試合終了間際のFGブロックでチーフスの無敗を維持したLBシェナル
2024年11月11日(月) 11:04NFL史上唯一、無敗でスーパーボウル制覇を成し遂げた1972年シーズンのマイアミ・ドルフィンズは、現地10日(日)にデンバー・ブロンコスが35ヤードのフィールドゴールを決めるのを心待ちにしていた。しかし、あまり注目されてこなかったカンザスシティ・チーフスのラインバッカー(LB)が16対14でブロンコスに劇的な勝利を収めた試合の最後のプレーで頭角を現した際に、彼らは祝杯の準備を取りやめることになった。
レオ・シェナルはブロンコスのプロテクションを突破し、キッカー(K)ウィル・ルッツのキックを試合終了間際にブロック。チーフスの無敗シーズンを維持するのに印象的な形で貢献した。
チーム公式記録によると、クオーターバック(QB)パトリック・マホームズは勝敗を決定づけたシェナルのブロックについて「こういう瞬間のために生きているんだ」と話したという。
「フットボールをしながら育ったら、どんな形であれウオークオフ(決着をつけるプレー)を決める瞬間を待ち望むものだ。こうして長い時間をかけてチームメイトと信頼関係を築いてきて、そんな仲間たちがああいうプレーを決めるのは、特別なことだ。レオはあの瞬間を一生忘れないだろう。みんなで一緒にそれを経験できて本当にうれしい」
シェナルがそのプレーで見せた力強さと運動能力は目を見張るものだった。身長約191cm、体重約113kgのシェナルはブロンコスのセンター(C)アレックス・フォーサイスを後ろに倒し、ボールを蹴ろうとしていたルッツに向かって飛び込んでボールを止めた。アローヘッド・スタジアムは熱狂の渦に包まれ、チーフスの成績は9勝0敗となっている。
マホームズはシェナルについて「彼はものすごく強い」と語った。
「Dラインマン(ディフェンシブラインマン)のような強さを持ちながら、ラインバッカーポジションでプレーしている。彼がトレーニングしているときに、端にいたい人はいないはず。俺たちは彼のことをジョン・シナって呼んでいるんだ。彼は全力で取り組む人だし、あのパワーと一緒にスピードや運動能力も兼ね備えているから、オフェンスでも起用されている。スーパーボウルでもそうだったし、今日もまた活躍してくれた」
シェナルのチームメイトたちが左サイドでブロンコスのフィールドゴールユニットを崩したことも功を奏した。その中にはディフェンシブエンド(DE)ジョージ・カーラフティスやLBジャック・コクランが含まれており、シェナルはそのプレーにおける彼らの努力をしっかりと評価している。
「ボールは俺の手のひらの真下にあったんだ。みんなの力強い後押しのおかげで、やり遂げることができた。しばらくの間、ああいう場面で勝つことについて話していたんだけど、今回は重要な場面でそれを実現できた」とシェナルは話している。
マホームズが言及したように、シェナルが重要な場面でキックをブロックしたのはこれが初めてではない。現在24歳のシェナルは今年2月に行われた第58回スーパーボウルの第4クオーターで、サンフランシスコ・49ersのKジェイク・ムーディのポイントアフターアテンプトを手で阻止。これにより、49ersのリードは3点にとどまり、そこから追い上げたチーフスが延長戦の末にスーパーボウル連覇を成し遂げた。
ブロンコス戦でプレーを決めた後にそのプレーについて尋ねられた際も、突進してその瞬間を生み出すのに貢献したDEマイケル・ダナを称賛したシェナルは、次のようにコメントしている。
「(スーパーボウルのプレーについては)マイク・ダナに賛辞を送りたい。スタッツでは俺が触ったことになっているけど、本当の意味でボールを止めたのは彼だ。スタッツには反映されていないけど、彼の功績は大きい」
このような選手だからこそ、チーフスではシェナルがそのプレーを決めたことに驚く者も、手柄を主張する者も現れなかったのだ。
ヘッドコーチ(HC)アンディ・リードは試合後に「彼は素晴らしいアスリートで、大きくて力強い子だ。練習でも試合でも常に全力でプレーして、どこでもプレーするが、決して多くを語らない」と述べている。
「(彼は)大家族の出身で、40人くらい兄弟姉妹がいるから、分け合うことに慣れているし、誰が評価されようとされまいと気にしない。ただ、やるべきことをやるだけだ」
今回の勝利はチーフスにとって2024年シーズンで7回目のワンスコア差での勝利となった。『NFL Research(NFLリサーチ)』によると、最終的にスーパーボウルを制したチームの中で最も多くのワンスコア差勝利を記録したのは2015年のブロンコスと1986年のニューヨーク・ジャイアンツで、その数は9回だという。
勝敗を決定づけたシェナルのブロックはチーフスの無敗シーズンを彩る新たな名場面となり、史上初のスーパーボウル3連覇を狙う中での布石となった。しかし、2024年シーズンに完璧な成績を収めているチーフスは、次の日曜日に最も厳しい試練に直面することになるだろう。
チーフスはシーズン第11週に敵地でAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)のライバルであるバッファロー・ビルズ(8勝2敗)と対戦する。このおなじみの対戦を前に、1972年シーズンのドルフィンズは自分たちの記録を維持できたことを祝うためにシャンパンボトルを冷やしておくかもしれない。しかし、歴戦のチーフスがまたしても信じられない方法でその栓を抜かせないようにする可能性もある。
【RA】