第58回スーパーボウルを前に、カンザスシティ・チーフスはその試合がディフェンシブエンド（DE）クリス・ジョーンズをロースターに登録した状態で臨む最後の試合になる可能性があることを知っていた。しかし、チーフスのジョーンズに対する思いは変わっていない。

チーフスのヘッドコーチ（HC）アンディ・リードとジェネラルマネジャー（GM）ブレット・ヴィーチは2人とも、3月にフリーエージェント（FA）になるジョーンズが2024年シーズンに戻ってくることを望んでいると明言している。また、リードHCはそれを実現させるための真剣な取り組みが行われると信じているようだ。

現地13日（火）、リードHCはシーズン終了後の記者会見で「ああ、聞いてほしい。ヴィーチが前に言っていたと思うが、われわれは彼に戻ってきてもらいたいと思っている。そのためにはあらゆることを解決しなければならない。だが、おそらく両者ともに何らかの形で解決しようとする努力をするはずだ」と述べている。

サンフランシスコ・49ersを破ったスーパーボウルで、ジョーンズはチーフスにとって縁の下の力持ちの1人となっていた。守備スナップ75回中55回に参加したジョーンズは、タックル4回、クオーターバック（QB）ヒット2回という記録にとどまったが、ジョーンズが相手にかけていた執拗（しつよう）なプレッシャーは考慮に入れるべきだろう。『Next Gen Stats（ネクスト・ジェン・スタッツ）』によると、ジョーンズは35回のパスラッシュスナップでチーム最多6回のプレッシャー（プレッシャー率17.1％）をかけ、そのうち3回のプレッシャーは2.5秒以内に発生したとのこと（プレッシャーまでの平均時間は2.52秒）。

ジョーンズの特徴的なプレーの1つとしては、49ersが最後の攻撃をしようとしていた際に、QBブロック・パーディーに執拗なプレッシャーをかけていたことが挙げられる。パーディーにはエンドゾーンで動き回っていたワイドレシーバー（WR）ブランドン・アイユークがいたものの、ジョーンズからのプレッシャーによってボールを投げ捨てざるを得なかった。

リードHCとジョーンズはスーパーボウルで勝利した後にも親密な時間を共有。大舞台で活躍するよう背中を押した後、ジョーンズがそれに大きく応えてくれたと強調したリードHCは、次のようにコメントしている。

「ああ、彼のことを思うととても幸せだ。私は彼に少し頼っていた。彼にはそこにいてもらう必要があった。彼は疲れ切っていたが、文句も言わずに試合に出て、おそらく自分の想像以上に自分を追い込んでいた」

「つまり、彼は自分自身をあの状態まで持っていった。ああいうレスリング状態では、本当にそちらの方に向かって、心の中で自分を追い込んでくる邪悪なものを乗り越えなければならない。彼はそれをやり遂げた。そんな彼を誇りに思う」

ヴィーチGMは試合前、キャリア5度目のプロボウルに選出され、2年連続でオールプロのファーストチームに選ばれたばかりの29歳ジョーンズとの再契約は、コーナーバック（CB）ラジャリウス・スニードを呼び戻すことと同じく、今オフシーズンの優先事項の1つになるだろうと述べていた。

『ESPN』によると、ヴィーチGMはその際に「時々、自分たちの状況を見て“どうしたらいいのか分からない”と思うことがあるが、私たちはいつもシステマティックに物事を進め、優先順位のリストを持っている」と話していたという。

「確実に、クリスとLJ（スニード）の名前はそのリストのトップにある」

「要となる選手が2人もいるから、ものすごく難しい」

スニードがフリーエージェントとして市場に出れば、最も注目される選手の1人になるだろう。しかし、それはジョーンズも同じだ。『Over The Cap（オーバー・ザ・キャップ）』によれば、チーフスは現在、2024年に向けて予想されているサラリーキャップの額を約2,200万ドル（約33億1,615万円）下回っているとのことだが、両選手との契約にはいくつかの困難が伴うだろう。

キャリアを通してチーフスに所属してきたジョーンズは、レギュラーシーズンに出場してきた通算123試合でタックル273回（うちフォーロス78回）、サック75.5回、パスディフェンス37回、フォースドファンブル12回、ファンブルリカバリー3回、インターセプト2回（うち1回はリターンタッチダウン）、セーフティ1回を記録。プレーオフでの19試合ではタックル38回（うちフォーロス5回）、フォースドファンブル1回、パスディフェンス11回をマークしている。

【RA】