NFLテクノロジー・イノベーション・ハブは、最先端の技術を試合や事業運営、ファン体験に取り入れるというリーグの取り組みを大きく前進させるものだ。このハブ（拠点）はシンクタンクであり、そこからリーグの戦略的目標に沿った起業家プロセスを通じて新たなアイデアや技術が設計され、テストされる。ハブは単なるプロジェクトや製品ではなく、NFLとその32チーム、そして市場をリードするテクノロジーパートナーの英知を結集した包括的な戦略的ソリューションだ。

NFLの上級副社長兼チーフ・インフォメーション・オフィサーであるゲイリー・ブラントリーは「ハブの戦略と枠組みは持続可能性にとって重要だった」と述べている。

「その背後にあるビジョンは、リーグの目標に真に対応する技術を監視・測定するための枠組みに結びついた、部門横断的なシンクタンクを作り出すことだった。この取り組みに不可欠だったのは、退役軍人や女性、マイノリティが所有する小規模経営コンサルタント会社である“N-Ovate Solutions（ノヴェイト・ソリューションズ）”との戦略的協力だった。彼らの革新的なソートリーダーシップ、変化、回復力における専門知識は、この新しいイニシアチブを導き、形成する上で極めて重要だった」

NFLは、コーチや選手が試合中にサイドラインで使用する『Microsoft（マイクロソフト）』のタブレット端末“Surface（サーフェイス）”や、『Verizon（ベライゾン）』が提供する特注のプライベート無線コーチ間コミュニケーションシステム、『Amazon Web Service（AWS／アマゾン・ウェブ・サービス）』と共同開発した“Next Gen Stats（ネクスト・ジェン・スタッツ）”システムなど、先進的な技術の導入を通じて、ゲームを促進させる先導役となってきた。リーグは今日、ハブを通じてこの伝統を引き継ぎ、生成AIや低遅延の拡張現実といった新たな技術の適用に重点を置きながら、プレーとファン体験を向上させている。ハブは“Sony Hawkeye（ソニー・ホークアイ）”による光学トラッキング技術を用いたライン・トゥ・ゲイン測定など、最近の技術インキュベーションの中心となってきた。

NFLのフットボールビジネスおよびイノベーション戦略担当上級副社長であるキンバリー・フィールズは「（ライン・トゥ・ゲインの）イニシアチブは内部の組織横断的なチームと主要なフットボール委員会の支援を受けて実施されました」と述べ、こう続けている。

「私たちは2023年シーズン中に、水面下で複数のソリューションをテストしました。速度、正確さ、そして選手、審判、放送関係者、ファンに対する変化の影響を考慮し、包括的なアプローチをとっています。長期的な視野に立ち、チームメイトやパートナーと協力して新しい使用ケースに展開できるソリューションを設計することを目指しました。ソリューションの導入においては、その堅牢性を確保すると同時に、リーグの国際的な拡大に合わせて持ち運び可能であることにも注意しなければなりません」

リーグがハブに最も期待している点の1つが、クラウドソーシングによる開発アプローチだ。開発プロセスにテクノロジーパートナーや新興企業、イノベーターを参加させることで、NFLは新しいアイデアが開花し、システムの能力や機能、多用途性を繰り返し改善できるダイナミックなエコシステムを育んでいる。

NFLの副最高情報責任者であるアーロン・アメンドリアは「われわれはテクノロジーパートナーとともに、リーグだけでなくパートナーにとってもインパクトのある製品やソリューションを開発している」とコメント。

「“Accenture（アクセンチュア）”のようなイノベーションパートナーが持つ経験、深い知識、拡張能力は、NFLに強力な乗数効果をもたらす。ハブは、非常に競争が激しく、要求の厳しい実際の運用環境で技術を開発し、磨きをかける機会を提供する」

ハブが進展するにつれて、アイデアや機会がプログラムに提出され、ITやサイバーセキュリティ、デジタルメディア、放送、ビジネス開発、データ分析、選手の健康と安全の専門家を含む作業グループによって審査される。最も可能性が高く、NFLのビジネス目標に合致するアイデアは、テストされ、調整され、実用最小限の製品（MVP）となり、本番使用の承認を得るためにリーグの執行委員会に提出される。これは、スポーツ技術の革新をリードするために設置されたNFLの“シャークタンク（投資を得るために競い合うリアリティ番組）”だと言えるだろう。

「NFLは長い間、技術革新と新技術の採用においてリーダー的存在となっている」と述べたブラントリーは「この新しいハブによって、われわれは最新の技術トレンドを活用し、複数の技術を戦略的に統合してファン体験を向上させるパイオニアであり続けている」と続けた。

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