2勝8敗のジャイアンツがQBジョーンズをベンチへ、次戦はQBデヴィートが先発
2024年11月19日(火) 10:14ニューヨークでのダニー・ダイムズ時代は終わりを迎えたのかもしれない。
『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートが現地18日(月)に報じたところによると、“ダニー・ダイムズ”の愛称で親しまれているニューヨーク・ジャイアンツの先発クオーターバック(QB)ダニエル・ジョーンズがベンチに下げられたという。
また、日曜日に行われるタンパベイ・バッカニアーズ戦では、ジョーンズや2番手QBとして今季を過ごしてきたベテランのドリュー・ロックを差し置いて、トミー・デヴィートが先発を務める見込みだとNFLネットワークのトム・ペリセロが月曜日に報じている。
その後、ジャイアンツのヘッドコーチ(HC)ブライアン・ダボールが月曜日のうちにQB交代を正式に発表し、ロックがデヴィートのバックアップを務め、ジョーンズはチームの3番手QBになるとつけ加えた。
ダボールHCは「明らかに、私たちは自分たちが望んでいる形のプレーができていないし、それは全員の問題だ」と述べている。
「しかし、この判断はここで下し、刺激を与えて状況を変える必要があると感じた。そして、トミーを起用することにした」
2019年NFLドラフトの全体6位で指名されたジョーンズは、ルーキーシーズンの第3週に元QBイーライ・マニングの後を引き継いで以来、ジャイアンツのフランチャイズQBとなっていた。
ダボールHCがジョーンズを先発として起用し続けるかについて“評価する”と報道陣に述べてから1週間が経過し、その評価の結果として、フランチャイズの今後を大きく変えるような変更が実施されることになった。
ジャイアンツのジェネラルマネジャー(GM)ジョー・シェーンは先週火曜日に報道陣に対し、金銭的な事情ではなく、ジャイアンツの成績にとって最善となることに基づいて判断を下すとコメント。ジョーンズの契約には2025年に2,300万ドル(約35億5,090万円)の負傷時の保証が含まれており、その状況は2022年のラスベガス・レイダースにおけるデレック・カーや昨季のデンバー・ブロンコスおけるラッセル・ウィルソンのケースと似ている。今シーズン終了後、ジョーンズの契約には保証金が残っていない状態となる。
月曜日、ダボールHCはレイダース時代のカーとは異なり、ジョーンズはベンチに下げられた後も今季中はチームにとどまると述べた。ジョーンズが2025年もチームに残留するかどうかは不確かだ。
ダボールHCはジョーンズの将来について尋ねられ、「私たちはただ今週と、選手たちの準備を整えるために下した決断に集中している。それが私たちの焦点だ」とつけ加えている。
今季に先発した10試合で、ジョーンズはわずか8回のタッチダウンに対して7回のインターセプトを喫し、タッチダウンパスを一度も決められなかった試合は6試合もあった。また、2,070パスヤード、アテンプト平均6.1ヤード、パサーレーティング79.4という数字にとどまっている。
ジャイアンツがロックではなくデヴィートを先発にするのはいささか驚きだ。ジャイアンツはかつてドラフト2巡目指名を受けたロックと今オフシーズンに1年500万ドル(約7億7,194万円)の契約を締結。ほぼ全額が保証されたこの契約は、ジョーンズのバックアップを担うためのものだった。今シーズン、ロックはこれまでに2試合しか出場しておらず、パス8回中3回成功で6ヤードという記録にとどまっている。
一方のデヴィートは昨季にジャイアンツで6試合に先発して3勝3敗という成績をもたらし、1,101パスヤード、タッチダウン8回、インターセプト3回を記録した。
ラポポートとペリセロによると、ドラフト外フリーエージェントとしてNFL入りしたキャリア2年目のデヴィートがダボールHCのオフェンスに精通しており、そこで成功を収めた経験があるということが、ロックではなくデヴィートをジョーンズの代わりに起用するという決断に影響を与えたという。
ダボールHCはロックではなくデヴィートを選んだ理由を説明した際に、「ドリューには大きな自信を持っているし、ここに来てからの振る舞いを見てきたが、彼はそれにもプロとしてうまく対応してきた」と語り、こう続けている。
「トミーとはここでしばらく一緒にやってきた。練習で良い仕事をしているだけではなく、彼が昨年にオフェンスをどう動かしていたかを振り返って見直したことで、頼りにできると感じた部分もある」
「これはドリューについて何かを示すものではない。彼は私たちにとって素晴らしい選手だ。どちらかと言えば、トミーが私たちにもたらしてくれると感じたものによって判断した」
ジャイアンツが2勝8敗と低迷する中、今シーズンを通して厳しい視線にさらされてきたジョーンズは、キャリアの大半でそうした視線を向けられている。
デューク大学出身のジョーンズがマニングの後継者となったことは、NFLで初先発を務めた試合で336ヤード、タッチダウン2回を記録し、2019年のジャイアンツをシーズン初勝利に導いたことで多くの人から一時的に称賛された。その試合の相手は、奇しくもジャイアンツの次の対戦相手であるバッカニアーズだ。しかし、腕と足を駆使して素晴らしいプレーを見せることもあれば、一貫性の欠如や連敗、コーチ陣の変更に苦しめられることもあるなど、ジョーンズのキャリアは浮き沈みの激しいものだった。
最初の4シーズンで3人のヘッドコーチの下でプレーしていたジョーンズ。最後のヘッドコーチはダボールHCで、2022年からこの職に就いている。2022年シーズンはジョーンズが自己最高の成績を収め、キャリアで唯一、勝ち越しとプレーオフ進出を果たしたシーズンとなった。9勝7敗1分の成績を収めた後、ジョーンズはワイルドカードラウンドでミネソタ・バイキングスに勝利し、ディビジョナルラウンドでフィラデルフィア・イーグルスに敗れるまで活躍した。
振り返ってみると、ダボールHCの初年度における成功が、その後のシーズンに次々と悪影響を及ぼしたと言える。
2016年以来の勝ち越しシーズンを達成した結果として、ジョーンズは4年1億6,000万ドル(約247億0,192万円)の契約を手に入れたが、その一方でスターランニングバック(RB)セイクワン・バークリーがフランチャイズタグをつけられるにとどまり、その後に再編した1年契約を締結することになったため、ジョーンズの契約はすぐに批判されるようになった。
その後、このオフシーズンにイーグルスと契約したバークリーが素晴らしい活躍を見せている一方で、ジョーンズは苦しみ、それに伴いジャイアンツも低迷している。
ジョーンズが最後に先発を務めたのはミュンヘンで行われたカロライナ・パンサーズ戦だ。ジョーンズはそこで2回のインターセプトを喫して試合に敗れている。
5シーズン以上にわたるキャリアで、ジョーンズは24勝44敗1分、パス2,241回中1,437回成功(成功率64.1%)、1万4,582ヤード、タッチダウン70回、インターセプト47回を記録。また、ランでは2,179ヤード、タッチダウン15回をマークしている。
前政権下でフランチャイズQBになると見なされていたジョーンズは、現政権下でその座を追われてしまった。ジョーンズの将来は依然として不確かだが、ジャイアンツは次のフランチャイズQBを探し始めることになりそうだ。
【RA】