全米のほぼすべての主要プロスポーツリーグおよびメディア会社の『Fox（フォックス）』と『NBCUniversal（NBCユニバーサル）』が、スポーツ賭博の広告が責任を持って行われ、未成年をターゲットにしないようにするための同盟を設立した。

ナショナルフットボールリーグ（NFL）、メジャーリーグベースボール（MLB）、ナショナルバスケットボールアソシエーション（NBA）の男女リーグ、ナショナルホッケーリーグ（NHL）、NASCAR（ナスカー）、メジャーリーグサッカー（MLS）、『Fox』、『NBCUniversal』からなる“責任あるスポーツ賭博広告のための連合”が現地19日（水）に設立された。

同連合は放送、印刷物、オンラインで常に目にするスポーツ賭博の広告が消費者にどのように提示されるかをコントロールすることを目的とした自主的な同盟だとこのグループのことを説明している。

その活動には過度な広告を避けるよう勧告することも含まれる。

このグループが結成される前には、先月に商業カジノ業界が全米の業界団体である米国ゲーミング協会を通じて、責任あるスポーツ賭博のマーケティング規範を新たに採用する動きを見せている。

いずれの取り組みも、連邦最高裁がどの州でも合法的なスポーツ賭博を提供できるようにしてから5年の間にスポーツ賭博の広告が急増したことを認識した上でのこととなる。

また、正式な発言はないものの、両者には政府が介入してくる前に自分たちで広告を規制しようという明確な目標がある。ニューヨーク州のある下院議員は、オンラインおよびデジタルでのスポーツ賭博広告をすべて禁止する法案を提出しており、他の議員も政府がスポーツ賭博広告を規制するよう呼びかけている。

同連合は共同声明の中でこう述べている。「スポーツ賭博の合法化が全米に広がる中、全国の消費者に対するスポーツ賭博の宣伝方法に安全策を設けることが重要だ。連合の各メンバーはスポーツ賭博の広告が適切な層に向けられるだけでなく、そのメッセージが熟考され、慎重に発信されることに責任を感じている」

ギャンブルの歴史を専門とするネバダ大学ラスベガス校のデビッド・シュワルツは、スポーツ賭博広告を政府が管理するようになる見通しは不透明だという。

「連邦政府による公式な監視を避けることがリーグや 運営会社の利益になることは目に見えている」とシュワルツは述べている。「広告というのは対象とした顧客だけでなく、広く世間の目に触れるものだ。そのため、実際の賭博事業よりも露出度が高くなる可能性がある。関係者が前面に出たいと思うのも無理はない」

同グループは、スポーツ賭博は合法的に賭けを行える年齢に達した成人のみを対象にするべきことや、広告は無責任または過度なギャンブルを促すことなく、良識あるものであり、誤解を招かない内容であること、スポーツ賭博の広告を制作する会社はそれを社内で厳しく精査し、広告に対する消費者からの苦情を真剣に受け止めるべきであるなど、いくつかの基本原則を設けている。

MLBのメディアおよびビジネス開発を担当する上級副社長のケニー・ガーシュは、このグループの発足を“合法的なスポーツ賭博が成長し続ける中、われわれの業界にとって新たな重要なステップ”と表した。

スポーツ賭博は現在、米国の33州とワシントンD.C.で合法化されている。

「われわれのスポーツをより多くの方法で楽しむための新しい機会をファンに提供する一方で、スポーツ賭博の選択肢がどのように提示され、誰に向けられているかについては引き続き配慮と慎重さが必要となる」とガーシュは話している。「責任あるギャンブルの推進やギャンブル依存症の対策に加え、われわれの連合が広告分野で活動を重ねることで、全体としてより思慮深い計画の策定と実行につながるだろう」

NFLのスポーツ賭博担当ジェネラルマネジャーであるデビッド・ハイヒルは、各リーグは広告が自分たちの責任ある行動の重要な要素であることを認識していると述べた。

「合法化されたスポーツ賭博はファンに好きなスポーツを楽しむための手段を提供しているが、ギャンブル依存症の防止と対策を支援しなければならないのと同様に、われわれはスポーツ賭博が消費者にどのように提示され、宣伝されるかに留意しなければならず、この連合はその目的のために大いに役立つはず」と述べている。

『Fox Sports（フォックス・スポーツ）』の上級副社長であるマイク・マルビヒルは「われわれは試合と当社の放送の整合性を常に最重要視し、スポーツ賭博に関してはファンに責任と倫理性のある取り組みを提供することを約束する」述べた。

全米ギャンブル依存症対策協議会のエグゼクティブディレクターを務めるキース・ホワイトは、「消費者を守るために業界をリードして積極的な変革に踏み切った」と連合の結成を称賛している。

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