特集

歴代ベストプレー - 起死回生のインターセプト

2017年01月19日(木) 05:24

第49回スーパーボウル(2015年2月1日)

ペイトリオッツ vs. シーホークス

結果:28 – 24
会場:ユニバーシティ・オブ・フェニックス・スタジアム(アリゾナ州グレンデール)

スーパーボウル史上最低のプレーコールと言えばこの試合を思い出すファンも多いだろう。そのきっかけとなったのは、一人の選手のファインプレーだった。

第49回スーパーボウルにはAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)を制したニューイングランド・ペイトリオッツと、前年(第48回)の覇者であるシアトル・シーホークスが出場。2連覇を狙うシーホークスと、すでに2連覇を含めて3度スーパーボウルを制しているペイトリオッツの激突は大いに注目を集めた。

試合は第1クオーター終盤にペイトリオッツが敵陣10ヤード地点まで攻め込むも、最終的にはクオーターバック(QB)トム・ブレイディが相手コーナーバック(CB)ジェレミー・レーンにパスをインターセプトされ、無得点のまま最初の15分が終わってしまう。しかし、第2クオーターにはペイトリオッツがブレイディからワイドレシーバー(WR)ブランドン・ラフェルへの11ヤードパスで先制点を決めると、シーホークスもランニングバック(RB)マーション・リンチの3ヤードランでタッチダウンし、反撃に転じた。

前半残り36秒でブレイディのパスをつなげたタイトエンド(TE)ロブ・グロンコウスキーがタッチダウンでリードを奪うも、直後のドライブでQBラッセル・ウィルソンとWRクリス・マシューズにタッチダウンを決められ、前半は互いに点を取り合って終了する。

後半最初のドライブではシーホークスがフィールドゴールを成功させて勢いに乗った。その後もウィルソンがタッチダウンパスを決めて24対14とリードを奪い、最終クオーターに突入する。第4クオーター序盤のペイトリオッツはブレイディがサックされ、流れをつかめない。それでも、クオーター中盤にはブレイディからWRダニー・アメンドーラへのタッチダウンパスが通り、ペイトリオッツが3点差まで詰め寄った。これで流れを引き寄せたペイトリオッツは残り2分6秒でブレイディからWRジュリアン・エデルマンへの3ヤードパスでタッチダウンし、28対24と逆転に成功する。

残り時間が少なくなる中、連覇へ執念を燃やすシーホークスもウィルソンからリンチへの31ヤードパスで一気に敵陣まで進入。続けてWRジャーメイン・カースが31ヤードパスをつなげて敵陣1ヤード地点までボールを運んだ。この時、試合を見ていた多くの人はリンチの1ヤードランでシーホークスが得点すると考えていたはずだ。しかし、シーホークスのヘッドコーチ(HC)ピート・キャロルが下した決断は違った。26秒を残してシーホークスはウィルソンにパスプレーを指示してタッチダウンを狙うも、そのパスはセーフティ(S)マルコム・バトラーにインターセプトされて万事休す。

この瞬間、キャロルは落胆のあまりヘッドセットを投げ捨てた。サイドラインからプレーを見つめていたエースコーナーバック(CB)リチャード・シャーマンも戸惑いを隠せない表情を浮かべる。

そんなシーホークス勢とは対照的にブレイディは飛び上がって喜びを表し、自身4度目のスーパーボウル制覇を祝った。会場にいたペイトリオッツファンが歓声を上げる一方、ウィルソンがうつむきながらベンチへ戻る姿は多くのファンの記憶に残るシーンとなった。

力強いランが代名詞となっていたRBリンチがいるにもかかわらず、パスを選択したHCキャロル。このプレーはスーパーボウル史上最低のプレーコールと呼ばれ、相手方の鮮やかなプレーによってシーホークス2連覇の夢はあと1ヤードのところでついえてしまった。