ボルティモア・レイブンズで活躍し、第47回スーパーボウル制覇にも貢献した元ワイドレシーバー（WR）ジャコビー・ジョーンズが亡くなったと、ジョーンズの家族が現地14日（日）に発表した。享年40。

NFLPA（NFL選手会）を通じて発表された声明の中で、ジョーンズはニューオーリンズの自宅で“安らかに”息を引き取ったと家族が明かしている。

レイブンズは声明で次のように述べた。「ジャコビー・ジョーンズの訃報に接し、深い悲しみに打ちひしがれています。ジャコビーは出会ったすべての人と心を通わせるというユニークな才能を持っていました。そのカリスマ性、喜び、愛情はどんな場所も明るく照らし、どんな暗い日も明るくさせられる、唯一無二の存在感を作り出していました。ジャコビーはフットボールフィールドでの成功だけではなく、レイブンズの組織、ボルティモアのコミュニティ、そして彼がホームと呼んだすべての場所で数え切れない人々と築いた永遠に続く個人的なつながりによって、人々の記憶に長く残り続けるでしょう。私たち全員がこの深い喪失感を受け止め始めている中で、ジャコビーのご家族には心よりお悔やみ申し上げます」

ジョーンズはNFLでの9シーズンで4つのチームに所属していたが、中でもレイブンズがスーパーボウル制覇を成し遂げる上で見せた貢献は永遠に語り継がれるだろう。

2012年シーズンにキックリターナーとしてオールプロの栄誉に輝いたジョーンズは、プレーオフの試合で流れを変える素晴らしいプレーをいくつか披露したことで評判を高めた。デンバー・ブロンコス戦における第4クオーター残り31秒の時点で、ジョーンズはクオーターバック（QB）ジョー・フラッコのパスを受け止め、70ヤードのタッチダウンレシーブ――しばしば“マイル・ハイ・ミラクル”と呼ばれる――に成功。このプレーのおかげで救われたレイブンズは、ダブルオーバータイムの末にディビジョナルラウンドを制している。

サンフランシスコ・49ersとの第47回スーパーボウルで、ジョーンズは再び2回のロングタッチダウンに成功して期待に応えた。第2クオーター後半に、俊足のジョーンズはディープボールをキャッチした際に芝生に倒れ込んだものの、そこから立ち上がって2人のディフェンダーをかわし、最後の9ヤードを駆け抜けて56ヤードのタッチダウンに成功。その直後、ジョーンズは第3クオーター開始早々にスーパーボウル史上最長となる108ヤードのキックオフリターンタッチダウンを決め、チームのリードをさらに広げた。

試合の後半に巻き返した49ersをしのぎ、34対31で第47回スーパーボウルを制したレイブンズにとって、ジョーンズが決めた2回のタッチダウンは極めて重要だった。そして、ジョーンズはスーパーボウル史上初めて、同じ試合でタッチダウンレシーブとリターンタッチダウンを決めた選手になっている。

ニューオーリンズ出身のジョーンズにとっては、スーパーボウルの歴史の中でも特に素晴らしいパフォーマンスをスーパードームで披露できたことで、その物語はより特別なものになっている。

レイブンズのヘッドコーチ（HC）ジョン・ハーボーは声明で「私はジャコビー・ジョーンズが大好きでした」と述べ、こう続けた。「みんなそうでした。彼の精神、熱意、人々への愛は力強いものでした。彼は光そのものでした。愛する母親、エミリーさんの大切な息子で、2人はとても仲良しでした。彼は信仰深い人でした。雪の中で戦った（ミネソタ）バイキングス戦の終盤でキックオフリターンする前にジャコビーがエンドゾーンで母親に声をかけたときのプレーは私のお気に入りです。その後、ボールを奪い取ったジャコビーは折り返してタッチダウンを決めました。ジャコビーに関して私が気に入っている瞬間は、彼が喜びいっぱいの笑顔を見せているときでした。ジャコビー、イエスの腕の中で安らかに眠ってください」

2007年ドラフト3巡目でヒューストン・テキサンズから指名を受けてNFL入りしたジョーンズは、2012年にフリーエージェント（FA）としてレイブンズに加入し、そこで3シーズンを過ごしている。NFLでの最後のシーズンにあたる2015年シーズンには、ピッツバーグ・スティーラーズとサンディエゴ・チャージャーズ（現ロサンゼルス・チャージャーズ）の2チームでプレーしていた。

ジョーンズはレギュラーシーズンに通算で128試合に出場し、レシーバーとしてレシーブ203回、2,733ヤード、タッチダウン14回、リターナーとしてタッチダウン9回（キックオフ5回、パント4回）を記録した。

【RA】