歴代最多サック記録に並ぶも「満足していない」とスティーラーズOLBワット
2022年05月27日(金) 16:25ピッツバーグ・スティーラーズのアウトサイドラインバッカー(OLB)T.J.ワットにはNFLの歴代記録に並ぶ快挙を成し遂げた2021年シーズンに達成できなかったことがある。
シーズン第18週に勝利したボルティモア・レイブンズ戦で、ワットは相手のクオーターバック(QB)タイラー・ハントリーをスクリメージラインの後方でタックルしたにもかかわらず、レイブンズのセンター(C)ブラッドレー・ボーズマンがスナップをファンブルしていたためにこのプレーはサックと判定されなかった。こうしてハントリーはファンブルをリカバー。その後、ワットは再びハントリーを追い詰めてファンブルを誘った。
ワットはシングルシーズンでのサック数でNFL最多記録を保持していたニューヨーク・ジャイアンツの元ディフェンシブエンド(DE)マイケル・ストレイハンの記録に並ぶ22.5回ものサックを決め、強烈なインパクトを残して2021年シーズンを締めくくっている。
『The Athletic(ジ・アスレチック)』のマーク・カボーリーによると、ワットはプレーがサックではないと判定されたことについて「信じてほしいんだけど、自分が思っていた以上に多くの人がその話を持ち出してくるんだ」とコメントしたという。
ワットは昨季の成績に満足していないが、それはサック記録更新にあと一歩のところで及ばなかったからではない。AP通信ディフェンス部門年間最優秀選手賞に輝いたワットは、この先にもっと成し遂げるべきことがあると信じているからだ。
サックと判定されなかったことについて「そういうことに関しては記憶力が悪くなるんだ」と語ったワットは「もっともっとゲームにもたらせるものがあるような気がしている。もちろん満足していない。これからも成長し続け、このゲームをプレーした人の中で最高の1人になりたいと思っている」と続けている。
ワットが高い志を口にすることをためらっていないのは確かだ。
しかし、NFLで最も注目される記録の1つに並んだ直後ということもあってか、ワットはスタッツ上の具体的な目標については語らなかった。ワットは一貫性のある偉大さを求めている。さらには、一貫性のある偉大さを維持することを目指しているのだ。
過去4シーズンでいずれも2桁のサックを記録し、サック数では2年連続でNFLトップ、ロスタックルでも同様の成績を残してきたワットは次のように強調している。
「2年目か3年目くらいから自分に言い聞かせてきたのは、素晴らしいプレー、素晴らしい試合をするのは最高だが、それを何日も、何週間も、何カ月も、何シーズンも、何年も続けていくのは普通じゃないということだ。一貫性を保つことと、どれだけ長く一貫性を保てるかがすべて。あらゆる試合で最大のインパクトを与えること。結果がどうであれ、それがすべてなんだ」
2020年にサック15回を記録してNFLでトップに輝いたワットは、2021年にそこから7.5回も多い記録をたたき出した。また、3年連続でオールプロ、4年連続でプロボウルにも選出されている。
ワットはデビューから5シーズンで年々サック数を増やしてきた。そのワットが再び史上最多記録に近づくかもしれないと期待してしまう理由は間違いなくあると言えよう。しかし、ワット本人はそのようなことを考えておらず、次のように明かした。
「今年中に達成したい具体的な目標があるわけではない。スーパーボウルしかない。そこが一貫している。どんなことがあっても、いかにして試合の中でも外でもやれるか。それが目標だ」
「NFLで一貫して活躍するのは最も難しいことの1つだし、出場したときにそれができたことは俺の誇りだ」
優れた成績を残した2021年シーズンに満足できなかったワットは、相手のクオーターバックをつけ回すのと同じように、一貫した評価を求め続けている。しかし、その前に、毎オフシーズンで追求してきた向上を図りたいと思っているワットは「もっと大きくなりたい、もっと速くなりたい、もっと強くなりたい。それらすべてを目指している。それが毎オフシーズンの目標だ」と話している。
それはワットとスティーラーズがこれまで大成功を収めてきたアプローチだ。
【RA】