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チーフスに今季初黒星を与えるも、ポストシーズンでの勝利に焦点を当てるビルズQBアレン

2024年11月19日(火) 00:00


バッファロー・ビルズのジョシュ・アレン【AP Photo/Adrian Kraus】

時間が過ぎるにつれ、ビルズマフィアの愛称で親しまれるバッファロー・ビルズのファンが“MVP”と叫ぶ声がスタジアムに響いた。そうした中で、カンザスシティ・チーフスのクオーターバック(QB)パトリック・マホームズがビルズのQBジョシュ・アレンにささやいた言葉は、このスタジアムにいた誰もが知っている。

マホームズはアレンに「またやろうぜ」とささやいた。

それはAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)のプレーオフ対決に向けた良い約束だと言えるが、応援するチームによっては脅威にも感じられるだろう。しかし、ビルズがチーフスと1月に再び対戦するという考えは、現地17日(日)に30対21の勝利を収めた試合の背景としてはっきりと存在していた。

それは、ビルズの反応や、今回の試合に向けたアプローチの方法をも説明するもので、彼らは疲労と現実主義の間を揺れ動いていた。

ビルズは現在、チーフスとのレギュラーシーズンゲームで4連勝している。これは、マホームズがその全試合に出場し、チーフスが3つのスーパーボウルリングを獲得していることを踏まえると、どのような観点から見ても驚くべき偉業だ。しかし、ビルズはレギュラーシーズンでの勝利の後に起こったこと、つまりプレーオフでチーフスに3回連続で敗れたことに固執している。これらの敗北は、アレンの素晴らしいキャリア――日曜日の勝利を決定づけた第4ダウンでのタッチダウンランがその最新の章となっている――に影を落としており、勝利の余韻にも影響を与えている。

アレンはほとんど表情を変えずに「つまり、9勝を挙げたということだ」と語った。

「外から見ると、これが本当に重要な試合で両チームのファンやリーグにとって意味があるものだってことは分かっている。今はシーズン第11週で、俺たちは9勝2敗だ。俺の知る限り、9勝したらプレーオフに進出できるというわけではない」

「これまでのことを考えると、俺たちはプレーオフで顔を合わせる傾向がある。まだその段階ではないし、その時が来たらそれに集中するつもりだ」

日曜日のパフォーマンスは、今シーズンのビルズにとって最も完成度が高くバランスのとれたものだった。また、ワイドレシーバー(WR)陣を再編し、複数のベテラン選手が退団したオフシーズンを経て橋渡しの年になると予想されていた中で、ビルズの多くの良い部分を示すものにもなっている。日曜日の試合では、アレンが複数のレシーバーにボールを通し、ランニングバック(RB)ジェームス・クックが2回のタッチダウンランを記録。ディフェンスはマホームズを200パスヤード以下に抑え、タイトエンド(TE)トラビス・ケルシーを封じ込めた。負傷者とオフシーズンの再編成の影響で、ビルズは出場経験の乏しい若手選手を多く起用している。彼らが今、今回のような接戦で蓄積している気づきと知恵は、1月の試合で大いに役立つだろう。

過去のシーズンでは、それだけで何かを証明したことになっていたかもしれない。しかし、ビルズが過去のレギュラーシーズンゲームでチーフスに何をしてきたとしても、チーフスは相手ファンからの敵意が感じられるアウェーゲームで、一度負けたチームにも勝利できることを示してきた。また、今シーズンと同じようにレギュラーシーズンにオフェンスが脆弱に見えるような場合でも、昨シーズンと同様にポストシーズンではそれをまとめ上げられることも証明している。だからこそ、今回の試合で完璧な勝利を収め、アレンがそれを26ヤードのタッチダウンランで決定づけたにもかかわらず、誰かにそれを知らしめるという話は出てこなかった。

ヘッドコーチ(HC)ショーン・マクダーモットは日曜日に「意見はない」とコメント。

チーフスは実質的に興奮した雰囲気に水を差したかもしれないが、日曜日の試合が完全に無意味だったと考えるのはばかげている。少なくとも、ビルズはチーフスに接近し、プレーオフでホームフィールドアドバンテージを手に入れる可能性が現実のものとなった。とはいえ、昨シーズンにはAFCにとって悲しい現実が浮き彫りになっている。止められないオフェンスや圧倒的なディフェンスを擁するチーフスは、アローヘッド・スタジアムでも敵地でも勝つことができるのだ。ビルズのように、レギュラーシーズンで彼らを圧倒するほどの実力を持つチームでさえ、スーパーボウルを自宅で観戦することになりかねない。

しかし、NFLでは過去が未来を決めるわけではない。シンシナティ・ベンガルズは一度チーフスを下し、タンパベイ・バッカニアーズもスーパーボウルで彼らを打ち負かしている。当初は期待がほとんど寄せられていなかった今シーズン、ついにビルズの時代が来ている可能性がある。そして、彼らが日曜日に見せた反応は疲労や現実主義ではなく、成熟の表れなのかもしれない。

マクダーモットHCは先週の間に試合終盤における第4ダウンのシナリオを練り上げたと明かしている。マクダーモットHCは結果に関係なく、試合終了まで2分27秒でチーフスの26ヤード地点から第4ダウン残り2ヤードの場面で勝負に出るのが正しい判断だと強く感じていた。マクダーモットHCはマホームズとアンディ・リードHCが試合終盤に攻撃権を手にし、決勝点を挙げるか、延長戦に持ち込むドライブを展開して再び相手にボールを渡さない場面を誰よりも見てきた。こうした試合から学ぶのは若手選手だけではなく、コーチたちもまた学ぶのだ。

「あそこで勝負に出ない手はない」とマクダーモットHCは話している。

試合前、マクダーモットHCはディフェンスのプレッシャーを和らげるために、これはただの試合にすぎず、100年後には誰も覚えていないことだと語った。しかし、マホームズとの試合のような場合に備えて特別に迎えられたベテランのアウトサイドラインバッカー(OLB)ボン・ミラーは、異なる見方をしている。2つのスーパーボウルリングを持つミラーは、ビルズが1月以降も勝ち進めるようにするためのバランスをとったのかもしれない。

「そんなのどうでもいい、これはビッグゲームだ」と語ったミラーはこう続けている。

「これは意義深い勝利だ。彼らは無敗だった。これは俺たちのスーパーボウルじゃない。でも、こういう勝利は祝うべきだ。このリーグで勝つのはすごく難しい。これは良い勝利だし、俺たちはそれを祝うつもりだ。これからバイウイークを迎えるから、1日じゃなくて2日かけて祝うかもしれない」

「俺たちは次のことや過去のことに気を取られすぎることがある。今いるところに集中しないと。今日は勝ったんだ。この試合を振り返って祝うつもりだ。成長の余地はまだあるし、この調子で進んでいけば、1月を迎えたときに、それが俺たちのスーパーボウルになる。その時こそが、俺たちにとって重要な試合になる」

【RA】