全部握ることになる。先発だともっと話さないといけないし、統率しないといけない」と語った。

「もちろん、バックアップのときもプレーの準備はするけど、その声色は変わるはずだ。もっと聞くようになるし、見守ることも多くなるだろう。自分自身をどう扱うか、ということがより重要になる。プレーの準備をしながらも、同時に仲間の成功を願うことができる。それがチームの成功になるからな」

コルツはライアンという殿堂入りの可能性もある経験豊富な成功者を迎え入れた。ライアンはチームがプレーオフに返り咲くための最後の一押しをしてくれるかもしれない。

さらに、コルツはベンチから登場してチームを勝利に導ける、実績のあるベテランであるフォールズも手に入れている。すべてにおいて、完ぺきな状況だと考えているライクHCは次のようにコメントした。

「実績のあるバックアップを獲得できるというのは理想的な状態だ。しかし、もし現実にいなければ追いかけるつもりはないし、過剰に支払うつもりもない。長期的にチームを苦しめる可能性のあるおかしなことをするつもりはない」

これまでに56試合に先発出場し、14,003ヤード、タッチダウン82回を記録してきたフォールズは、スーパーボウルMVPにも選ばれたことがある。実績のあるバックアップどころか、それ以上の存在だと言えるだろう。次の2シーズンで思いつく限りのすべての方法でコルツに貢献しようとしているフォールズは、こう強調した。

「1年だけ在籍したいと思っていたわけじゃないから2年は欲しかった。ここにいたいんだ。これがキャリアの後半だというのは分かっている。どんな役割であれ、プレーできる限り、彼らが俺を必要としている限り、ここにいることが目標だ」

「このオフシーズンに妻と何度も話し合ったことだけど、健全な文化のある、素晴らしいチームだというのが大事なんだ。このチームは長年にわたって本当に才能豊かなチームだし、それを築き上げてきた。ロッカールームにほんの数日いるだけで、素晴らしいリーダーシップがあることが分かる。フランクは選手たちにリーダーシップを発揮させている」

【RA】