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2024年AP通信年間MVP賞は成熟した戦いを見せたビルズQBアレン

2025年02月07日(金) 15:34


バッファロー・ビルズのジョシュ・アレン【AP Photo/David J. Phillip】

2024年にバッファロー・ビルズの攻撃陣を率いてきたクオーターバック(QB)ジョシュ・アレンの手に、NFL MVPのトロフィーが贈られた。

現地6日(木)、ニューオーリンズのセンガー・シアターで『NFL Honors(NFLオナーズ)』が行われ、アレンが2024年AP通信年間MVP賞に選ばれている。

383ポイント、1位票は27票だったアレンは、2023年のMVPであるボルティモア・レイブンズのQBラマー・ジャクソンをわずかに上回った。ジャクソンは1位票が23票、ポイントが362ポイントだった。アレンはオールプロのファーストチームに選ばれていないながらもMVPを受賞した、史上3人目の選手となっている。

3位以降でこの接戦に続いたのは、フィラデルフィア・イーグルスのランニングバック(RB)セイクワン・バークリー(120ポイント)、シンシナティ・ベンガルズのQBジョー・バロウ(82ポイント)、デトロイト・ライオンズのQBジャレッド・ゴフ(47ポイント)だった。

ビルズはオフシーズンに攻撃陣を組みなおしており、ナンバー1ワイドアウトのステフォン・ディッグスをヒューストン・テキサンズにトレードに出し、ゲイブ・デイビスがジャクソンビル・ジャガーズと契約するのを見送った。ビルズはより少ない戦力で、より多くの結果を出すことをアレンに求めたことになる。しかし、アレンはその求めに応えている。

アレンは合わせて41回のタッチダウン――パスで28回、ランで12回、キャッチで1回――を記録し、NFL史上で唯一のタッチダウンパス25回以上、タッチダウンラン10回以上、タッチダウンキャッチ1回をマークした選手となっている。

アレンはまた、少なくとも5シーズンにわたって40回以上のオフェンシブタッチダウンを決めた2人の選手として、アーロン・ロジャース(6回)の仲間に加わった(アレンは5回)。ロジャースはそういったシーズンのうち、4シーズンでMVPに輝いている。アレンは5年連続でタッチダウン40回以上を決めた上で、今回が初めての受賞だった。

ビッグアームが持ち味のアレンだが、今季は以前ほどディープなボールを投げておらず、『Next Gen Stats(ネクスト・ジェン・スタッツ)』によれば、アテンプト平均はキャリア最低の8.3ヤードだった。しかし、アレンはこれまで以上に熟練度の高い攻撃陣を率いている。

ビルズは2024年に12試合で30ポイント以上を獲得しており、1つのチームが単一シーズンに30ポイント以上を挙げた試合数としては、NFL歴代2位になる。ビルズの記録を越えているのは、2013年のデンバー・ブロンコス(13試合)のみだ。

アレンは引き続き驚きのプレーを見せる一方で、NFLで最初の6年に見せてきたミスは減らしている。今季のインターセプトはキャリア最少の6回であり、サックも14回にとどめた。サックについては、他のどのシーズンと比べても10回以上少ない。ビルズはスーパーボウル時代で初めて、被サック15回未満、ターンオーバー15回未満(8回)を同一シーズンで達成したチームとなっている。

オールプロのファーストチーム選出が0名、当初のロースターにプロボウラーがわずか2名(アレンとレフトタックルのディオン・ドーキンス)というチームを導くアレンの能力が、ジャクソンをはじめとする他の面々をしのぐ要素になったようだ。アレンはパッシングヤード(3,731ヤード)で14位、タッチダウンパス(28回)で7位に終わっている。一方のジャクソンは、MVPに選ばれた2023年以上の数字をレイブンズで残した。それでも、今年はチーム形成に努めざるを得ないかもしれないとの見通しをバッファローで乗り越えてみせたアレンの能力が、投票者たちの心を動かしたのかもしれない。

ビルズは13勝4敗でシーズンを終え、AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)東地区のタイトルをシーズン第13週に確定させた。あるチームが5週を残した状態で地区タイトルを確定させたのは、『NFL Research(NFLリサーチ)』によれば2009年のコルツ以来だという。

最終的に、ビルズはAFCチャンピオンシップ戦でまたもカンザスシティ・チーフスとQBパトリック・マホームズに敗れるという形で、ポストシーズンの最後の目標には届かなかった。その慰めというわけではないが、アレンはMVPトロフィーを手に帰路へつく。来季こそ、ロンバルディトロフィーを獲得することを目指して。

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