カンザスシティ・チーフスのディフェンシブタックル（DT）クリス・ジョーンズがソーシャルメディアに投稿した内容は、長期化しているホールドアウトがシーズン半ばにまで及ぶかもしれないことを示唆しているようだ。

今週、ジョーンズは「もしそれがあなたの手から離れたなら、それはあなたの心からも自由になるべき」と書かれたボードの写真をソーシャルメディアに投稿。その後、ジョーンズはその投稿に返信する形で「シーズン第8週」と投稿し、自分の望みをかなえるためなら、2023年レギュラーシーズンの中盤近くまで欠場すること――さらに、それに伴って報酬が減ること――をいとわないという態度を示した。

ジョーンズにとってシーズン第8週はチームに合流し、それ以降の試合に出て経験を積む期限となるだろう。ジョーンズは来春にフリーエージェント（FA）になることが可能だ。

ジョーンズとチームは契約をめぐって対立しており、チーフスのジェネラルマネジャー（GM）ブレット・ヴィーチは最近、ジョーンズは「大型契約に値する」と語っている一方で、解決には至っていない。チーフスはジョーンズをトレードするつもりはないと主張。ジョーンズは2020年にサインした4年8,000万ドル（約115億9,724万円）の契約の最終年を迎えている。

そして、解決に向けた明確な進展の兆しがないというのが現状だ。

現地23日（水）、チーフスのヘッドコーチ（HC）アンディ・リードは「やりとりをしていないから、何が起こるか分からない。だが、なるようになるはずだ」と述べている。

「あなたがそこにいなくても、ゲームは続くだろう？　そういうものだ」

交渉に介入する可能性はあるかと聞かれたリードHCは「いや、今はない。だから、彼は・・・彼らはコミュニケーションをとり、自分たちの仕事をしなければならない。今のところコミュニケーションはないからね」と答えている。

レギュラーシーズン最初の7試合をスキップした場合、ジョーンズの負担は約760万ドル（約11億0,165万円）――1試合あたり約110万ドル（約1億5,945万円）――だ。そこへさらに、チーフスが欠席を理由にジョーンズに罰金を科す可能性もある。NFLとNFLPA（NFL選手会）が合意した内容では、トレーニングキャンプを1日休むごとに5万ドル（約725万円）の罰金が科されることになっている。

昨シーズンにオールプロのファーストチームに選出されたジョーンズは、17試合で先発を務めてサック15.5回、フォースドファンブル2回を記録。さらに、シンシナティ・ベンガルズを下したAFC（アメリカン・フットボール・カンファレンス）チャンピオンシップゲームでは圧倒的なパフォーマンスを見せ、さらに2回のサックをマークしている。

今オフシーズン、4人の一流ディフェンシブタックルが4年の契約延長にサインしたが、そのすべてがジョーンズの現行契約を上回る内容だった。ニューヨーク・ジャイアンツのデクスター・ローレンスおよびワシントン・コマンダースのダロン・ペインがいずれも9,000万ドル（約130億4,690万円）の契約を手に入れ、テネシー・タイタンズのジェフェリー・シモンズは9,400万ドル（約136億2,676万円）、ニューヨーク・ジェッツのクイネン・ウィリアムスは9,600万ドル（約139億1,669万円）の契約を結んでいる。

チーフスは第57回スーパーボウルで勝利を収め、ジョーンズはそれに大きく貢献した。チーフスは今シーズン、5年で3つ目のロンバルディトロフィー獲得を狙っているものの、ジョーンズ抜きでそれを成し遂げるのは難しいだろう――特に、激戦のAFCにおいては。

クオーターバック（QB）パトリック・マホームズは「彼が今ここにいないなんて、誰も予想していなかったと思う。彼はこの組織にとって不可欠な存在だ」と話している。

しかし、マホームズはジョーンズがホールドアウトしている理由を理解していると語った一方で、9月7日（木）に行われるデトロイト・ライオンズとのシーズン開幕戦までにジョーンズが姿を現さないとは考えていないようだ。

マホームズは「いや、そうとは限らない。そういうの――契約のこと――を話しにくいのは分かる。誰もが家族のためにお金を稼ぎたいと思っているし、そういうもんだからね。でも、クリスがどれほどチーフスを愛しているかを知っている。彼はこの組織の一員であることをとても気に入っている」とコメントし、こう続けた。

「だから、俺はただ距離をとるようにしていて、クリスには、君のことが大好きだし、いつ復帰しても両手を広げて歓迎すると伝えているだけ。彼がいつ復帰しても、いつものように支配的な選手でいられるように準備していることは知っている」

【RA】