フラッグフットボール初のオリンピック予選が今週末にドイツで開催
2026年08月14日(金) 13:55
5対5で、接触プレーはなく、スピードと俊敏性を重視する。世界におけるフットボールの未来は、これまでとは違ったものになりつつある。
NFLもその恩恵を受けることを期待している。
今週、ドイツのデュッセルドルフでは史上初となるフラッグフットボールのオリンピック予選が実施されており、NFLはそこで存在感を示している。NFLはこの競技を、観戦者を選手や生涯にわたるファンへと変える手段と捉えている。
ヨーロッパやオーストラリアの学校ではすでに、NFL公認のフラッグフットボールの授業が行われている。2年後にはロサンゼルスでオリンピックメダルをかけて争われる予定で、NFLが支援するリーグも間もなく発足する見込みだ。現地13日(木)に始まった予選(世界選手権も兼ねている)には18カ国から300人以上が参加しており、一部の選手は新たに発足するリーグによって生計を立てる機会を得られる可能性がある。
開催国としてすでにロサンゼルス五輪での出場権を確保している米国代表のクオーターバック(QB)ニコ・カサレスは「すべてが順調に進めば、人生が変わるほどの出来事になる」とコメントした。
国際アメリカンフットボール連盟(IFAF)がオリンピック予選と選手権大会を運営しており、男女のそれぞれ上位2チームがロサンゼルス五輪への出場権を獲得する。IFAFはNFLと長期的なパートナーシップを結んでいるため、現在はデュッセルドルフの至る所でNFLのロゴが見られるようになっている。
街の至る所にNFLのロゴが入った垂れ幕が掲げられており、選手権大会は高校の隣にあるニューイングランド・ペイトリオッツのロゴ入りフィールドで行われる。
NFLは10年以上にわたり、海外での試合数を着実に増やしており、今季は過去最多となる9試合を実施する予定だ。そして、激しいタックルではなく、俊敏な動きが試合の行方を左右する、スピード感あふれるフットボールの派生競技をプレーする人口を増やそうとしている。
NFLフットボール運営担当執行副社長のトロイ・ビンセントは『Associated Press(AP通信)』に「私たちは今も、世界的に競争力のあるスポーツになることを目指している。各試合は素晴らしく、コンサートのようなものだ」とコメント。
「しかし、世界中に根付いたスポーツにするためには、より多くの少年少女がプレーし、より多くの審判が試合を担当し、より多くのコーチが各地で指導する方向へと進んでいく必要がある」
既存のスポーツのオリンピック予選は、熱心なファンだけのためのものと感じられることも多いが、NFLの専門知識はフラッグフットボールの見せ方や演出を形作るのに生かされており、『Nike(ナイキ)』や『DAZN(ダゾーン)』もパートナーとして参加している。
NFLが海外で試合を実施する際には、現地の自治体や学校当局と連携し、学校でのフラッグフットボールの授業も導入している。
グローバルフラッグフットボール担当上級副社長のブライアン・フリンは、米国の10代を対象とした調査における、フラッグフットボールをプレーすることによる影響がタックルフットボールをプレーすることによる影響とほぼ同じだったという結果に言及しつつ、「幼い頃から子どもたちをブランドや商品、スポーツと結びつけることに関して、実際にデータはかなり一貫している。幼い頃からスポーツに参加すると、大人になって熱心なファンになる可能性が3倍高くなる」と述べた。
オリンピック競技に採用されたことで、従来フットボールの中心地ではなかった世界各地のチームが、資金や政府からの支援を得られるようになっている。
パナマ代表のワイドレシーバー(WR)としてプレーしていないとき、理学療法士として働いているクラリス・カスティージョは、テレビのゲーム番組にも出演し、フラッグフットボールのコーチも務めている。「人生の60%はフラッグフットボールで、40%はクラリスです」と語ったカスティージョとそのチームメイトにとって、今回のオリンピック予選はまったく新しい生活を手にするためのきっかけとなっている。
「ここで私たちのプレーを見ている人たちが、将来実現するかもしれないプロリーグでプレーする機会に導いてくれるかもしれません。私たちアスリートは経済的に評価されないこともあるから、これはそのための大きなチャンスだと考えています」とカスティージョは語った。
カナダでは、オリンピック競技として認められたことで、女子チームが初めてハイパフォーマンス・トレーニング・プログラムの対象となっている。
クオーターバックのサラ・パーカーは「フラッグフットボールを仕事としてプレーできる日が来ることを、私たちは皆夢見ていると思います。そういう方向に向かっていると思うし、これからどうなっていくのか楽しみです」と語った。
ビンセントは、フラッグフットボールは女子選手にとって“まったく新しい世界”だと述べ、認定を受けた高校の大会が増え、大学の奨学金も増えており、来年にはNCAAの選手権競技として認められる可能性もあると語った。
「長女のデジレは、女性であるという理由から、フロリダ州では2人の弟たちのように競技を続ける機会がなかった」と述べたビンセントはこう続けている。
「今は孫娘たちがいる。長女のデジレに2人の娘がいるのだが、なんと、デトロイトで今週、彼女たちはフラッグ・クリニックに参加するんだ」
NFLがフラッグフットボールに影響を与えたとしても、NFLのスタークオーターバックがカサレスのオリンピック出場権を奪うことはないだろう――少なくともカサレスはそう願っている。
カサレスは「米国代表の座を誰もが狙っているし、当然ながら、いろんな人が参加するという話もたくさん出ている。自分たちはそれを歓迎している。彼らがこの競技を学び、俺たちと競いたいと示してくれることも同じように歓迎している」とAP通信に語った。
NFLのスター選手が飛び入りで参加し、ロースター枠を奪う可能性については、以前からさまざまな憶測が飛び交っている。NFLのオーナーたちは以前、リーグ所属選手の参加を承認した。
IFAFのピエール・トロシェ会長は、ロサンゼルスでのオリンピックがフラッグフットボールにとって“1992年バルセロナオリンピック”のような瞬間になると述べ、その影響を、NBA選手が“ドリームチーム”として参戦し、オリンピックのバスケットボールを新たな高みへと引き上げたことと比較している。
「(マイケル)ジョーダンや(チャールズ)バークリーを見て、自分もあのようなスーパースターになりたいと思ったものだ。最も重要なのは、世界最高峰の選手たちが世界最大の総合スポーツ大会への出場権を獲得することだ。とはいえ、誰もがオリンピック選手になれるわけではない。誰もがその座を勝ち取らなければならないのだ」とトロシェ会長は語った。
米国はすでにオリンピック出場権を確保しているが、今週の選手権大会では依然として多くのものが懸かっている。
その使命とは何か? カサレスは「金メダルを獲得し、自分たちが2028年オリンピックに出場すべきチームだということに関して、誰の心にも疑いの余地を残さないことだ」と話している。
米国男子代表チームは3月に行われたエキシビションマッチで、トム・ブレイディやジェイレン・ハーツ、ジョー・バロウらを擁する現役および元NFL選手からなる2チームを破った。カサレスはこの結果によって、フラッグフットボールが“少し異なる”スポーツであり、NFLのスター選手が突然参加してオリンピック選手になれるわけではないことが示されたと期待している。
フラッグフットボールを新たに始める選手の多く――おそらく大半――はタックルフットボールを一度もプレーすることがないだろう。しかし、“100%”タックルフットボールを経験していなくても問題ないとビンセントは話している。
フラッグフットボールが盛んになっている一方で、IFAFはタックルフットボールの世界選手権を9年間実施していない。かつてフランス代表のオフェンシブラインマンとしてプレーしていたトロシェ会長は、タックルフットボールのフルメンバーをそろえるための移動費を考えると、現在は“優先度が低くなっている”と述べた。
NFLが支援する、フラッグフットボールを学校に導入する取り組みが成果を上げる中、IFAFは100カ国で2,000万人がフラッグフットボールをプレーしており、中国では昨年、少なくとも1回はフラッグフットボールのセッションに参加した人が100万人に上ったと発表している。
トロシェ会長は「結局のところ、みんなフットボールをやっているのだ」と語った。
記事提供:『The Associated Press(AP通信)』
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