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語り継がれる名勝負 - トム・ブレイディ、初めてのスーパーボウル優勝

2017年01月19日(木) 05:17
第36回スーパーボウル(2002年2月3日)

セントルイス・ラムズ vs. ニューイングランド・ペイトリオッツ

結果:17 – 20
会場:ルイジアナ・スーパードーム(現メルセデス・ベンツ・スーパードーム/ルイジアナ州ニューオーリンズ)

トム・ブレイディは2000年のドラフト6巡、全体199番目の選手としてニューイングランド・ペイトリオッツに入団した。1年目の出場では、わずか3回のパスを放っただけ。2年目には先発クオーターバック(QB)であるドリュー・ブレッドソーが第2週でケガを負ったため、第3週から先発として登板した。0勝2敗で始まったシーズンだったが、終わってみれば11勝5敗。AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)の第2シードとしてプレーオフに出場し、スーパーボウルまで勝ち上がっている。

一方、セントルイス・ラムズは“グレイテスト・ショー・オン・ターフ”と称される攻撃を看板とする強豪。QBカート・ワーナーは2度目のMVP、ランニングバック(RB)マーシャル・フォークはランとレシーブを合わせて2,147ヤードをたたき出し、年間最優秀攻撃選手に選出されていた。シーズン終了時の成績は14勝2敗。オッズは14点差でのラムズ勝利が予想されていた。

しかし、試合ではペイトリオッツ守備陣が大奮闘を見せる。前半で2度のターンオーバーを奪い、14対3とリード。第3クオーターでもQBワーナーのパスをインターセプトし、フィールドゴールで17対3に。そこからラムズが巻き返し、第4クオーター残り1分37秒で17対17の同点につけた。

プロ2年目のQBトム・ブレイディは、ここから第1ダウンを3回更新し、敵陣30ヤード地点まで一気に攻め込む。残り7秒、キッカー(K)アダム・ビナティエリの48ヤードフィードフィールドゴールが見事に成功。20対17でラムズを破り、ニューイングランド・ペイトリオッツがスーパーボウル初優勝をさらった。

2001年9月11日はアメリカ同時多発テロ事件があり、スーパーボウルの日程も1週間延期されていた。厳戒態勢の警備が敷かれたこの試合で、ペイトリオッツ(愛国者)と名前のついたチームが、予想を裏切る活躍で勝利したことは、まさに象徴的でもあった。

2000年、トム・ブレイディが入団した年と同じくして、ビル・ベリチックもヘッドコーチ(HC)に就任している。HCベリチックが指揮を執り、QBブレイディがけん引するニューイングランド・ペイトリオッツはこの第36回を含め、これまでにスーパーボウル優勝5回、準優勝2回を記録している。

【文 ハナ・パドル】