コラム

フォーブス発表、NFLチーム総資産価値ランキング

2016年09月22日(木) 12:26


カウボーイズの本拠地AT&Tスタジアム【Aaron M. Sprecher via AP】

現地14日、経済誌『Forbes(フォーブス)』が毎年恒例のNFLチーム総資産価値ランキングを発表した。これは同誌が独自に各チームの収益や保有資産などを算定し、毎年シーズン開幕に合わせ発表しているもの。今年で19回目となる。

それによると全チームの平均総資産価値は23億4,000万ドル(約2,387億円)で、昨年と比べて19%の伸びとなった。

トップはカウボーイズの42億ドル(約4,284億円)で、10年連続最高を記録している。オーナーのジェリー・ジョーンズが1989年にカウボーイズを買収したときの金額が1億4,000万ドル(約143億円)だったから27年間で約30倍になった形だ。さらに昨年比でも5%の成長を残している。これは平均入場者数が9万1,459人を記録し、さらに建設費15億ドル(約1,530億円)の本部施設の建設、自動車メーカー、フォードなどとのスポンサー契約が要因となっているようだ。

2位はペイトリオッツの34億ドル(約3,468億円)、3位がジャイアンツの31億ドル(約3,162億円)と続く。

そんな中で今回のランキングのキーワードとなっているのが、本拠地移転と新スタジアムだ。今シーズンからロサンゼルスに移転したラムズの資産価値は今回6位の29億ドル(約2,958億円)と判定されている。これはなんと昨年と比べると2倍なのだ。全米第2の大都市に移転したことでこれほどチームの価値が上がるのである。さらにラムズは4年後ロサンゼルス近郊のイングルウッドに建設中の新スタジアムに本拠を移す予定となっており、完成時にはさらに資産価値が上がることが必至の状況だ。

またロサンゼルスやラスベガスへの移転、もしくは現在の本拠地での新スタジアム建設が噂されているレイダースが47%、やはりロサンゼルス移転と新スタジアム建設を天秤にかけているチャージャースが36%もその資産価値を上昇させている。まだ移転などが決定したわけでもないのに、これほど評価が変化するのが現在のプロスポーツ界らしいところといえるだろう。

さらに今シーズンUSバンク・スタジアムをオープンしたバイキングスも38%、来年メルセデス・ベンツ・スタジアムをオープンさせるファルコンズも27%増となっている。PSLと呼ばれるシーズンチケット購入権の販売などチケット関連収入の増加はもちろんスタジアムのネーミングライツ、命名権による増収が主な要因だ。

最下位はビルズの15億ドル(約1,530億円)だが、7%増だった。資産価値が下がったチームはなく、リーグ全体が成長を続けていることが分かる。

わたなべ・ふみとし

渡辺 史敏
兵庫県生まれ
ジャーナリスト兼NFLジャパン リエゾン オフィスPRディレクター。1995年から2014年3月までニューヨークを拠点にアメリカンフットボールやサッカーなどスポーツと、さらにインターネット、TV、コンピュータなどITという2つの分野で取材・執筆活動を行う。2014年4月に帰国、現職に。『アメリカンフットボール・マガジン』、『日刊スポーツ電子版連載コラム:アメリカンリポート』、『Number』などで執筆中。