シーホークスが大学短距離走界のスターを獲得
2017年04月11日(火) 16:41他競技からのNFL転向は今に始まったことではない。かつ、この流れが止むことはないだろう。
NFLにまた、大学時代にアメリカンフットボール未経験の若者が登場する。名前はサイリル・グレイソン。シアトル・シーホークスは現地10日(月)、ワイドレシーバー(WR)として彼を獲得したことを発表。
とはいえ、一体誰なのだと問う声が多方から聞こえるのも無理はない。グレイソンはLSU(ルイジアナ州立大学)出身で、大学時代には200メートル、400メートル、800メートル走者としてオールアメリカンに7度も選出されたアスリートだ。
グレイソンは他にもLSUのリレーチームで4度全米優勝を果たしている。グレイソンが全く未知の世界とも言えるプロフットボールの世界に足を踏み入れる。プロスペクトの彼はLSUのプロデーでワークアウトを行い、40ヤードを4.33秒、立ち幅跳びは約3m23cm、垂直飛びは約88cmを計測。これは大学のウェブサイトに掲載されてる記録だ。
グレイソンがフットボールをプレーしたのは2011年、高校3年生時が最後である。LSUでのプロデーでのワークアウトを視察した後、シーホークスがグレイソンの元を訪れて正式契約に至った。そもそも、この契約が成立可能だったのはグレイソンが大学でフットボールをプレーしていない大学5年生であったからだ。
陸上界からNFL界に転向した選手はグレイソンが初めてではない。東京オリンピック男子100m走で金メダルを獲得し、“弾丸”とも称された短距離スペシャリストのボブ・ヘイズはNFLでも功績を残している。ヘイズはワイドレシーバー(WR)として現代フットボール史でも記憶に残る驚異的なWRとなり、巧みなパントリターナーとしても活躍した。ダラス・カウボーイズがヘイズを1964年ドラフト7巡目で獲得。この時、カウボーイズは2巡目でオレゴン大学時代に陸上とフットボールの両方をこなしたメル・レンフロも指名している。両者とも殿堂入りを果たした偉大な選手だ。
NFLは他種競技からの様々な選手を見てきたが、とりわけ、バスケットボール界からフットボールへの移行は多く見られた(アントニオ・ゲイツ、ジミー・グラハムなど)。しかしながら、陸上短距離界からもその多くが別のフィールドでも活躍している。サンフランシスコ・49ersのWRマーキス・グッドウィンは2016年オリンピック予選に参加するほどの脚力の持ち主であり、今年のドラフト候補であるUSC(サザンカリフォルニア大学)出身のアドリー・ジャクソンもその予選に出場するほどの足自慢だ。
そのスピードだけにしても彼らは未知なる可能性を秘めている。あまり知られてはいないが、シーホークスのジェネラルマネジャー(GM)ジョン・シュナイダーは隠れた才能の持ち主を見つけ出すのが得意だ。WRダグ・ボールドウィンも彼が才能を見出した選手のうちの一人。果たしてLSUのスピードスター、グレイソンはシーホークスのお気に入り選手となれるだろうか。