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プレーオフでの勝利が地元を“元気づけるもの”になることを願うラムズQBスタッフォード

2025年01月15日(水) 13:39


ロサンゼルス・ラムズのマシュー・スタッフォード【AP Photo/Godofredo A. Vasquez】

南カルフォルニアで山火事が猛威を振るう中、ロサンゼルス・ラムズはポストシーズンのホームゲームを約400マイル(約644km)離れた場所で行うことを余儀なくされた。

アリゾナ州グレンデールで試合に臨んだとしても、ラムズが現地13日(月)夜に自分たちの街のためにプレーしていることは明らかだった。

ラムズが地元を思って戦う姿は、クオーターバック(QB)マシュー・スタッフォードがオフェンスを率いて先制点を挙げた瞬間から、ミネソタ・バイキングスを27対9で下したその瞬間まで、一貫して示されていた。

ヘッドコーチ(HC)ショーン・マクベイとそのチームは、今回の勝利によって街に笑顔になる理由を与えられたことを願っている。たとえ、恐ろしい災害が続く中でのたった一夜だったとしてもだ。

マクベイHCは第56回スーパーボウル以来初となるホームでのプレーオフ勝利を収めた後、「私たちの地域で起こっているすべてのこと、選手たちが経験してきたすべてのことを踏まえ、彼らが街を正しく象徴し、代表していると感じた」と述べている。

「スポーツが人々に一時的な安らぎを与える場を提供するという話があるが、今夜の私たちの戦いぶりはその通りだと感じた。つながること、団結すること、戦うこと、回復力など、それらはすべて、私たちが今シーズンを通して経験してきた困難を乗り越えて築き上げてきた素晴らしい特性だ。彼らのことを本当に誇りに思っているし、前進することにワクワクしている」

南カリフォルニアがさらなる強風に耐える中、第4シードのラムズはディビジョナルラウンドに進み、日曜日に敵地で第2シードのフィラデルフィア・イーグルスと対戦する予定だ。

依然として火が燃え続け、風が吹き荒れ、人々が再建の時期や方法について答えを模索する中、ラムズは苦境に立つファンたちにさらに元気づけられるような要素を与えようとしている。

月曜日、ラムズはファンからの声援を糧にしながら、自分たちも彼らを鼓舞しようとしていた。

スタッフォードはパス27回中19回成功、209ヤードを記録し、プレー7回、70ヤードのオープニングドライブでランニングバック(RB)カイレン・ウィリアムズに通した5ヤードのタッチダウンパスを含め、2回のタッチダウンを決めた。そのスタッフォードは「自分たちのためだけにプレーしているわけじゃないってことは分かっていた。俺たちは見て楽しむものを必要としている地元の人たちのためにプレーした」とコメントしている。

先週火曜日、南カリフォルニアで命にかかわる可能性のある強風が吹き始め、パシフィック・パリセーズで発生した火災が連鎖的な火災を引き起こした。パシフィック・パリセーズ火災に続き、イートン火災(アルタデナ/パサデナ)やハースト火災(シルマー)が発生。また、ケネス火災など、南部地域が次々と炎に包まれている。

NFLが火災の状況を注視し、ラムズのホームゲームをアリゾナ・カーディナルスの本拠地で開催する可能性が出てきた中で、マクベイHCは先週木曜日に報道陣に対応し、試合はSoFiスタジアムで行われると信じていると述べた。それから間もなくして、前述のケネス火災が発生したウッドランドヒルズにあるチームの練習施設から、煙が見えるようになった。

その直後、リーグは試合の開催場所を変更。

計画やホームフィールドが変更された中、家族やペットを連れて移動したラムズの面々は、最も苦しい時期にプレーオフゲームに勝つことに集中しようとした。

月曜日の試合でラムズが記録した9回のサック中2回を決めたディフェンシブエンド(DE)コビー・ターナーは『NFL Network(NFLネットワーク)』のブリジット・コンドンに「今週は街を背負って戦った」と話している。

「勝ててうれしい。マクベイは1週間を通して、俺たちがこういう瞬間に対応できるように構築されているという話をしてくれた。今シーズン、これまで自分たちが経験してきたことは、すべてこの瞬間に向けての準備だったんだ」

月曜日の試合では、集中力が欠けるのではないかという懸念もすぐに払拭された。

スタッフォード率いるオフェンスが先制点を挙げた後、ラムズ守備陣はサム・ダーノルドとバイキングスのオフェンスを封じ込めている。ラムズはハーフタイムの時点で24対3とリードを広げ、試合終了まで30分を残した時点で勝利をほぼ確実にしていた。

マクベイHCは「彼らの目には力が宿っていた」と述べ、「集中力があった。私たちが完璧なバランスを保つことを目指している、適切な緊張感と楽しさがあった。とにかく彼らを誇りに思った。それは皆さんにも感じていただけたと思う。ウオームアップの段階から感じられたはずだし、独特な雰囲気があった」と続けている。

ラムズのメンバーは試合前のワークアウトや試合後のインタビューで、ロサンゼルスを思い、LAFD(ロサンゼルス市消防局)と書かれたシャツや帽子を身にまとってフィールドに立った。また、ラムズは試合で着用したユニフォームをオークションに出品し、アメリカ赤十字社への支援を行う予定だ。

アリゾナで勝利を収めたラムズはホームに帰還する。

『Associated Press(AP通信)』によると、すでに数千棟の住宅が火災で焼失し、少なくとも24人が死亡したとのこと。ラムズは以前より激しい風が吹き荒れるロサンゼルスに戻ることになる。

ラムズはイーグルス戦でもバイキングス戦と同じ使命を担う。それは、勝利してコマを進め、大きな悲しみに包まれるファンに喜ぶ理由を与えることだ。

スタッフォードは「みんな、地元に戻るみんなが、大変な週だったと思っている」と語り、「このチームをただただ誇りに思うし、今夜のようなプレーができてうれしい。地元の人たちに少しでも元気づけられるものを与えよう」

【RA】