ジェッツRBコーエンが復帰を断念して引退を表明
2024年08月02日(金) 11:32ニューヨーク・ジェッツのランニングバック(RB)タリク・コーエンはもう太っていない。そして、もうNFLのキャリアを追いかけることもない。
リターナーとしてプロボウルに選ばれたことのあるコーエンは、フットボールから引退する旨をジェッツに伝え、チームは現地1日(木)の午後に発表した。ジェッツはその後にコーエンをリザーブ/引退リストに登録している。
コーエンは2023年をカロライナ・パンサーズの練習生として過ごした後、このオフシーズンにジェッツと契約。火曜日にコーエンは記者団に対し、写真に写った自分の残念な姿を見たことがきっかけでカムバックへの道を歩み始めたと話し、「自分を太らせてしまった」と認めていた。
度重なるケガによって何度もキャリアの中断を余儀なくされた29歳のコーエンは、「万全の状態に戻った気がする」と話していた。
それからわずか2日後、コーエンは復帰を断念した。
2017年ドラフトの4巡目指名でシカゴ・ベアーズに入団したコーエンは、明るい未来を期待されていた。2018年にはプロボウルに選出されてリターナーとして活躍し、バックフィールドでのパスキャッチもこなした。今日のNFLではパスキャッチもできるランニングバックが重宝されるため、コーエンは長く充実したキャリアを歩むかと思われた。
しかし、ベアーズと3年間の契約延長を結んだ直後のコーエンを、悲劇が襲う。
2020年のシーズン第3週の試合でコーエンはパントをフェアキャッチした際に下半身をヒットされ、ACL(前十字靭帯/ぜんじゅうじじんたい)とMCL(内側側副靭帯/ないそくそくふくじんたい)を断裂。さらに、脛骨高原(けいこつこうげん)も骨折した。
それ以来、コーエンがレギュラーシーズンのスナップに参加することはなかった。
コーエンは2021年シーズンをリザーブ/PUP(故障者)リストに載せられたまま過ごし、2022年にベアーズから放出。トレーニング中にアキレス腱を断裂した後、2023年に復帰許可が下りた。最終的にパンサーズの練習生になったものの、ハムストリングを負傷したことで昇格のチャンスを失った。2024年5月にパンサーズからリリースされたコーエンは、その直後にジェッツと契約している。
コーエンにとって、トレーニングキャンプから53人のロースターに登録されるのは難しい状況だったとはいえ、新しいキックリターンのルールが導入されことによって、持ち前の俊敏性を生かしてNFLでまだプレーできることを証明する機会はあった。ジェッツのキャンプではキレのある動きを見せており、ヘッドコーチ(HC)のロバート・サラーも「元の勢いを取り戻したようだ」と話していた。
3シーズンにわたってNFLで最もエキサイティングなリターナーの一人として活躍したコーエンは、自らの意思で引退を決めた。数々の逆境やケガを乗り越えてきたコーエンには、その権利があると言えよう。
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