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NFLチーム研究所:Week 16 – ボルティモア・レイブンズ

2017年08月12日(土) 12:21

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アメリカ東海岸メリーランド州ボルティモアにはNFL所属チームとして1953年からコルツが本拠を構えていた。しかしながら、コルツは1984年にインディアナポリスへと移転してしまう。移転を阻止できなかったボルティモアではこれ以降NFLチームの招致熱が高まることとなった。1994年には当時アメリカ進出を図っていたカナディアン・フットボール・リーグ(CFL)がボルティモア・CFLコルツ(NFL側の抗議により、後にスタリオンズに改名)を設立し、人気を得たものの、翌1995年いっぱいで消滅する事態にも直面している。

そんな中、ボルティモア移転に乗り出したのが、ブラウンズのオーナー、アート・モデールだったのである。モデールは財政難に陥っており、立て直しのために新しいフランチャイズと新しいスタジアムを望んでいたのだ。ボルティモア市とモデールは秘密交渉の後、1995年11月にブラウンズの移転を発表。クリーブランド市や地元ファンから移転阻止のための訴訟を多数起こされたが、結局翌年2月、チーム名やチームカラーなどブラウンズの資産をクリーブランドに残し、1999年までにブラウンズが復活することを条件に移転が実現したのである。

こうしてブラウンズの名称は使えなくなったため、新たなチーム名が必要となった。当初100以上の候補名が挙がった後に電話調査などによって絞り込まれ、最終的にはファンによる投票で3万3,288票を集めたレイブンズが選ばれている。なぜレイブン(カラス)なのかだが、作家で詩人のエドガー・アラン・ポーの有名な詩“大鴉(The Raven)”に由来する。ポーはそのキャリアの初期をボルティモアで過ごし、1849年に同地で死去、埋葬されたことからボルティモアの偉人と認識されているのだ。

チームカラーはブラック、パープル、メタリックゴールドの3色。ブラックがカラスに由来する一方で、パープルに関しては一説には1995年に開校以来の大躍進を見せたノースウェスタン大学のチームカラーにインスパイアされたためとも言われている。

レイブンズのロゴは1996年から3年間、羽のついたシールド型の中に“B”の文字が描かれたものが使用されたが、1999年以降は“B”の入ったカラスの横顔デザインのものが使用されている。ヘルメットのデカルについても同様だ。

初代オーナーはモデールがブラウンズ時代からそのまま引き継いだ。しかし財政難が続いたため、NFLは株式の一部売却を示唆。2000年に株式の49%をメリーランド州出身のビジネスマン、スティーブ・ビスシオッティに売却することがオーナー会議で可決された。さらに2004年にビスシオッティはオプションを行使して3億2,500万ドル(現在の4億2,031万ドルに相当)で残りの51%を買い取り、2代目オーナーに就任、現在に至る。モデールはその後、2012年に87歳で逝去した。

【渡辺 史敏】

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