ファルコンズを逆転勝利に導いたQBカズンズ、「シーズンの物語を本当に変えるかもしれない」
2024年09月17日(火) 23:08セーフティ(S)ジェシー・ベイツ三世が驚異的な逆転劇を締めくくった直後、アトランタ・ファルコンズのオーナーであるアーサー・ブランクがサイドラインで満面の笑みを浮かべて喜んでいる姿が見られた。
クオーターバック(QB)カーク・カズンズが魔法のような1分5秒の間に成し遂げたプレーが、ブランクの笑顔を生んだのだった。
カズンズは現地16日(月)夜にファルコンズを見事な逆転勝利へと導き、22対21でフィラデルフィア・イーグルスを破っている。試合時間が残り34秒となった時点で、カズンズがワイドレシーバー(WR)ドレイク・ロンドンへの同点タッチダウンパスを成功させ、その後、キッカー(K)ヤンオエ・ク―が決勝エクストラポイントを決めた。
ファルコンズのヘッドコーチ(HC)ラヒーム・モリスは、この試合でパス29回中20回成功、241ヤード、タッチダウン2回をマークしたカズンズについて「今日、彼は最も重要な場面で、大事な時に大きなプレーを決めてくれた」と述べ、こうつけ加えている。
「勝利をつかむチャンスがあるとき、こうしたプレーが必要だ。カーク・カズンズがそのようなプレーを見せてくれて本当に良かった」
カズンズとファルコンズにとってはまさに衝撃的な勝利だったが、同時にイーグルスにとっては信じがたい敗北だった。イーグルスは実に4クオーター近くにわたってファルコンズのパス攻撃を171ヤードに抑え、勝利をほとんど手中に収めたかのようだったが、カズンズがまさに奇跡的な逆転劇を演じたのだ。
シーズン第1週の敗戦で大きくつまずいたものの、今回のパフォーマンスはファルコンズがこのオフシーズンにカズンズと高額契約を結んだ理由を示すものであり、ファルコンズの将来への期待を再び高める内容だった。
カズンズは、この勝利を特別なものにしているのは「逆転勝利。タフな環境で、強いチーム相手にアウェーで勝つ方法を見つけ出したことだ」と語り、次のように続けている。
「それが決意を固めて、根性を鍛えて、シーズンが進むにしたがってよりどころにすべき気質を育むんだ。それがNFLのフットボール。こういう状況に慣れて、快適に過ごせるようにならなきゃ。試合はこういう展開になりがちだからね。戦いの中で経験を積んで、こういう瞬間を迎えることができれば、この先の試合に向けていい準備ができると思う」
残り時間1分39秒の時点で、ファルコンズが21対15でリードされている中、カズンズが攻撃を開始。第3クオーターにはWRダーネル・ムーニーに41ヤードのタッチダウンパスを通していたものの、カズンズは試合の大半で決して最高のプレーをしていたわけではなかった。70ヤード先のエンドゾーンを目指して6点差を追う中で、カズンズは以前と変わらない鋭いプレーを見せつけている。
カズンズは恐れを見せることなく自信を持って投げ、6回中5回のパスを成功させて、このドライブに必要だった70ヤードのすべてを稼いだ。
カズンズはタイトエンド(TE)カイル・ピッツへの11ヤードのパスを皮切りに、ムーニーへの20ヤード超えのパスを2回通し、続いてロンドンに6ヤードのパスを決め、敵陣7ヤード地点まで前進。そして、第3ダウン残り5ヤードの場面で、カズンズは再びロンドンを見つけ、今度は右のパイロンの内側にタッチダウンパスを通している。
しかし、ドラマはまだそこで終わりではなかった。ロンドンが物議を醸すアンスポーツマンライクコンダクト(スポーツマンシップに欠ける行為)で反則を取られ、勝利するためにはクーが48ヤードのエクストラポイントを決めることを余儀なくされたのだ。
クーがキックを決めてからほどなくして、ベイツのインターセプトが勝利を確実にした。
ホーム初戦でまさかの敗北を喫したイーグルスが呆然とする中、ファルコンズは歓喜に包まれていた。
それまでのファルコンズは、ペンシルベニア州の2チームを相手に、シーズン最初の6クオーターで失速していたのだ。
シーズン第1週では、カズンズはわずか155パスヤード、タッチダウン1回、インターセプト2回という成績に終わり、ピッツバーグ・スティーラーズに18対10で敗北。
月曜日の試合では、カズンズ率いるファルコンズはハーフタイムの時点で7対6とリードを許しており、ベテランQBのカズンズはパス13回中わずか7回の成功で、75ヤードという状況だった。
公平を期して言えば、ファルコンズのランゲームは少なくともヤード数では結果を出していた。ファルコンズは前半だけでランで合計109ヤードをマークしている。しかし、オフェンスを再び活性化させ、スリリングな逆転劇を導いたのはカズンズだ。
つい最近まで、カズンズにはプライムタイム、特に月曜夜の試合で結果を出せないという評判がつきまとっていた。カズンズはキャリア最初の9回のマンデーナイトゲームすべてで敗北。その0勝9敗の状況から、カズンズは評価を一変させている。今回のフィラデルフィアでの劇的な試合を受けて、カズンズは直近5回のマンデーナイトゲームで4勝を挙げた形となった。
次にカズンズが目指すのは、アトランタでの評価を変えることだ。ファルコンズは6シーズン連続でプレーオフ進出を逃しており、その流れを断ち切るためにカズンズと契約した。
カズンズは「勝つ方法を見つけることがとても重要だ」と話し、こう続けている。
「素晴らしいシーズンを送るには、こういったどちらに転ぶか分からない試合で、自分たちの方に流れを引き寄せる方法を見つけることが大事なんだ。これがこのリーグのあり方なのさ。だから、わずかな差でも見つけられれば、それがシーズンの物語を本当に変えるかもしれない。これから先、そういう試合がもっとあるだろうし、チーム全体として、勝利をつかむためにプレーを成功させる方法を見つけ続けなきゃならない」
【KO】