43歳のQBブレイディは容易にサックできないと理解しているチーフス守備陣
2021年02月05日(金) 00:3743歳のトム・ブレイディをモバイルクオーターバック(QB)だと勘違いする者はいないだろう。G.O.A.T.(史上最高)の称号を得る彼は、ポケットから押し出された際にディフェンダーを置き去りにして疾走するというよりは、流砂をするりとよけていくイメージだ。
タンパベイ・バッカニアーズのQBがスナップ後どこにいるかをディフェンダーはほぼ正確に知っているにもかかわらず、知識豊富なベテランはサックの難しいQBとして今も知られている。
2020年シーズン中、ブレイディが受けたサックはわずか21回。『Next Gen Stats(ネクスト・ジェン・スタッツ/NGS)』によれば、少なくとも300回以上のパスアテンプトがあったQBの中では8番目に低い数字だという。“TB12”は彼よりはるかに若いスーパーボウルの対戦相手、パトリック・マホームズより受けたサックは1回少なかった。
カンザスシティ・チーフスの守備陣は第55回スーパーボウルでブレイディが彼らから走り去っていくことがないとは分かっているが、独特の形で彼がつかまえにくいことを認識している。特にこのベテランQBは微妙に肩をすくめて、手を伸ばしてきたパスラッシャーたちに空を切らせるのがとてもうまい。
「ポケットにいる時のトム・ブレイディの肩を見たことがあるかい? 目を凝らしてよく見てみるべきだよ」とチーフスのディフェンシブエンド(DE)フランク・クラークは『Tampa Bay Times(タンパベイ・タイムズ)』に語った。「彼の肩は時々あり得ない動きをする。俺は詳しくないんだけど、トム・ブレイディって今43歳? いや43歳の人やその年代の人に何か偏見があるわけじゃない」
「だけど、リーグで20年だか30年だかプレーしてきて、それでもまだあんなふうに肩を動かせるなんてなかなかすごいことだぜ。俺と(ディフェンシブタックル/DTの)クリス・ジョーンズはいつもその話をしているんだ。クリスのやつは、(ブレイディが)独特の方法で肩を揺らしたせいでサックに失敗したことがある。完全な空振りに終わったんだ」
スクランブルを使わずに脱出できるブレイディの能力は、他のQBなら地面にたたきつけられているであろう場面でもプレーを生かし続けることができる。
クラークはブレイディのサック回避能力をエスケープの達人、デショーン・ワトソンに例えるほどだ。
「1番はデショーン・ワトソンだと思う」とクラークは述べた。「たまにトム・ブレイディもそのポケットにいる。ほとんど違いが分からないくらいさ」
サックやビッグヒットを回避するTB12の集中力は、彼が40代に入ってもハイレベルでプレーできる理由の1つだ。
「彼は21年かそこらやっているから、倒されない方法を知っているんだ」とチーフスのDEタオン・パスノオは言う。「彼は肩を動かすことですり抜けていくんだ。パットとは別のやり方だ――パットは全く違う獣だよ――でも、トムはポケットの中での技術力が本当にすごい。だから、要は彼の行き場所がどこにもなくなるように、そのポケットをつぶせるかどうかなんだ」
プレー設計とブレイディのスナップ前の知性がサックの回避に重要な役目を果たしている。ブレイディは、たいていのQBより早くボールを出す。NGSによると、スローまでのタイムが平均2.57秒というのは、2020年に300回以上のアテンプトがあるNFLのQBの中で5番目に速かったという。また、バッカニアーズの優れた攻撃ラインもブレイディをうまく助け、ショットが必要な時にQBのポケットをクリーンに保っていた。
チーフスのベテランDEアレックス・オカフォーは、ボールを早く出すだけでなく、ポケットでステップアップできるブレイディの能力が彼をその他多くのQBと区別しているという。
「彼を倒すのが難しい最大の理由は、ボールを早く出すからだ。たいていの状況で、彼はどこにボールを持っていきたいかを決めている」とオカフォーは述べた。
「もう一つは、彼が最初、8から9ヤード下がったところにいるから、俺たちはそのスポットにいるだろうと予想して8から9ヤード深く走るんだけど、いつの間にか彼は5ヤードまでステップアップしているんだ。そうやって彼は多くのサックを失敗に終わらせている。だから俺たちはそれを忘れず、意識して、それに合わせたプランを立てなきゃいけない」
ブレイディの対策本ならもう何年も前から書かれている――プレッシャーをかけること。特に中央に留意して、彼のゲームをさせないことだ。
チーフス守備陣は、日曜日にブレイディを地面に倒すことが口で言うよりも難しいことをよく知っている。
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