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チーフスTEケルシー、13シーズン目も現役続行の見込み

2025年02月26日(水) 12:54


カンザスシティ・チーフスのトラビス・ケルシー【AP Photo/Ed Zurga】

トラビス・ケルシーにはやり残したことがある。

『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートが現地25日(火)に報じたところによると、カンザスシティ・チーフスのタイトエンド(TE)ケルシーはNFLでの13シーズン目も現役を続行し、いずれTEポジション史上最も偉大なものの1つとして語り継がれるはずのキャリアを継続する見込みだという。

このニュースが伝えられたのは、チーフスのジェネラルマネジャー(GM)ブレット・ヴィーチが火曜日にインディアナポリスで行われたNFLスカウティングコンバインの場で、ケルシーが復帰に“意欲的”だと述べた後のことだ。

ヴィーチGMは「そっとしている。彼は戻ってくるはずだし、彼が戻ってきて活躍することを楽しみにしている」と報道陣に語っていた。

チーフスのヘッドコーチ(HC)アンディ・リードも、火曜日にNFLシニアナショナルコラムニストであるジュディ・バティスタとのインタビューで、ケルシーが戻ってくることに自信を示している。

「すべてうまくいくと思う。だが、私は一歩引くことが大事だと思っている」と述べたリードHCはこう続けた。

「つまり、トラブはポジティブだし、ネガティブな点はない。だが、一歩下がってそこから離れるのだ。そうすれば、考えがクリアになる。もちろん、彼が戻ってくることを願っているし、彼もその方向で前向きに考えている。来週くらいにはすべて解決するだろう」

チーフスが2年連続でスーパーボウル出場を果たしたときと同様に、今回の第59回スーパーボウルの前にもケルシーの引退説が浮上した。

ラポポートは2月8日に、ケルシーはスーパーボウルウイーク中に今後何年も現役を続行するつもりだと語っていたものの、2024年シーズン以降の動きについてはまだ決断していないようだと報じていた。

その後、ケルシーは第59回スーパーボウル後に出演した自身のポッドキャスト番組『New Heights(ニュー・ハイツ)』で、引退するかもう1シーズンプレーするかを決めるのに“少し時間をかける”とコメント。

フィラデルフィア・イーグルスに40対22で惨敗し、3連覇の夢を打ち砕かれたスーパーボウルがキャリア最後の試合になることに満足していないケルシーは、チーフスが頂点に返り咲く手助けをするためにプレーを続けることが期待されている。

タイトエンドとしてのレシーブ数(1,004回)とレシーブヤード(1万2,151ヤード)で歴代3位、タッチダウン数(77回)で歴代5位にランクインした状態で13シーズン目を迎えるケルシーは、これまでにプロボウルに10回、オールプロに4回選出され、3つのスーパーボウルリングを獲得してきた。

ケルシーのポストシーズンの成績はさらに際立っており、ポストシーズンでのレシーブ数(178回)はポジションを問わず全選手の中で歴代トップとなっている。また、レシーブヤード(2,078ヤード)とタッチダウンレシーブ数(20回)では歴代2位につけている。直近のプレーオフでは9回目の100ヤード超えを達成し、殿堂入りした元ワイドレシーバー(WR)ジェリー・ライスの記録を更新。さらに、スーパーボウルでのレシーブ数(35回)でもライスの記録を上回った。

12年間にわたって華々しい活躍を見せ、素晴らしい成績を残してきたケルシーだが、直近のシーズンでは間違いなく一歩後退していた。

ケルシーは35歳で臨んだシーズンに、タイトエンドとしてまずまずの成績――レシーブ97回で823ヤード、タッチダウン3回――を残したが、ヤード数とタッチダウン数は1試合しか出場していないルーキーシーズンを除いてキャリア最低の数字となった。重要な場面では引き続きクオーターバック(QB)パトリック・マホームズのお気に入りのターゲットとなり、他の選手とは比べ物にならないほど頼りになる存在として活躍したが、キャッチ後に相手との距離をとったり、新たな展開を生み出したりすることに苦戦。それは、これまでの最低値を2.1ヤード、キャリア平均値を3.6ヤード下回ったレシーブ平均ヤード(8.5ヤード)に表れている。

プレーオフで再び爆発的なパフォーマンスを披露するためにシーズン後半にあえて調子を落としたように見えた2023年シーズンとは異なり、ケルシーは2024年シーズンの最も重要な試合でギアをトップまで上げることができなかった。

ケルシーはディビジョナルラウンドのヒューストン・テキサンズ戦でキャッチ7回、117ヤード、タッチダウン1回をマークしたものの、バッファロー・ビルズに勝利したAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)チャンピオンシップゲームではキャッチ2回で19ヤード、イーグルスと対戦したスーパーボウルではキャッチ4回で39ヤードという数字にとどまっている。スーパーボウルの成績はいずれも、相手に大きな差をつけられていた試合後半に記録したものだ。

それでも、ケルシーの復帰はチーフスにとってまさに渡りに船であり、ケルシーの自信、リーダーシップ、マホームズとの特別な結びつきは、再びチームに大きな恩恵をもたらすだろう。

チーフスがフリーエージェント(FA)やNFLドラフトでどのような動きに出るかにかかわらず、ケルシーの周りには強力な戦力がそろっている。WRラシー・ライスはシーズン終了につながる膝のケガに見舞われる前、素晴らしい活躍を見せていた。また、スーパーボウルでキャッチ8回、157ヤード、タッチダウン2回を記録したWRゼイビア・ワーシーは、12月中旬から本領を発揮し、TEノア・グレイはエンドゾーンに到達する嗅覚を生かして5回のタッチダウンを挙げた。さらに、シーズン第2週に腓骨を骨折したランニングバック(RB)アイザイア・パチェコはオフシーズンに回復することでより自分らしいプレーを見せるようになるだろう。

2連勝を収めた後にロンバルディトロフィーを獲得できず、不慣れな状況に置かれているチーフスに変化が訪れることは確実だが、幸いにもケルシーがその変化に含まれることはなさそうだ。

【RA】