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QBスミスの言い分に「反論はない」とワシントンのリベラHC

2021年03月11日(木) 22:05

ワシントン・フットボール・チームのアレックス・スミス【AP Photo/Derik Hamilton】

劇的なカムバックで賞を取り、そしてリリースという結末を迎えたクオーターバック(QB)のアレックス・スミスが、フランチャイズへの復帰について全てが美しいものばかりでなかったと打ち明けたことは多くを驚かせた。

『GQ』の記事の中で、2020年シーズンを前に、自分がワシントン・フットボール・チームのプランを“壊した”と述べたスミスは、足の大けがの後で自分がもう一度プレーしようとしたことは、“それを想像もしなかった多くの人々を仰天させた”と振り返っている。

ワシントンのヘッドコーチ(HC)ロン・リベラはこうしたスミスのコメントを否定せず、自分も先のことが予想できなかったと認め、ベテランQBのカムバックの見通しについてしばしば恐怖を感じていたと打ち明けた。

「正直に言おう。彼の言ったことの多くを私は否定しない。これは本心だ」とリベラは現地10日(水)、ニュースメディアに語った。「そして、彼と私が真剣に話し合った最大の争点は、われわれのいる場所にたどり着くまでのロードマップがどこにも存在しないことだった。彼に言ったよ、“アレックス、正直に言おう。私は死ぬほど怖かった。何を予想すべきか分からなかったんだ”と。彼はそれを理解したと思う。私は、自分たちがいかに苦しかったかをただ伝えたんだ。誰もが忘れがちだが、アレックスは素晴らしい仕事をした。彼は懸命に努力して、カムバックとプレーが可能なところまで戻ってきた。しかし、言ったように、人々の中にはそれを理解できない部分もあり、われわれはコーチングスタッフとしてあれこれ考えねばならなかった。そして、いつも頭の片隅で、彼がもう一度けがをしたら? という思いがあった。彼がまた足を――あの足を――けがしてしまったら? 彼をフィールドに出し、またけがをさせてしまうことになるのは私なんだ」

ガンと闘いながら、ワシントンチームのHCとしての最初のシーズンを過ごしたリベラはやるべきことを山ほど抱えていた。しかし、スミスをめぐる懸念は決して弱まらなかった。

「彼に言ったよ。私は毎日その思いと戦い、苦しんだと。毎日だ。それはつらかった」とリベラは述べた。「われわれが話せば話すほど、そこには相対する2つの面があることに気づき、やがて彼は言った。“コーチ、今の俺たちがいるところにたどり着くまでのロードマップなどない”と」

スミスはこれからフリーエージェントになる予定だ。彼のシーズンは確かにけがで終わったが、ワシントンのシーズンフィナーレを欠場することになった原因は以前のものとは別の、ふくらはぎのけがだった。

ロースター入りさせるQBをテイラー・ハイニケとカイル・アレン以外に必死で探すつもりはないとリベラは主張し、スミスのリリースはフランチャイズにとって正しい判断だったと考えている。

「多くの要因が絡んでいる」とリベラは述べた。「少なくとも私は、われわれが前に進むためにベストだと思う決断をしたと思っている」

リベラはシーズン前にスミスに手綱を渡すことをためらったと認めているものの、常にスミスの支援者だったワシントンのオーナー、ダニエル・スナイダーは違ったという。

「スナイダー氏はこう言っていたよ。“ロン、もし彼がプレーするなら、私はベテランの彼に賭ける”と」とリベラは述べた。

スミスとたもとを分かったにもかかわらず、今ではリベラも“ベテラン”に賭けるという。

「私はアレックスを知っているし、今年だけをとっても、彼はまたプレーする機会を得るはずだ。きっとそうなると信じている。そして彼は素晴らしい仕事をするはずだ」とリベラは述べた。「そういう男だからね」

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