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NFLチーム研究所:Week 20 – カロライナ・パンサーズ

2017年09月09日(土) 12:13

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1987年、ノース・カロライナ州出身で元ボルティモア・コルツのワイドレシーバー(WR)であり、引退後にビジネスで成功を収めていたジェリー・リチャードソンがノース・カロライナ州とサウス・カロライナ州を合わせた地域、カロライナズを本拠とし、NFLチーム設立に乗り出すことを発表した。その直前、ノース・カロライナ州シャーロットにプロバスケットボールNBAの新チーム設立が認められたことに刺激を受けた格好だった。

リチャードソンは家族や地元ビジネスパーソンなどとリチャードソン・スポーツを設立し、フランチャイズ権獲得活動を本格化させていく。おりしもNFLではチーム数拡大、エキスパンションの気運が高まっており、複数の都市からチーム設立運動が起こっていたのである。そして1992年にカロライナ、ボルティモア、セントルイス、テネシー、ジャクソンビルの5つの都市と地域が最終候補に残った。翌1993年10月に既存28チームのオーナーたちによる投票で、29番目のチームとしてカロライナが選ばれたのである。その約1カ月後にジャクソンビルも選ばれ、パンサーズとジャガーズは1995年からリーグに参入することとなったのだ。

チーム名は設立活動時からリチャードソンの意向でパンサーズと決まっていた。設立が承認される前の1989年にはリチャードソン所有の車に“PNTHRS”というナンバープレートがつけられていたいたほどである。チームカラーはノース・カロライナ州とサウス・カロライナ州の共通カラーであるブルーを基本としたパンサーブルー、ブラック、シルバーの3色。チームロゴはチームカラー3色で描かれた黒豹の頭部が描かれたものが使用されている。2012年にデザインが変更されたものの、大きな形状の変化はない。チームの本拠地は設立当初からシャーロットのままだが、チームは「2つの州、1つのチーム」を謳い、両州にまたがるチームであることを強調し続けている。

現在、リチャードソンとその家族がチーム株式の48%を保有しており、リチャードソンが筆頭オーナーであり続けている。残りの株を保有しているのは14人のパートナーで構成されるグループだ。

リチャードソンは1959年から1960年の2年間にコルツに所属し、1959年にはチームの新人賞を受賞する活躍を見せたワイドレシーバーで、この年のNFLチャンピオンシップではタッチダウンパスもレシーブしている。現役引退後、このNFLチャンピオンシップを元手にパートナーとファストフードチェーンを設立。食品サービス会社を全米規模にまで発展させるなどビジネスで大きな成功を収めた。

また2011年に労使交渉でオーナー側の主な交渉役の一人を務め、ロックアウト実施でも重要な役割を担うなどオーナーとしてもその存在感を示している。リチャードソンは1983年に死去したジョージ・ハラス以来初の元NFL選手のチームオーナーである。また2017年現在チーム設立時からオーナーを務め続けているのはリチャードソンとテキサンズオーナーのロバート・マクネアだけである。

【渡辺 史敏】

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