15年のキャリアに幕、カウボーイズTEウィッテンが引退
2018年05月04日(金) 11:12ダラス・カウボーイズのタイトエンド(TE)ジェイソン・ウィッテンが引退を決めた。
ダラス・カウボーイズの偉大なる選手として知られるウィッテンがオーナーであるジェリー・ジョーンズとヘッドコーチ(HC)ジェイソン・ギャレットに対し、引退してNFL番組『Monday Night Football(マンデーナイト・フットボール)』のメンバーになると明かしたという。
情報筋の話を元に『NFL Network(NFLネットワーク)』のマイク・ガラフォロとイアン・ラポポートが報じている。第一報は『ESPN』が伝えた。
現地3日(木)午後、テキサス州フリスコにあるチーム本部にて行われた記者会見で公表され、涙ぐむウィッテンの横にはジョーンズオーナーやギャレットHC、そして、現在のチームメイトや過去のチームメイトが集まっていた。
「プロフットボール界には古いことわざがある。“サーカスが永遠に街にとどまることはない”というね」と語り始めたウィッテンはこのように続けた。
「若い時には、チャンスが来たら、それをつかんで離すなという意味としてとらえるだろう。しかし、年齢を重ねるにつれ、この言い回しにはもっと深い意味があることに気付くはずだ。自分が去るタイミングを知っている者はいない。自分もそうだった。このような格言もある。是非はともかく、“1分遅刻するよりは3時間前の方が良い”。“決心する前に完璧な見通しをつけようとする者は決して決心できない。人生を受け入れろ、後悔は受け入れるな”とね」
「これまでをよく省みて、祈りを捧げた結果、ダラス・カウボーイズの次世代にバトンを渡し、今、ナショナル・フットボール・リーグから引退する時が来たのだと確信した」
将来的に殿堂入りが有力視されているウィッテンのこの決意は、引退を考慮するウィッテンが報道キャスターに転職するようだとの話題が持ち上がった6日後に正式発表された。伝えられたところでは、カウボーイズ関係者がもう1シーズンの現役続行を説得しようとしており、ウィッテンは週末にかけてこの決断を思い悩んだようだ。しかしながら、35歳のウィッテンは結局、キャリアに幕を閉じてすぐさまスポーツ界最高峰の職に移る決意を固めた。
ウィッテンはキャリアを通じてキャッチ1,152回、1万2,448ヤード、68タッチダウンを積み上げ、NFL史上最高の名にふさわしいTEとして引退することになる。レシーブ数ではジェリー・ライス(1,549回)、トニー・ゴンザレス(1,325回)、ラリー・フィッツジェラルド(1,234回)に次ぐ歴代4位にランクインしている。
プロボウル11度出場のウィッテンは複数のNFL記録を保持しており、TEによる1シーズン最多レシーブ数(2012年シーズンの110回)や、TEによる1試合最多キャッチ(2012年シーズンの18回)などの記録がある。また、腕の立つウィッテンはキャリア最多レシーブ数やレシーブヤード数、レシーブを記録した最多連続シーズン数など、チーム記録も多数保持している。彼が記録した68回のレシーブタッチダウンはカウボーイズ史上3位にランクインしており、リーグでもTEとして史上5位にランクインしている。
テネシー州出身の彼は2003年ドラフトの3巡目でカウボーイズから指名を受け、すぐさまリーグで最も信頼の置けるパスキャッチャーへと成長した。クオーターバック(QB)がクインシー・カーターやビニー・テスタバーディ、ドリュー・ブレッドソーと目まぐるしく変わる中、ウィッテンはトニー・ロモの頼れる存在として軌道に乗った。ウィッテンとロモはリーグで最も生産的なコンビとも評され、ロモと強固な信頼関係を結んだウィッテンは2007年と2010年にオールプロとなっている。相手守備コーディネーター(DC)にとってサードダウンでのロモとウィッテンのコンビは悪夢以外の何者でもなかった。
NFL選手の大多数がそうであるように、15シーズンを過ごした大ベテランのパフォーマンスもまた低下し始めていた。昨季のウィッテンは560ヤードをマークしたものの、これはルーキーシーズン以降最も低い数字であり、ブロッキング能力もかげりを見せ始めていた。
ウィッテンが去った後、リコ・ギャザーズやブレイク・ジャーウィン、そして、ジェフ・スウェイムと言った若い選手だけが残されカウボーイズTE陣はどうなるのだろうか。この中ではスウェイムだけが合計9回のキャッチを記録している。ロッカールームのリーダーを担っていたウィッテンの役割もまた、誰かに託されるだろう。
ウィッテンがチームを去って報道陣の一員となり、ワイドレシーバー(WR)デズ・ブライアントが放出された今、カウボーイズは新たな時代へ突入したと言えよう。
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