ジャイアンツがQBダニエル・ジョーンズを放出
2024年11月23日(土) 18:11ニューヨーク・ジャイアンツで6年を過ごし、スカウトチームのセーフティとして1日限りの練習に参加し、感動的な別れのメッセージを残したダニエル・ジョーンズがチームを離れることになった。
ジャイアンツがジョーンズのリリース要請を受け入れる形で、現地22日(金)に放出することを正式に発表。
ジャイアンツのチームオーナーであるジョン・マーラは声明の中で「今朝、ダニエルが会いに訪れ、リリースすることを求めてきた。これが彼にとってもチームにとっても最善であると双方が合意した。ダニエルはこの組織を素晴らしい形で代表し、また、すべての局面で一流だった。今の状況に対する昨日の対応がまさにそれを示している。当然ながら、われわれ全員がこの結末を残念に思っている。ダニエルには深い敬意を抱いており、これまでの貢献に心から感謝する。彼の今後の活躍を願うばかりだ」と述べている。
木曜日の練習後に明かされたジョーンズの声明のトーンを考えると、ジョーンズとジャイアンツが袂を分かつのは自然な流れだったと言えよう。かつてドラフト1巡目指名を受け、4年総額1億6,000万ドル(円)の契約延長を締結していたものの、2024年シーズンのパフォーマンスは先発クオーターバックとしての基準を満たせず、今週初めにはヘッドコーチ(HC)を務めるブライアン・ダボールによって正式にベンチに下げられ、さらにデプスチャートでは4番手の位置まで降格した。4番手QBの立ち位置は先ごろ加入したばかりのティム・ボイルよりも後ろだ。
論理的に、ジョーンズの降格はパフォーマンスの低迷が理由だ。ジャイアンツオフェンスはリーグ最下位の1試合平均15.6得点にとどまっており、一時的な成功があったにせよ、ジョーンズは直近の試合で全体的に不調だった。とりわけ、ドイツ・ミュンヘンで挑んだシーズン第10週カロライナ・パンサーズ戦はオーバータイムで2回のインターセプトを喫して敗北に終わっている。
財政的な要素も大きな影響を及ぼした。ジョーンズの報酬とボーナスは2023年と2024年の分が完全保証されているが、2,300万ドル(円)を受け取る予定だった2025年は負傷した場合のみが保証対象だ。もし、ジャイアンツが今シーズン終了後にジョーンズを放出する場合はケガのリスクを回避する必要があったため、デプスチャートの番手が最上位から最下位に下がったのはこれが理由だ。
ジョーンズは自ら放出を要請する必要はなかったものの、木曜日の練習で降格に注目が集まったこともあり、練習を終えて、離脱するのが最善であり、NFLの舞台で次にプレーする場所を探すために決断を下した格好だ。チームの合意を経て、ジョーンズとジャイアンツの物語は幕を閉じる。
キャリア序盤の数年は苦戦を強いられながらも、2022年にダボールが指揮官に就任して以降、ジョーンズはジャイアンツのプレーオフ進出に貢献し、タッグを組んだ最初のシーズンにはミネソタ・バイキングスを相手にポストシーズンのサプライズ勝利も記録し、これがジョーンズの契約延長につながったが、次の2シーズンはミラクルを再現できず、1億6,000万ドルの契約延長は日に日に重荷となっていた。その中で、パンサーズ戦に敗れたことで状況が悪化、ダボールHCはジョーンズをベンチに下げることを決断し、これがジョーンズのジャイアンツでの未来に関する最終判断のような形になった。
ダボールHCは金曜日、「ダニエルとは非常に良い話ができた。彼のことは本当に尊敬している。繰り返しになるが、この結果はわれわれが望んでいたものではない。ただ、彼はプロとして立派な態度を示してくれた。本当に素晴らしい若者だ」とコメントしている。
ダボールHCによると、チームには金曜日のウォークスルー前にジョーンズ放出を知らせたという。ジャイアンツはシーズン第12週にタンパベイ・バッカニアーズと対戦予定だ。
「知らせた。彼らには知らせておきたかった」と明かしたダボールHC。
キャリア6年目のジョーンズはウェイバーにかけられる。ただ、『NFL Network(NFLネットワーク)』のトム・ペリセロはジョーンズを獲得するチームは2024年に保証されている1,183万3,333ドル(円)の支払い義務を負うことになるため、獲得に乗り出す可能性が低いと報じている。
それでも、今のタイミングでジャイアンツを離れることでニューヨークでの厳しい注目から解放される上、ジョーンズは新たなスタートを切る時間を得られる。一方のジャイアンツも、ジョーンズの今後に関する質問に答えなければならない状況を免れる。
今後、ダボールHCは先発QBにトミー・デヴィートを据えたデプスチャートで戦っていく。目下、ジャイアンツは戦績2勝8敗とあって、今季残る7週でダボールHCもまた自らの地位を守るためには成果を示さなければならない。
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