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2021年に注目されるサラリーキャップやワクチン接種

2021年02月05日(金) 00:12

【NFL】

NFLコミッショナーのロジャー・グッデルとNFL選手会(NFLPA)常任理事のデモーリス・スミスが、第55回スーパーボウルを前に現地4日(木)の午後にメディア対応を行う。

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミックが2021年もビジネスに影響を与えることが予想される中、リーグ、選手会、各チームが新たな問題や未知の要素に対応すべく、舞台裏ではすでに仕事が進められている。最近の情報を元に、カギとなるいくつかの課題について見てみよう。

【サラリーキャップ】
NFLとNFLPA(NFL選手会)は先月に2021年のサラリーキャップに関する予備交渉に入った。一部のチーム関係者は最終的にキャップが1つのクラブあたり1億8,500万ドル(約194億9,000万円)ほどに落ち着くと考えて――そして願って――いる。両サイドはスタジアムが無人、もしくはほとんど無人に近い状態になった昨夏に、1億7,500万ドル(約184億4,000万円)で合意していた。

リーグは延期されていた労務セミナーが実施された現地3日(日)にも年間のキャップ案を提示しなかった。また、2020年に起こった前例のない数十億ドル単位の収入減少による衝撃を、どのような形で今後数年に分散するのかについても明言していない(各年のキャップは続くシーズンの収入予測と前年の予測からの“補正”に基づいて算出される。COVID関連の経済的問題についての全体的なパッケージの一部として、今季の不足分を今後のシーズンに分散し、2021年の下限を1億7,500万ドルとすることに両サイドが合意しなかった場合、キャップは今季の1億9,820万ドル/約208億7,000万円から大幅に落ちることになる)。

【ワクチン、プロトコル、およびルール変更】
選手たちがワクチンを接種できる状態になったとしても、NFLから一方的にそれを要求することはできない。なぜなら、そうすることは交渉の対象となる労働条件の変化にあたるからだ。理想としては、教育によって多くの選手たちが自らワクチン接種をすることが望ましい。しかしながら、昨秋にリーグと選手会の医療専門家がインフルエンザの予防接種を推奨した際、それに従った割合は比較的少なかったことはここに注記すべきだろう。

グッデルとスミスはそれぞれ、選手やその他の職員のワクチン接種について、NFLが横入りすることはないと繰り返し述べていた。その部分について、1月19日に行われたエージェントたちとの電話の中で、スミスは今後数カ月における選手たちの中のワクチン接種の広がりについては楽観的な見通しはないとしており、バーチャルな形で実施されたOTA(チーム合同練習)やミニキャンプ等については「昨年のオフシーズンとかなり似た感じのオフシーズンを計画している」と話している。

グッデルはすでにオフシーズンワークのルールについて、バーチャルなトレーニングの増加やトレーニングキャンプ開始時の立ち上げ期間の延長などを含め、いくつかの永続的な変更への支持を示している。練習生枠の拡大といった各チームからの評価の良かったいくつかの1年限りのルール変更についても、強力な支持が示されている。

2020年のシーズン中に進化していったCOVID-19プロトコルと同様に、これらすべても選手会との交渉を必要とする。COVID-19プロトコルの変更によって、各チームは11月中旬にいわゆる集中プロトコル下に置かれていた。集中プロトコルの下、マスク装着義務を含むその他の制限が拡大している。

【フリーエージェンシー】
最終的なキャップナンバーが分からないうちは予測できない部分があるものの、各チームの関係者はフリーエージェンシー(FA)も通常とは異なる形になると見ている。第一波はまだ稼ぐことができそうだが、その後は1年契約が多発することになるかもしれない。

キャップが下がればそれだけ、ベテランがカットされ、オープン市場に向かうことだろう。また、フランチャイズタグが適用される件数も減りそうだ。少なくとも、昨年の14件を下回ることになるはずだ。

【ドラフト】
今のところ、ドラフトはグリーブランドで4月29日(木)から5月1日(土)に実施されることになっている。しかし、そこに至るまでの各チームの取り組みは、今回も通常とは違ったものになるだろう。

毎年行われるスカウティングコンバインは、周知の通り一部を制限して実施される。個々のワークアウトや施設訪問、ディナー、フィルムセッション等は禁止された。身体検査は対象を限定して行われる。チームがドラフト候補生との間に持つことができる直接対面の機会は、先日終了したオールスターゲームと、来るプロデーしかない。プロデーでキャンパスを訪れることができるのは各チーム3名までであり、州や地元のレギュレーションによってはそれ以下に限られることもある。また、一部では選手との直接接触が制限される可能性もある。

1年前と同じように、各チームは『FaceTime(フェイスタイム)』上で多くの時間を費やし、手を握ることなく選手を指名することになるだろう。

【A】