コラム

スーパーボウル出演の効果、レディー・ガガや大手スポンサーも

2016年10月06日(木) 13:22


【NFL】

現地9月29日、NFLは来年2月5日にヒューストンのNRGスタジアムで開催される第51回スーパーボウルのハーフタイムショーに世界的スター歌手レディー・ガガが主演すると発表した。ガガは今年2月の第50回に国歌独唱で出演しており、2回連続でパフォーマンスを披露することとなる。

今回の発表は複数のメディアが「レディー・ガガがNFLと契約を結んだ」などと報じる中での公式発表という形となった。このように情報が先行するのはここ2、3年の傾向で、特にアーティスト側がハーフタイムショー出演をアピールの材料として利用するためと見られている。今回のガガも10月21日に新曲“Perfect Illusion”と新アルバム“Joanne”の発売が控えている状況だ。

発表直後の10月2日には第51回スーパーボウルを全米放送する『FOX(フォックス)』のプレゲームショーにNFLのロゴマークがデザインされたTシャツを着て出演し、ショーへの出演への意気込みを語っている。

また近年のハーフタイムショーのアピールという点ではスポンサーによる展開も忘れてはならない。今回はNFLのソフトドリンク公式スポンサーであるペプシが5回連続で冠スポンサーとなっており、そのためハーフタイムショーの正式名称は“PEPSI ZERO SUGAR SUPER BOWL LI HALFTIME SHOW(ペプシゼロシュガー・スーパーボウル51ハーフタイムショー)”となっている。

ペプシの公式サイト『Pepsi.com』では今後ガガがハーフタイムショーに出演するまでの舞台裏を撮影したビデオが順次公開されていくということだ。

さらに今回興味深いのはガガのプロモーションを行うブランドがペプシだけではないことである。ビールの『Bud Light(バド・ライト)』が “Bud Light x Lady Gaga Dive Bar Tour”と銘打ったキャンペーンを開始したのだ。これはやはり新曲と新アルバムの宣伝のため、10月5日からガガがニューヨークのバーなどでゲリラ的にライブを行っていくというもの。

直接ハーフタイムショーには関連していないものの、バド・ライトを発売するアンハイザー・ブッシュ・インベブはビール分野でのNFL公式スポンサーでもある。こうしたこともあってこのキャンペーンを告げるCMは2日行われたサンデーナイトフットボール、チーフス対スティーラーズのテレビ中継で初放送された。

このような重層的で戦略的な展開によりスーパーボウルのハーフタイムショーは1億2,000万人近くが視聴するアメリカ最大の音楽イベントへと育てられていくのである。

わたなべ・ふみとし

渡辺 史敏
兵庫県生まれ
ジャーナリスト兼NFLジャパン リエゾン オフィスPRディレクター。1995年から2014年3月までニューヨークを拠点にアメリカンフットボールやサッカーなどスポーツと、さらにインターネット、TV、コンピュータなどITという2つの分野で取材・執筆活動を行う。2014年4月に帰国、現職に。『アメリカンフットボール・マガジン』、『日刊スポーツ電子版連載コラム:アメリカンリポート』、『Number』などで執筆中。