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困難な2022年シーズンを終えた後に引退を検討したことを認めたドルフィンズQBタゴヴァイロア

2023年04月20日(木) 13:17


マイアミ・ドルフィンズのトゥア・タゴヴァイロア【AP Photo/Mark J. Terrill】

トゥア・タゴヴァイロアの2022年シーズンは試練に満ちたものだった。そのため、タゴヴァイロアはフットボールから完全に離れることも検討していたようだ。

現地19日(水)、マイアミ・ドルフィンズのクオーターバック(QB)であるタゴヴァイロアは自分の健康とフットボールキャリアを天秤にかけることになった困難な時期を振り返っている。

「ああ、そのことは一時期、考えていたと思う」と語ったタゴヴァイロアはこう続けた。「家族や妻とそういう話をしていたけど、自分の年齢とか息子のことを考えると、このゲームから離れるのは俺にとって本当にきついことだったと思う。息子が父親のやっていることを見て、ちゃんと分かるようになるくらいまで、できる限り長くプレーすることをずっと夢見ていた。自分の健康、自分の身体のことだ。これが自分と家族にとってベストなことだと感じている。俺はフットボールというゲームを愛している。そうじゃなかったら、ずっと前に辞めていただろうな」

昨シーズンに複数回、脳しんとうを起こしたからといって、2023年以降に脳しんとうや慢性外傷性脳症(CTE)のリスクが高まるという証拠はないと医師や専門家から言われたことが、再びプレーするという決断につながったとタゴヴァイロアはつけ加えた。

全国放送されていたシンシナティ・ベンガルズとのサーズデーナイトゲームで、おぞましいケガに見舞われた後を含め、タゴヴァイロアは2022年シーズン中に2度、リーグの脳しんとうプロトコルに置かれている。欠場したのは合わせて4試合だったが、ケガの深刻さゆえに、誰もがタゴヴァイロアの将来がどうなるのかと案じていた。

過去15年間、NFLは選手の安全性を向上させるためにさまざまな取り組みを行ってきたが、その中でもクオーターバックの安全性向上は最優先事項の1つとなっている。ディフェンダーがクオーターバックを倒す方法に関するルールを承認しているリーグ競技委員会は、2008年に元QBトム・ブレイディが膝を負傷してシーズン終了になったことを受けて、パサーの足元に飛び込む行為を違法とした。また、NFLはヘルメットの技術革新も進めており、最新式ヘルメットのテスト結果を毎年発表している一方で、旧型ヘルメットを段階的に廃止している。

それでも、そうした変化はタゴヴァイロアをフル出場させるのに十分なものではなかった。今オフシーズン、自らの手で問題を解決することを決意したタゴヴァイロアは、転倒時に頭を負傷するのを避ける方法を学ぶために、柔術のトレーニングを受けている。

タゴヴァイロアは「明らかに、倒れ方を学んだ」と明かした。「グラップリングのテクニックや、明かすべきではないと思うような他のことも学んだ。でも、主に倒れ方を学んでいる。倒れたときに頭を打たないようにするのは簡単だと思うかもしれないけど、それ以外にもいろいろとあるんだ」

「倒れようとするとき、俺たちはまずクラッシュパッドを使っていた。もちろん、あごを引くことも大事だし、それも1つの方法なんだけど、それ以上に、倒れたときにエネルギーをどう分散させるかという技術に重きを置いている。自分がなりたい体勢とか、そういう体勢じゃない場合に、倒れるときのエネルギーを分散させるために他にできることは何なのか、とかね。そういうのがたくさんあるんだ。“倒れ方を学ぶ”と言っても、実際は想像よりかなりクールなことさ」

“倒れることを学ぶ”というのは単純すぎるように聞こえるが、タゴヴァイロアにとっては最も重要な課題だ。ベンガルズ戦でのタゴヴァイロアの負傷は、ヘルメットが芝生に接触したことによるものであり、結果的に頭と首を負傷したタゴヴァイロアは救急車で地元の病院に運ばれている。クリスマスにグリーンベイ・パッカーズに敗れた試合の前半では、タゴヴァイロアが地面に転がり落ち、後頭部が地面にぶつかったように見えるプレーがあった。試合の翌日、脳しんとうに似た症状を訴えたタゴヴァイロアは、再び脳しんとうプロトコルに置かれている。

2022年シーズンの試練はタゴヴァイロアが選手生活を通して闘ってきたケガのリストに追加された。

タゴヴァイロアが欠場した試合で勢いを失うも、何とかプレーオフ進出を果たしたドルフィンズだったが、フランチャイズクオーターバックがいない状態でポテンシャルを最大限に発揮することはできなかった。タゴヴァイロアがいてこそ目標を達成できることを、ドルフィンズもタゴヴァイロア本人も理解している。また、チームは3月にタゴヴァイロアの5年目オプションを行使することでその思いをさらに強くしているようだ。

「去年の終盤はずっとつらくて、思い通りにシーズンを締めくくることができなかった」と振り返ったタゴヴァイロアは「でも、今は新しい年を迎え、新しいチームができているし、俺たちはみんな本当に楽しみにしている。ロッカールームにビッグネームが勢ぞろいしているのもクールだし、彼らは素晴らしい人たちだ」と続けている。

タゴヴァイロアはオフシーズンのトレーニングで習得した新たな防御スキルと共にフットボールに復帰し、2023年を通してフィールドに立ち続けることを望んでいるはずだ。それはドルフィンズの計画にとって不可欠なことだろう。

【RA】