現地11日（土）午後にアリゾナ州フェニックス郊外の仮ホームで行われた練習は、ロサンゼルス・ラムズにとって何もかもが普段と変わらないもののように見えた。

音楽が鳴り響き、コーチたちが声を張り上げ、フットボールが飛び交い、その後ろではヤシの木が揺れている。それはまさに南カリフォルニアの雰囲気を醸し出していた。

ランニングバック（RB）カイレン・ウィリアムズはラムズが数日ぶりにあるものを持つことができたとも話している。それは、クリアな思考だ。

ウィリアムズは「心が穏やかだと感じた。プレーすること以外、何も気にする必要がなかったしね」と話している。

ラムズは今週末、月曜日に予定されているミネソタ・バイキングスとのプレーオフゲームに向けて、地区ライバルのアリゾナ・カーディナルスの練習施設で準備を進めている。ラムズの面々はロサンゼルス地域で数日間にわたって猛威を振るっている山火事から逃れ、金曜夜にアリゾナに移動した。

現在、ラムズの選手たちは家族の無事を確認し、山火事による影響を受けている人々に心を寄せている。

ウィリアムズは「この試合はLAのためのもの――チーム全体にそういう思いがある」とコメント。

「ホームにいる人々のよりどころになるような希望をもたらすための試合だし、ラムズは月曜日の数時間、どんな状況にあってもそれを忘れさせる存在になるだろう」

ラムズ（10勝7敗）は月曜夜にカーディナルスのステートファーム・スタジアムでミネソタ・バイキングス（14勝3敗）と対戦する。リーグは木曜日に、山火事の脅威が依然として続いていることと、公共サービスへの負担が懸念されることから、試合の開催場所を変更すると発表した。

カーディナルスはラムズのためにテンピにあるトレーニング施設を解放し、“Welcome Los Angeles Rams（ようこそ、ロサンゼルス・ラムズ）”と書かれ、両チームのロゴが入った大きなバナーを入口の門に設置。カーディナルスのオーナーであるマイケル・ビッドウィルは金曜日に2機のチーム専用機をロサンゼルスに派遣し、アリゾナへの移動を支援した。また、ラムズの選手たちは家族やペットを連れてくることも許可されている。

ラムズのワイドレシーバー（WR）クーパー・ラッシュは「息子たちや妻と一緒にその経験ができたのはクールだった。もちろん、ここにいられるのも、ラムズが組織内の家族を大切にしてくれていることにも、ものすごく感謝している」と語った。

SoFiスタジアムから約604km、車で6時間かかる距離にもかかわらず、ラムズは月曜日の試合で大きなホームフィールドアドバンテージを得ることを期待している。チームのシーズンチケット保有者は金曜日の最初の1時間で2万5,000枚のチケットを購入。チームは少なくとも15台のバスを用意してファンをイングルウッドから試合会場まで送り届ける予定で、より多くの移動手段も検討されている。

ある意味、ステートファーム・スタジアムはこの10年間、ラムズにとって第2のホームのような存在だったと言えよう。ラムズは今季序盤に連勝記録が途切れるまで、アリゾナで9連勝を収めていた。ヘッドコーチ（HC）ショーン・マクベイは月曜日の試合でビジター用のロッカールームを使用することを希望したと述べている。今回はホームチームであるものの、ラムズが慣れ親しんでいるのはそのスペースだからだ。

カップは「ほとんどの場合、俺たちはこのスタジアムでかなり良いプレーをしてきた。芝生でもあるし、それは大きな利点だ。芝生でプレーするチャンスはすべてものにするつもりだ」と話している。

木曜午後の時点まではラムズの従業員で直接的に山火事の被害に遭った者は数名しかいなかった。しかしその後、ウッドランドヒルズ郊外にあるチームのトレーニング施設から数マイル離れたケネス地区で山火事が発生し、驚くべき速さで煙が空に立ち上っていった。

ディフェンシブエンド（DE）コビー・ターナーはWRプカ・ナクアの自宅が避難勧告区域にあるため、ナクアを一晩家に泊めたと明かしている。ターナーはこの試練を通じてチームの結束がさらに強まり、お互いに気遣い合っていると語った。

シーズンを通じて困難に直面してきたラムズは、1勝4敗のスタートを切ったところから追い上げてNFC（ナショナル・フットボール・カンファレンス）西地区制覇を果たしている。今回の試練は新たなハードルの1つに過ぎない。

さらに、多くのロサンゼルス住民が直面している困難を踏まえると、彼らが文句を言うことはないだろう。

ターナーは「結局のところ、これはプレーオフゲームだ。何度も経験できることではない」と語っている。

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記事提供：『The Associated Press（AP通信）』

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