カンザスシティ・チーフスのスターワイドレシーバー（WR）ラシー・ライスが、昨年ダラスの高速道路で発生した多重事故に関連して禁錮30日の判決を受けた。その3日後となる現地20日（日）、ライスがトレーニングキャンプにフル参加する予定であると、ヘッドコーチ（HC）アンディ・リードが明かした。当局によれば、ライスともう1人の運転手は高速走行中に複数台を巻き込む玉突き事故を引き起こし、複数の負傷者が出たという。

なお、ライスがレギュラーシーズンにフル出場できるかどうかは、現時点では明らかになっていない。

リードHCはキャンプ開始の前日に、NFLからライスに対する出場停止処分の連絡は受けていないと話しているが、その可能性は高いと見られている。NFL広報のブライアン・マッカーシーは先週、「本件についてのすべての進展を注意深く注視しており、現在も審査中である」と述べている。

リードHCはミズーリ・ウェスタン州立大学のキャンパスで、「彼を参加させた上で通常どおり進めていく」とコメントした。

「彼は通常通りのレップをこなす予定だ。われわれはこのポジションを常にローテーションしている。今後どうなるかに応じて、対応できる選手を準備する」

ライスは2024年3月30日の事故において、重傷者を伴う衝突と負傷者を出した高速道路でのレース行為という2つの第3級重罪容疑について有罪を認め、5年間の猶予付き保護観察および禁錮30日を含む司法取引に応じた。

ダラス郡地方検事局によると、25歳のライスは収監スケジュールの調整が可能な一方、被害者に対して約11万5,000ドル（約1,696万円）の自己負担医療費の支払いを命じられている。

検察によれば、ライスは事故当時、ランボルギーニ・ウルスのSUVを時速約191kmで運転し、複数回にわたり無謀な運転操作を行って他の車両に衝突。事故後は北セントラル・エクスプレスウェイで巻き込まれた人たちの安否確認を行わず、徒歩で現場から逃走したとされている。

ライスは弁護士を通じて発表した声明の中で次のように述べた。

「自分の行動がもたらした被害について考え、眠れぬ夜を何度も過ごしてきました。影響を受けたすべての方々が救済されるよう、引き続き自分にできる限りのことを続けていきます」

ライスは2年目の昨シーズン、開幕3試合でレシーブ24回、288ヤード、タッチダウン2回と好スタートを切った。しかしシーズン第4週、クオーターバック（QB）パトリック・マホームズがインターセプト後にタックルを試みた際、誤ってライスの脚に突っ込んでしまい、LCL（外側側副靭帯／がいそくそくふくじんたい）を断裂した。

ライスは以降のシーズンを全休し、チーフスはスーパーボウルでフィラデルフィア・イーグルスに敗れた。

残りのシーズンをリハビリに充てたライスはオフシーズンプログラムで復帰。リードHCはトレーニングキャンプにおいてケガによる出場制限は設けないと述べた。火曜日には検査とミーティングが行われ、水曜日に予定されている全体練習では、気温が38度を超えると予想されている。

リードHCはライスの膝のケガについて「その点は注意して見ていく」と語ったうえで、「出場停止処分など何らかの理由で出場を制限することについては、今のところそうするつもりはない。今は前に進む。そして（ケガに関しては）様子を見ながら対応していく」と述べた。

その他の情報として、リードHCは、コーナーバック（CB）クリスチャン・フルトン、ライトタックル（RT）ジャワーン・テイラー、タイトエンド（TE）トレ・ワトソンの3選手がそれぞれ膝の負傷により、PUP（故障者）リストに入った状態でシーズン開幕を迎えると明かしている。

フルトンはセカンダリーの強化を目的に2年2,000万ドル（約29億4,880万円）の契約で加入。テイラーは先発RTとしての起用が見込まれている。

また、リードHCによれば、ドラフト1巡目指名のディフェンシブバック（DB）ジョシュ・シモンズは、オハイオ州立大学在籍中に負った膝蓋腱（しつがいけん）断裂からの回復途上にあるが、キャンプ初日から出場制限は設けられない見込みだという。チーフスは昨季マホームズのブラインドサイドを守り切れなかった左タックル（LT）のポジションにおいて、シモンズの適性を見極めようとしている。

テイラーのPUPリスト入りにより、キャンプ初日はレフトタックルにシモンズ、ライトタックルにフリーエージェント（FA）で2年3,000万ドル（約44億2,320万円）の契約を結んだジェイロン・ムーアが入る予定となっている。ただし、キャンプ期間中にムーアがシモンズを押しのけてLTの先発に名乗りを上げる可能性もあり、このポジション争いはAFC（アメリカン・フットボール・カンファレンス）王者チーフスにとって今キャンプ最大の注目ポイントになりそうだ。

「われわれは毎日彼らを評価している」とリードHCは話している。

「軽い練習の日でも、ハードな日でも、評価し、グレードをつけ、見極めている。どう収束していくか見ていくつもりだ」

【R】