サラリーには構わずプレー継続を希望するスティーラーズQBロスリスバーガー
2021年01月29日(金) 12:52ドラフト同期や同世代の選手たちが次々と引退していく中、“ビッグ・ベン”は今もピッツバーグにその鐘の音をとどろかせている。
ピッツバーグ・スティーラーズのクオーターバック(QB)ベン・ロスリスバーガーの2021年シーズンは39歳で迎えるシーズンであり、NFLのキャリアで18年目になる。しかし、壊滅的な腕のけがから復帰してわずか1年しかたっていないベテランのロスリスバーガーは、まだ引退を考えていない。
現地28日(木)の午後に地元の報道陣と話したスティーラーズ社長のアート・ルーニー二世は、ロスリスバーガーが来季もチームに戻ることを希望していると語った。しかしながら、復帰を実現可能なものとするためにはサラリーやキャップヒットの面で大きな譲歩が必要になるようだ。
『ESPN』のブルック・プライアーによれば、ルーニー二世は「うまくいくならもう1年ベンが戻ってくるのをわれわれは見たいと思っているが、前にも言ったように、それを実現するためには多くの仕事が必要になる。実現のためにはいくつかの決断が必要かもしれない」
ロスリスバーガーは『The Athletic(ジ・アスレチック)』のエド・ブーシェとのインタビューの中でボスに同意している。
ロスリスバーガーは「自分にできることは何でもしたいし、彼らには最初から、今年どんな形であれ自分にできるやり方でチームを助けるというのが自分の考えであることをはっきり伝えていた」と語り、契約の再構築については自分からチームにアプローチしたことを明かしていた。
『OverTheCap』によれば、ビッグ・ベンの2021年のキャップナンバーは4,125万ドル(約43億1,000万円)になる。これはリーグ最高の数字だ。年齢を重ねながらも将来の殿堂入りが確実なQBの契約最終年――もしかしたらキャリア最終年――はキャップが縮小されるシーズンにあたり、シンプルにピッツバーグの上層部がその金額に対応できない状況になっている。
『NFL Network(NFLネットワーク)』のマイク・ガラフォロは2週間前、2021年を迎えるにあたってロスリスバーガーのキャップヒットを“もみほぐす”方法――かつてドリュー・ブリーズが2020年シーズン前に交わしたような契約延長の可能性――があるとし、スティーラーズがロースターの他の場所のアップグレードを見据える中、そうすることに“問題はないだろう”と話していた。ルーニー二世とロスリスバーガーのメッセージは、そういった動きの可能性を認めている。
「今年は自分の報酬なんて全然気にしていなかったよ!」とロスリスバーガーはブーシェに話した。
木曜日の午後、ロスリスバーガーのエージェントであるライアン・トルナーは『Pittsburgh Post-Gazette(ピッツバーグ・ポスト・ガゼット)』のゲリー・デュラックに、ロスリスバーガーは第55回スーパーボウルが終わった後の週にルーニー二世およびマイク・トムリンヘッドコーチ(HC)とロースタープランについて話し合う予定だと述べている。トルナーもビッグ・ベンの契約は問題にならないだろうと話した。
「ベンは自分の力が残されていることを分かっている。だが、パウンシー(Cモーキス・パウンシー)のような主要な選手たちが戻ってくることが重要になる。ベンの契約は妨げにはならない。シーズンが終わってすぐ、私たちは2021年の彼らの状況を助けるために必要なことは何でもすると彼らに話した」
契約状況とは別に、ロスリスバーガーの状態もこれから数カ月で見守るべき要素の一つだ。ロスリスバーガーが全体11位で指名を受けた2004年ドラフトの4位指名選手であるフィリップ・リバースが引退し、42歳のブリーズにもそのときが近づいているかもしれない。スティーラーズは少なくともこのポジションの不確実な未来に備えており、ビッグ・ベンの後ろでメイソン・ルドルフと対をなすべく、元1巡目指名選手であるQBドウェイン・ハスキンズと先行契約を交わした。
ルーニー二世はもう1人のQBが加わる可能性も示唆し、報道陣に「われわれのルームを見れば、このオフシーズンに誰かを加えなければならない状況なのは分かっている。それについてはすべての選択肢を検討する」とコメントしている。
端的に言えば、時は刻まれ、ビッグ・ベンが今より若くなることはなく、スティーラーズはそれを承知の上で計画を立てているということだ。
だからと言って、ロスリスバーガーがチームとの自分の未来を計画する妨げにはならない。
「もう1年やりたいとはっきり望んでいる。俺はやれるし、チームが勝つ本当のチャンスを与えられる」とロスリスバーガーはブーシェに話した。
ロスリスバーガーはカムバック賞にふさわしい――アレックス・スミスがいなかったとしてだが――シーズンを送った。シーズン終了となった肘の負傷から復帰したロスリスバーガーはチームを開幕から11勝0敗に導き、パス成功率65.6%、3,803ヤード、タッチダウン33回、インターセプト10回をマークしている。
しかしながら、シーズンはロスリスバーガーにとってもの足りない形に終わった。スティーラーズはクリーブランド・ブラウンズに敗北したワイルドカードの試合で、ロスリスバーガーの右腕に大きく頼らざるを得なかった。ロスリスバーガーはプレーオフレコードとなるパス68回中、こちらもプレーオフ記録の47回成功という数字を敗戦の中で残している。
ロスリスバーガーはワイルドカードで敗れた後、引退を検討しているとささやかれるパウンシーにサイドラインで寄り添い、「俺がこれをやっていきたい唯一の理由がお前だ。自分のためより、お前のためにつらい」と話していた。パウンシーがリーグを離れたとしたら、ロスリスバーガーはプレーを続ける新たな理由を見つけなければならない。
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