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足の流血をおしてワシントンを勝利へ導いたQBスミス

2020年12月09日(水) 11:42

ワシントン・フットボール・チームのアレックス・スミス【AP Photo/Barry Reeger】

クオーターバック(QB)アレックス・スミス率いるワシントン・フットボール・チームは得点2回分の差でピッツバーグ・スティーラーズを追いかけていた。そして、スミスの足は流血していた。

ただ出血していただけではない。あふれ出していた。

スミスのすねにスパイクがあたり、足を伝った血液はソックスからしみだして足首に巻かれたテープを染めた。それはとあるボストン・レッドソックスのピッチャーがポストシーズンに見せたパフォーマンスを喚起させる姿だった。そのピッチャー(編集部注:カート・シリング)と同じように、スミスはけがをおしてチームをありそうになかった勝利へ導き、無敗のスティーラーズに今季初めての黒星をつけている。

スミスはこの試合でパス46回中31回成功、296ヤード、タッチダウン1回を記録しており、これらの獲得ヤードの大部分は負傷した後の後半での猛攻によってマークされたものだ。5勝7敗になったワシントンは最終クオーターで13ポイントを挙げ、一時は14点差をつけられていたゲームをひっくり返してスティーラーズ(11勝1敗)を23対17で下した。

「血が噴き出るのが目に見えて分かった。だから、良かったよ。ハーフタイムの直前でラッキーだった。あんな流血は初めてだった」とスミスは試合後に『ESPN』に語った。

裂傷がどこにあるかがスミスにとって重要だった。右足の骨折の手術に端を発する合併症によって命の危機に瀕したことのあるスミスは、2年にわたってこのスポーツから離れ、回復までに17回の手術を必要とした。幸運なことに、今回けがしたのは反対側の足だったため、スミスはハーフタイムに治療を受けて戦いを続けている。チームにとっても幸運なことに、スミスの存在が後半でもチームを刺激し、NFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)東地区の混戦で生き残るだけのプレーにつながった。

「右足じゃなくて左足であることを確認するために、素早くチェックしなきゃならなかった。右足は少し心配だからね」とスミスは説明している。

「僕にとってはこれまでになかったことで、ちょっとした流血だった。ハーフの直前だったのが幸運で、テーピングしてからハーフタイムにケアすることができた。だから、何も深刻なことはない。いいところにぶつかって、血が出続けただけだ」

スティーラーズの守備陣と向き合い、新人ランニングバック(RB)アントニオ・ギブソンがけがによってサイドラインに下がっている状況で、スミスは足の流血は別として素晴らしいパフォーマンスを発揮していた。

「12月に意義のあるフットボールをして、アウェーでピッツバーグのようなチームに勝つことで、彼らはリラックスできる。もちろんいい気分さ。ここにいるのがすごく楽しかったし、この若いフットボールチームが成熟した勝利を挙げた。彼らのためにもとてもうれしい」とスミスは言う。

ワシントンが1月の第2週にも意味のあるゲームをプレーできていれば、スミスの喜びもひとしおだろう。マンデーナイトの勝利は、そのシナリオが実現する可能性をぐっと高めた。

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