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バイキングスがQBカイラー・マレーとリーグ最低金額の1年契約を締結

2026年03月13日(金) 09:30

アリゾナ・カーディナルスのカイラー・マレー【Brooke Sutton via AP】

2019年NFLドラフト全体1位指名を受けた選手がツインシティーズに降り立った。

現地11日(水)にアリゾナ・カーディナルスから正式に放出されたクオーターバック(QB)カイラー・マレーがミネソタ・バイキングスとリーグ最低金額での1年契約にサインしたと、『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートとトム・ペリセロが木曜日に報じた。

マレーとバイキングスの契約にはノータグ条項が含まれていると、ラポポートとペリセロはつけ加えている。

その後、バイキングスが正式に契約を発表した。

ペリセロは水曜日の時点で、マレーが2026年にクオーターバックを必要とする3チームから5チームと話をすると見られ、来るシーズンに印象的なパフォーマンスを発揮して来年再びフリーエージェント(FA)市場に出る道筋を整える見込みだと報じていた。

バイキングスがマレーと最低金額で契約できたのは、2024年にラッセル・ウィルソンがピッツバーグ・スティーラーズと、今年にトゥア・タゴヴァイロアがアトランタ・ファルコンズと契約したケースと同様だと言える。マレーは2022年にサインした契約延長の一環として、今シーズンにカーディナルスから3,680万ドル(約58億5,287万円)が保証されるからだ。

シーズン終了につながる足のケガから復帰し、7シーズンにわたるカーディナルス時代を精彩を欠く形で終えたところから巻き返そうとしているマレーの移籍先として、ヘッドコーチ(HC)ケビン・オコンネル率いるバイキングスは最有力候補となっていた。マレーがバイキングスの先発として加入するのか、それともJ.J.マッカーシーとQB1の座を争うことになるのかは不明だが、バイキングスは今年のQB陣に選択肢と競争を求めていることを明確にしている。

木曜日に『Zoom(ズーム)』で臨んだ記者会見で、先発に指名されると予想しているのか、それともその座を争うことになると予想しているのかと質問されたマレーは「この機会にただただ感謝している。加入して競い合うのが楽しみだ」とコメント。

そして、マレーは「時が来れば」準備はできているとつけ加えた。

7年間の大半をカーディナルスの顔として過ごしてきたマレーは、キャリアの再建に乗り出そうとしている。オコンネルHC率いるバイキングスはマレーにとって理想的な環境と言えるかもしれない。

オコンネルHCは過去にもバイキングスでカーク・カズンズやサム・ダーノルドの指導で成功を収めてきた。ダーノルドは昨オフシーズンにバイキングスを去り、シアトル・シーホークスを率いて第60回スーパーボウル制覇へと導いている。

28歳のマレーは昨季に5試合しか出場せず、パス成功率68.3%、1試合平均192.4ヤード、タッチダウン6回、インターセプト3回、パサーレーティング88.6という数字にとどまった。好調なときはダイナミックなデュアルスレットQBとして活躍できるマレーだが、パスでもランでもカーディナルス攻撃陣を活性化させられなかった。勝利にはつながらなかったものの、ベテランバックアップQBジャコビー・ブリセットが司令塔を務めた試合の方がオフェンスの生産性は高かったと言える。

2022年にACL(前十字靭帯/ぜんじゅうじじんたい)を断裂したうえに、昨季も足を負傷したことで、マレーは2022年から2025年にかけて合計27試合を欠場した。そのプレーの質も明らかに低下している。

2019年AP通信NFL攻撃部門年間最優秀新人賞に輝き、2度のプロボウル選出を果たしたマレーは、パスヤード(2万0,460ヤード)とタッチダウンパス数(121回)でフランチャイズ史上3位の成績を残してカーディナルスでのキャリアを終えた。マレーはランでも3,193ヤード、タッチダウン32回をマークし、いずれもクオーターバックの成績としてチーム史上最多となっている(殿堂入りしたチャーリー・トリッピは主にランニングバック兼ディフェンシブバックとしてプレーしていたため除外)。

マレーは最初の3シーズンでいずれも3,700パスヤード以上、20回以上のタッチダウンパスを記録した。『NFL Research(NFLリサーチ)』によると、キャリア最初の3シーズンでそれを達成したのは、ロサンゼルス・チャージャーズのジャスティン・ハーバート、元QBアンドリュー・ラック、元QBペイトン・マニングとマレーの4人だけだという。

また、マレーは1試合平均で230パスヤード以上と30ランヤード以上をマークしており、この記録を達成したのは歴史上、バッファロー・ビルズのQBジョシュ・アレンとマレーの2人のみとなっている。

とはいえ、2022年にACLを断裂してからマレーのラン記録は低迷。2019年から2022年までは試合平均38.7ヤードを記録し、23回のタッチダウンランを決めていたが、2023年以降はタッチダウンランがわずか9回にとどまり、試合平均ヤードも33ヤードとなっている。

「乾杯」

現在、バイキングスでは2人の元1巡目指名選手の将来が不透明となっている。

2024年ドラフトでバイキングスから全体10位指名を受けたマッカーシーは、過去2シーズンの出場数がわずか10試合だ。ルーキーシーズンはプレシーズンでの膝の負傷により全試合を欠場し、昨季もさまざまなケガの影響で10試合の出場に限られた。マッカーシーは強肩を披露した一方で、しばしば狙いが定まらず、不安定さも目立っていた。

マッカーシーは昨季にパス成功率57.6%、タッチダウン11回、インターセプト12回、パサーレーティング72.6を記録している。

バイキングスがプレーオフ進出を逃し、期待を大きく下回る結果に終わった後、フリーエージェントとして退団したダーノルドがシーホークスでロンバルディトロフィーを掲げたことで、2025年のバイキングスの苦戦に対する印象はさらに悪化した。

バイキングスのクオーターバックをめぐる問題が未解決の中、少なくとも2026年に向けてはマレーがQB1の有力候補としてその議論に加わることになる。

【RA】