ビル・ベリチックとロバート・クラフトが2026年プロフットボール殿堂入り候補のファイナリストに
2025年12月04日(木) 13:33
ビル・ベリチックとロバート・クラフトが、再びNFLの舞台で顔を合わせる可能性がある。
現地3日(水)、プロフットボール殿堂は2026年の殿堂入り候補として最終選考に進んだ5名を発表した。貢献者部門はロバート・クラフト、コーチ部門ではビル・ベリチックがそれぞれファイナリストに選ばれている。
シニア部門では、ケン・アンダーソン、ロジャー・クレイグ、L.C.グリーンウッドの3名が選出された。
今回の選考は、より厳選されたクラス編成を目指して見直された殿堂入りプロセスの導入から2年目にあたる。殿堂入りには、候補者が選考委員の80%以上の支持を得なければならない。委員会は来年、サンフランシスコで開催される第60回スーパーボウル週のクラス発表に先立ち、年次会合にて投票を行う予定だ。委員は5名のファイナリストのうち、3名まで投票できる。
今年のファイナリストから殿堂入りできるのは最大3名。仮にいずれも80%に届かなかった場合は、最も高い得票率を得た候補者が2026年クラスとして殿堂入りする。
クラフトとベリチックは、ニューイングランド・ペイトリオッツで6度のスーパーボウルを制した黄金期をともに築き上げ、多くの舞台を共にしてきた。しかし、23年に及んだ関係は最後に険悪な形で終わり、成功の功績をめぐって両者の間に軋轢(あつれき)が生じた。
今回の選考プロセスは、最終候補者同士が競り合う形になるよう調整が加えられており、そのためいずれかがカントンの舞台に立てない可能性もある。一方で、296勝をともに積み上げた名コンビが同じクラスで殿堂入りする可能性も残されており、関係悪化を経た今なお、その絆が改めて強調されるシーンになるかもしれない。
以下は、『Pro Football Hall of Fame(プロフットボール殿堂)』が提供した、今年の貢献者部門、コーチ部門、シニア部門のファイナリストの略歴だ。
貢献者部門ファイナリスト(1名)ロバート・クラフト
1994年からペイトリオッツのオーナー、会長、CEOを務めるクラフトは、これまでに6度のスーパーボウル制覇と4度のスーパーボウル出場を経験。通算10回のスーパーボウル出場はオーナーとしてNFL史上最多で、かつて低迷していたチーム事情を踏まえると、その実績はより際立つものとなっている。1994年、クラフトは当時としては破格の1億7,200万ドル(約267億2,364万円)でチームを買収し、ペイトリオッツのセントルイス移転を阻止。さらに、フランチャイズに恒久的な本拠地を与えるため、ジレット・スタジアムの建設費も私財で賄った。以降、ホームゲームは全試合完売が続き、現在チームの評価額は92億5,000万ドル(約1兆4,371億7,250万円)に達している。またクラフトはこれまで17のオーナー委員会に所属し、1997年から参加する放送・メディア委員会では18年間議長を務めている。
今年の貢献者部門で、クラフト以外にセミファイナリストまで残っていたのは、K.S.“バド”アダムス、ルーン・アーリッジ、ラルフ・ヘイ、フランク“バッコ”キルロイ、アート・ルーニーJr.、クラーク・ショーネシー、シーモア・シウォフ、そしてバディ・ヤングの8名。
コーチ部門ファイナリスト(1名):ビル・ベリチック
ベリチックは1975年、ボルティモア・コルツのスペシャルアシスタントとしてNFLでの約50年に及ぶキャリアをスタート。ニューヨーク・ジャイアンツではアシスタントコーチとして1986年と1990年にスーパーボウル制覇を経験し、1991年から1995年まではクリーブランド・ブラウンズで初のヘッドコーチを務めた。2000年にペイトリオッツでピート・キャロルの後任となってからは、就任2年目でチームをスーパーボウル制覇に導き、その後18シーズンで計6度の優勝を成し遂げた。通算成績は333勝178敗で、殿堂入りヘッドコーチのドン・シュラの通算347勝に次ぐ歴代2位。プレーオフでも44試合中31勝(勝率0.705)を挙げており、数々の栄誉と並んで『NFL 100 All-Time Team(NFL 100 オールタイムチーム)』にも選出されている。
今年のコーチ部門で他に最終候補手前まで残ったのは、トム・コフリン、マイク・ホルムグレン、チャック・ノックス、バディ・パーカー、ダン・リーブス、マーティ・ショッテンハイマー、ジョージ・シーファート、マイク・シャナハンの8名。
シニア部門ファイナリスト(3名):ケン・アンダーソン、ロジャー・クレイグ、L.C.グリーンウッド
アンダーソンは1971年のNFLドラフトで小規模校のオーガスタナ(イリノイ州)大学からシンシナティ・ベンガルズに3巡目(全体67位)で指名されたクオーターバック(QB)。1年目に4試合で先発すると、2年目に正式なスターターに定着。以降、1986年までベンガルズ一筋で192試合に出場した。プロボウル選出4回、1981年シーズンのリーグMVP、通算3万2,838パスヤード、パスタッチダウン197回を記録している。
クレイグは、1985年にNFL史上初めて同一シーズンにラン1,000ヤードとレシーブ1,000ヤードの同時達成を果たしたことで知られる。その後40シーズンでこれを達成したのは、殿堂入りランニングバック(RB)マーシャル・フォークとクリスチャン・マカフリーの2人のみ。クレイグはサンフランシスコ・49ersで8シーズンを過ごす間に3度のスーパーボウル制覇を経験し、その後ロサンゼルス・レイダースで1年、ミネソタ・バイキングスで2年プレーした。キャリア通算1万3,100スクメージヤード、タッチダウン73回を積み上げている。1988年には攻撃部門年間最優秀選手に選ばれ、同年のMVP投票でも3位に入った。
グリーンウッドは、1970年代の伝説的守備“スティール・カーテン”の一員として活躍し、13シーズンにわたる170試合すべてをピッツバーグ・スティーラーズでプレーした。アーカンソー・パインブラフ出身で、1969年のドラフトでは10巡目(全体238位)で指名。スティーラーズの選手としてスーパーボウルを4回優勝し、オールプロのファーストチームに2度選出、プロボウルには6度選ばれた。現役当時は非公式記録ながら、サック78回、ファンブルリカバー14回を記録している。
シニア部門では、ヘンリー・エラード、ジョー・ジャコビー、エディー・ミーダー、スタンリー・モーガン、スティーブ・タスカー、オーティス・テイラーも、セミファイナリストとして残っていた。このカテゴリーの対象選手がプロの試合に最後に出場できたのは、2000年シーズンまでとなる。
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