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「セインツからお金だけ受け取る」ことはできなかったと引退の決断について語るQBカー

2025年06月06日(金) 12:22


ニューオーリンズ・セインツのデレック・カー【Cooper Neill via AP】

先月、突然の現役引退を表明したニューオーリンズ・セインツのクオーターバック(QB)デレック・カーには、手術を受けて2025年のレギュラーシーズンを棒に振りながらも、3,000万ドル(約43億980万円)を受け取る選択肢があった。

「その点に関しては、すごく複雑な心境だった。手術を受けて、ただ何もせずに座っているだけなのに、セインツからお金だけをもらうなんて、そんなことはしたくなかった」と、カーは『Front Office Sports(フロント・オフィス・スポーツ)』のデビッド・ラムジーに話している。

5月10日に下した引退の決断について、カーはすべての関係者にとって最善の選択だったと言う。

「もし手術を受けていたらプレーはできない。手術をせずにプレーしたとしても、100%の状態からはほど遠かったから、それではチームの役に立たない。自分自身のためにも、チームのためにも、正しい決断だと思った」とカーは振り返る。

カーは2025年に支払われるはずだった3,000万ドルの保証金を放棄する形で引退し、チーム側も1,000万ドル(約14億3,660万円)のロースターボーナス返還を求めないことで、両者は合意に至った。

「お金のためだけにプレーしたことなんて一度もない」とカーは切り出し、こう続けている。

「正気じゃないとか、“信じられない、俺だったら絶対そんなことしない”と、たくさんの人に言われたよ。それでも構わない。世の中のすべてを手に入れても、心が満たされるわけじゃない。自分の心が落ち着いていた。それが一番大事なことだった」

これまでのキャリアで2億ドル(約287億3,200万円)以上を稼いできたことも、引退の後押しとなった。現在は兄であり、『NFL Network(NFLネットワーク)』のアナリストでもあるデイビッド・カーと共に『YouTube(ユーチューブ)』チャンネルを立ち上げたカーは、自らの決断に満足しており、新たな挑戦に向けて歩みを進めている。

「数日前にエージェントから “元気にしているか?  決断に悔いはないか?”って連絡があったんだ。ビーチで子ども2人と遊んでいる写真を送って、“こんなの、どんなOTA(チーム合同練習)よりもずっといいよ”と返したら、“やっぱりな”って言われたよ。今は本当に充実しているし、家での生活を心から楽しんでいる」とカーは述べている。

今後、優勝を狙うチームのクオーターバックが負傷するような事態が起きれば、カーの名前が代役候補として挙がるかもしれない。34歳のカーが現場復帰を望むようになる可能性もゼロではないが、少なくとも現時点では、その呼びかけに応じる様子はなさそうだ。

【R】