ボート上でロンバルディトロフィーを投げた瞬間を振り返るQBブレイディ
2021年03月04日(木) 15:39タンパベイ・バッカニアーズのクオーターバック(QB)トム・ブレイディが第55回スーパーボウルの勝利を祝うボートパレードで見せた、ぞっとするようなロンバルディトロフィーのパスは、近くのボートへの美しい(そしてラッキーな)コンプリーションを果たした。
そのパスの見どころは、ブレイディがトロフィーを振りはじめた瞬間に誰もが思い描いた惨事を免れたということだ。ところがブレイディ本人は、そのような結末が頭をよぎることはまったくなかったと言う。
『The Late Late Show(ザ・レイト・レイト・ショー)』に出演したブレイディは、ジェームズ・コーデンに次のように話している。
「あの瞬間には何も考えていなかった。だから考えというより感覚的に“これはなんだか楽しそうだ”って思ったんだ。言っておくと、あのトロフィーの下の部分はとがっているところが多い。あとで知ったことだけど、あれがインコンプリートパスになっていたら、24メートルくらい下に沈んでいたらしい。(タイトエンドの)キャム(ブレイト)がキャッチしてくれて本当に良かったよ」
トロフィー自体は代わりが利いたとしても、ヘッドコーチ(HC)ビル・ベリチックの指揮なしでブレイディが初めて手にしたロンバルディトロフィーがヒルズボローの川底にあるというのは考えただけでも恐ろしい。そんな現実を想像した人物が少なくとも1人はいた。動画の中で「お父さん、やめてーーー!」と叫んでいるブレイディの8歳の娘ビビアンさんだ。
「あの場で一番まともだったのが8歳の女の子だったなんて。彼女は理性の代弁者だ、まったく」とブレイディは口にした。
近ごろブレイディに理性をたたき込もうとしているのは彼女だけではないようだ。バッカニアーズがフランチャイズ史上2度目となるスーパーボウル優勝に輝いた瞬間、ブレイディはフィールド上で家族を探していた。子どもたちに続いてブレイディのもとに来た妻のジゼルさんは、ブレイディにそれとなく苦言を呈する前に抱擁を交わした。
ブレイディは「彼女を見つけてハグをした瞬間に“これ以上なにを成し遂げたいの?”と言われたんだ」と含み笑いでその瞬間を振り返った。
確かに、ブレイディはこれ以上なにを成し遂げたいと言うのだろうか。NFL史上誰よりも多くのスーパーボウル優勝を果たし、世間には史上最高のQBとあがめられ、最新の勝利は彼が“ペイトリオッツ・ウェイ”だけに頼っていたわけでも、その産物だったわけでもないことを証明した。だがコーデンに説明したように、ブレイディにとってフットボールをプレーするというのは半年間、高速でトレッドミルで走り続けたあとに突然停止ボタンを押されるようなものなのだ。
ジゼルさんが例の質問をした際にブレイディはすぐさま話題を変えようとしたとコーデンに話している。その理由はただ1つ。ブレイディが走り続けるのは、トレッドミルを手放したくないからだ。
バッカニアーズにとって幸いなことに、すでにブレイディは2021年に向けて意気込んでいる。
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