コラム

アマゾンがローリング・ストーンズの名曲で初のブラックフライデーゲームをアピール

2023年11月19日(日) 06:17

【AP Photo/Reed Saxon, File】

 
IT大手『Amazon(アマゾン)』が史上初のブラックフライデーゲームを伝説的ロックバンド、ローリング・ストーンズの名曲を使って猛プッシュしている。
 

アメリカでは11月の第4木曜日は感謝祭の祝日で、NFLはこれまでこの日に感謝祭ゲームを開催するのが伝統となっていた。この感謝祭の翌日の金曜日はホリデーシーズン商戦の開始日とされ、一挙に小売業が黒字になるという意味で「ブラックフライデー」と呼ばれている。今年、NFLは史上初めてこのブラックフライデーに試合を組み、ドルフィンズ対ジェッツ戦を開催する予定だ。その試合をアメリカで独占配信するのがアマゾンである。
 
プライム会員向けの通常のサーズデーナイトフットボールと違い、無料配信を行うアマゾンがこの記念的な試合のマーケティングに使用しているのがローリング・ストーンズの名曲「黒く塗れ(Paint It Black)」なのだ。この曲を使用したCMでは、NFLのハイライトの連続カットと、ブラックフライデーの試合をプッシュするメッセージがミックスされている。さらにモノクロの映像にカラー映像を織り交ぜて、メッセージを強調する構成となっている。
 
プライム・ビデオで米国のスポーツマーケティングを担当するステイシー・ローゼンソンは「私たちは、選手をプッシュするか、休日をプッシュするかで迷っていましたが、この曲は際立っていました。ブラックフライデーにゲームがあることを伝えるのは大変なことで、黒をテーマにした究極のロックンロール・トラックは、ぴったりでしたし、私たちが伝えたいメッセージにも合っていました。ストーンズもこの広告を承認し、興奮しています」とコメントしている。
 
このCMは第9週のサーズデーナイトフットボール、スティーラーズ対タイタンズを皮切りに、11月24日までのほとんどのNFL試合中継で放映される予定で、さらに感謝祭のパレード中継や感謝祭のファミリー向け番組でも放映されるということだ。
 
ストーンズは1965年のヒット曲「サティスファクション」で商業主義を皮肉るなど、反体制派のイメージもあるが、実際には早くから商業主義を受け入れてもいる。IT大手『Microsoft(マイクロソフト)』は、1995年のウィンドウズ95発売時に「スタート・ミー・アップ」をCMに使用。菓子大手『Mars(マース)』は1990年のスニッカーズのテレビCMに「サティスファクション」を使用するなど、近年では多くの製品がストーンズを商用展開している。

わたなべ・ふみとし

渡辺 史敏
兵庫県生まれ
ジャーナリスト兼NFLジャパン リエゾン オフィスPRディレクター。1995年から2014年3月までニューヨークを拠点にアメリカンフットボールやサッカーなどスポーツと、さらにインターネット、TV、コンピュータなどITという2つの分野で取材・執筆活動を行う。2014年4月に帰国、現職に。『アメリカンフットボール・マガジン』、『日刊スポーツ電子版連載コラム:アメリカンリポート』、『Number』などで執筆中。