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ケノーシャ出身のブロンコスRBゴードン、「自分の家族だったかもしれない」

2020年08月29日(土) 08:30

デンバー・ブロンコスのメルビン・ゴードン【NFL】

ジェイコブ・ブレークさんがウィスコンシン州ケノーシャの警察官に銃撃された事件とそれに伴う動揺は、多くのアメリカ人に精神的な影響を与えたが、特に、デンバー・ブロンコスのランニングバック(RB)メルビン・ゴードンが受けた影響は大きい。

現地27日(木)、ケノーシャ出身のゴードンは、デンバー・ブロンコスのチームメイトで埋め尽くされた部屋の前に立ち、信じられないほど自宅の近くで起きたこの難局を説明しようと試みた。彼はその後、『ESPN』マディソン支局のジム・ラトリッジに自身の気持ちを説明した。

「これが問題なんだ」とゴードンは言う。「背中を7回も撃った理由を見つけて正当化しようとする。まったく理解できない。子供、友達、家族の前でだ。しかも3人の男がいたのに。彼はケンカを仕掛けているわけでも何でもない。人に向かって引き金を引くよりも良い方法があったはずだ」

「俺の家族が銃撃の現場を見ていたから、とても感情的になっている。あれが家族だったってこともありうる。自分の家族のひとりが背中に7発撃たれていたかもしれない。路上で撃たれたのは俺の家族だったかもしれない。家族のひとり、友達のひとり。ものすごく悲惨だった・・・地元で起きたということがさらにつらい。家で、自分の裏庭で、自分の仲間が撃たれたら」

トレーニングキャンプと新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミックが重なったことによって、ゴードンはこの痛ましい時間を家族と過ごすためにケノーシャに戻ることができない。

ゴードンは自らが経験した警察との出来事について、「クレイジーだけど、悪い警察官よりも良い警察官にたくさん出会ってきた」と述べ、彼は、これが有名なプロフットボール選手としてのステータスと関係があるのか疑問を持つ。だからといってゴードンが警察とのやりとりを恐れていないわけではない。

「でも怖くなるよ。間違った動きをするのが怖いんだ。状況を理解できないんじゃない。理解して緊張してしまうんだ。でも、俺が出会ってきた警察官の多くは本当に素晴らしい人たちだった。ソーシャルメディアで見た様子とはまったく違ったけど、だからといって曲がり角を間違えて車を止められたり、少しスピードを出しすぎたり、車のなかで何かしていたとか、何であれ、一歩間違えればそれが最後かもしれないと思うと恐ろしい」

結局のところ、世界中での抗議活動や、組織的な人種差別や警察による残虐行為を終わらせるために市民が一体となって支持を表明しても、状況は十分に早く、もしくはまったく変化していないように見えるとゴードンは話す。

「俺たちは物事を正しい方向に進めようとしているのに、何も十分に達成されていないようにみえる。だからこのような事件がまだ発生している。ただただ悲しい。悲しいんだ。黒人を隅に追い詰めていて、それは“俺たちの手は縛られている・・・この機に及んで俺たちにどうしてほしいんだ?”って感じだ」

「今は人々の心を変えようとしているだけだ。コーチのひとりが言っていたのは“キング牧師がこれをやろうとした。これは何年も戦ってきた戦いだ”ってこと。俺たちの世代では変化は見られないかもしれないけど、コーチが今日言っていたのは、俺らは子供を持つ、自分も子供を持つ、その子供たちのための変化を願うっていうこと。一晩では状況はそう簡単に変わらない。一晩では人々に気づかせることができない。でもそれに向けて一歩ずつ踏み出さないといけない」

【SC】