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2年間で1勝27敗のブラウンズがGMサシ・ブラウンを解任

2017年12月08日(金) 10:00


クリーブランド・ブラウンズ【AP Photo/Matt Dunham】

今季いまだ未勝利のクリーブランド・ブラウンズがついに動いた。

現地7日(木)、ブラウンズがジェネラルマネジャー(GM)のサシ・ブラウンを解任した。これは『ESPN』が最初に報じたニュースだ。

オーナーのジミー・ハスラムはチームが発行した声明の中で次のように語っている。

「サシによるブラウンズへの献身やリーダーシップに対して敬意を表し、感謝を申し上げる。しかしながら、より豊富な経験を持つ者への移行、ドラフトでの成功、継続的に好成績を収めることがわがチームの将来のために最優先されるべき事項であると判断した。2018年のドラフトとオフシーズンはわれわれにとって非常に重要なものとなる。ドラフト指名、フリーエージェント、ロースター強化など、成功へのチャンスを最大限に活用せねばならない」

また、ハスラムオーナーはヘッドコーチ(HC)のヒュー・ジャクソンが来季も同職を継続すると明かし、続けて「それでも、人事部門を強化して改革する必要があるとは思っている。フットボール運営部門のリーダーに関しては生産的な議論ができており、適当な時期にさらなる情報が明かされるだろう」とも述べている。

『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートはブラウンズが専門家を雇用し、元カンザスシティ・チーフスのGMであるジョン・ドーシーを筆頭候補として新ジェネラルマネジャー(GM)候補を密かに探しているようだと報道。

ラポポートによると、ハスラムオーナーと話し合った際にブラウンは自身の今後について覚悟はしていたそうだが、この時にはまだ解任を伝えられていなかったようだ。木曜日の晩になり、チームはようやくブラウンに対して袂(たもと)を分かつ連絡を入れた。ブラウンは声明の中で次のように語っている。

「われわれは一生懸命に仕事をした。だからこそ、ブラウンズでの4年間を通して一緒に働いてきた仲間にはとても感謝している。ここ2年間一緒に仕事してきた仲間に対しては特にだ。長期的視野でブラウンズを再建し、安定したチームを作ることがわれわれの使命だった。通常であればあまり考えられないようなアプローチでも積極的に取り入れ、それに従事した。チーム内に大きな変化をもたらせたと思っている。今のブラウンズは将来的にチャンピオンシップを狙えるチームになっている。ブラウンズがまだチームやファンの望んでいるターニングポイントまで達していないのは明らかだが、NFLというスポーツであればそのタイミングは必ずやって来る。もうじき、その時がクリーブランドにも訪れるだろう」

今回の解任についてジャクソンHCは「こういった決定は非常に難しいものだ。サシは良い人物だった。これらの判断は私がいないところで行われていた。いずれにせよ、受け入れざるを得ない決定だが、このような話はいつだってタフだ。解任というワードにポジティブな響きはない。サシはチームが勝つためにできる限りの努力をしていたことを知っているし、試行錯誤しながらも時々は成果も見られていた」とコメントした。

過去2年間のドラフトで若きスタークオーターバック(QB)たち――カーソン・ウェンツやデショーン・ワトソン――の1巡目指名を連続で見送ってきた結果、ブラウンズは2シーズンで 1勝27敗を記録して最下位のポジションを定位置とした。

ブラウンはまた今年10月、シンシナティ・ベンガルズからQBのAJ・マカロンを獲得するトレードで合意間近であったにもかかわらず、書類不備によってトレード期限を迎えて破談させてもいる。

チームがウェンツの指名を見送った話はクリーブランドにおいて悪い意味で伝説となったが、ここ2年間を通し、“統計重視”のフロントはドラフト1巡目にディフェンシブエンド(DE)マイルズ・ギャレット、セーフティ(S)ジャブリル・ペッパーズ、タイトエンド(TE)デイビッド・ジョク、ワイドレシーバー(WR)コーリー・コールマン、2巡目にクオーターバック(QB)デショーン・カイザーとラインバッカー(LB)エマニュエル・オグバを指名しており、将来性を示している選手も少なくない。

ドラフト指名権を大量に抱え込む方針のフロントは2016年に14つの指名権を、2017年には10つの指名権を保持していた。来年度ドラフトにおける全体1位指名権をすでにほぼ手中に収めているブラウンズはさらに、ヒューストン・テキサンズの1巡目と2巡目の指名権をもキープしている。2018年のドラフトはブラウンズの新GMの手腕がいきなり試される舞台となるだろう。

ブラウンは2013年の1月に上級副社長兼法務責任者としてブラウンズに就任し、2016年の1月からはGM職に就任していた。

ブラウン解任はスターQBの獲得に失敗したリーグの上級管理職がこうなる運命になるという典型的な一例となった。ブラウンズにとって、チームのエースQB探しは永遠の課題とも言えよう。

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