保証額5,900万円のQBニュートン、大事なのは「お金ではなく尊敬」
2020年07月03日(金) 12:57
2015年のMVPであるクオーターバック（QB）キャム・ニュートンがニューイングランド・ペイトリオッツと結んだ契約で保証されるのは、105万ドル（約１億1,000万円）のベースサラリーのうち55万ドル（約5,900万円）のみだと『NFL Network（NFLネットワーク）』のイアン・ラポポートが報じた。
この契約には計70万ドル（約7,500万円）の試合別ロースターボーナス、最大575万ドル（約6億2,000万円）のインセンティブが含まれており、ニュートンが手にすることのできる最大額は750万ドル（約8億1,000万円）となっている。
保証額が55万ドルにとどまっているということは、ペイトリオッツにとって文字通り低リスクの契約だと言えよう。ニューイングランドに向かったニュートンの体調が万全ではなかった場合、ヘッドコーチ（HC）ビル・ベリチックは最低限のサラリーキャップヒットで速やかにこのQBをカットすることができる。
この契約が格安だとは承知しながらも、ペイトリオッツ加入は収入の問題を上回ることだとするニュートンは意に介していない。
契約の詳細が判明してから数時間後、ニュートンは『Instagram（インスタグラム）』に「単にたくさんのお金では買えないたくさんのものというわけじゃなく、そういうもののリストのトップにあるものとして“尊敬”っていうものがあるわけさ！」とつづった。
「“俺にとっては金の問題じゃない”。大事なのは“尊敬”なんだ」
ニュートンがMVPを獲得し、第50回スーパーボウルに出場した2015年シーズンから5年が過ぎた。5年1億380万ドル（約111億6,000万円）の延長契約を結んでいたカロライナ・パンサーズから1年の契約を残してリリースされたニュートンは、フリーエージェントになっていた。現在の報酬との差を計算するのに、難しい計算は必要ない。
しかしながら、ニュートンは救いへの道をたどっている。6月29日に公開した動画の中で、ニュートンはパンサーズを離れることを希望したことはまったくなかったと明かし、袂を分かつとの決断はチームによるものだったと述べた。今、ニュートンはペイトリオッツで自らの価値を証明しようとしている。
フットボール界はニュートンをどう見ているだろうか？ 過去に達成しているものは否定できないが、一番の疑問は健康という部分において“今彼はどこにいるのか？”という点だ。それは実際にニュートンがフィールドに立つまで分からない。今の時点でニュートンが周囲からの関心を最も集めているのがその点になる。
過去2年のニュートンはかつてMVPを獲得したときとは別の選手だった。2018年の終わり頃にはほぼすべてのスローがぎこちなく見え、足の負傷によって2019年には故障者リスト入りしている。
だからと言って、ニュートンがかつて自分を特別な存在にしていた魔法の一部を取り戻せないと決まったわけではない。ペイトリオッツのような強い組織にいて体調にも問題ない場合のニュートンは、危険な存在となるだろう。フィールド上で結果を残すことができれば、尊敬の念は決壊したダムからほとばしる水のように戻ってくるはずだ。
それを達成するにはフィールドに戻らなくてはならない。そして、そのチャンスを得るために、ニュートンは少額の報酬を受け入れた。ニュートンが選んだのは銀行口座の残高ではなく、自分を忘れ去った人々からの再評価なのだ。
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