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職場環境に問題のあったワシントンにNFLが11億円の罰金

2021年07月02日(金) 10:00

ワシントン・フットボール・チームのロゴ【AP Photo/Susan Walsh】

NFLは現地1日(木)、独立した弁護士であるベス・ウィルキンソンが主導した調査によって長年にわたって職場環境が適切ではなかったことが判明したワシントン・フットボール・チームに1,000万ドル(約11億2,000万円)の罰金を科すことを明らかにした。

リーグの声明によれば、コミッショナーのロジャー・グッデルはウィルキンソンの調査に基づき、ワシントンがいじめや威嚇、複数の性的いやがらせの疑い、“職場における全体的な敬意の欠如”を含め、“全体的に、また、特に女性に”対して“きわめて職業倫理に反する”あり方で運営されていたとの結論に達している。

リーグが発行した声明にて、グッデルは「ベス・ウィルキンソンと彼女のチームに、ワシントンのチームの職場文化に対する徹底して独立した調査を行ったことや、彼女の調査結果に基づいてチームと私の両方に一連の思慮に富んだ提言をしてくれたことに感謝したい」と述べた。

「ベスと彼女のチームは彼らの仕事を実にプロフェッショナルで倫理にかなった方法で実行した。最も重要なこととして、ベスと彼女のチームに証言した現従業員と元従業員に感謝したい。彼らはチームの職場環境の改善を促進する、非常に重要な情報を提供した。苦痛に満ちた記憶を思い出すのは信じがたいほどつらいことだ。勇敢にも名乗り出た人々の全員に感謝している」

今後は今週に入ってチームの共同CEOに任じられたターニャ・スナイダーがCEOとしての責任を担い、日々の業務を監督する。ワシントン・フットボール・チームのオーナーであるダニエル・スナイダーは“新スタジアム計画の発展やその他の件”に集中するとのことだ。

『NFL Network(NFLネットワーク)』のマイク・ガラフォロが報じたところによれば、NFLの弁護士であるジャネット・ノバはターニャ・スナイダーが日常業務の管理を担うのは“自主的”な判断であり、ダニエル・スナイダーがその役目に復帰するのに特定のタイムフレームは提示されていないと話した。

2020年8月、NFLはダニエル・スナイダーに組織内の職場における問題の疑いについて調査することを通告した。最初にこれらの問題の存在を明らかにしたのは『The Washington Post』(ワシントン・ポスト)』の報道だった。

スナイダーはコロンビア特別区の法律事務所であるウィルキンソン・ウォルシュLLPのウィルキンソンに、組織の文化や、ワシントン・ポストが2020年7月15日に報じた職場の不祥事についての調査を依頼。ワシントン・ポストは元従業員である15名の女性が性的嫌がらせがあったと申し立てたと伝えていた。チームは後に、ウィルキンソンによる調査の監督をリーグに依頼している。

リーグは1,000万ドルの罰金が“人格教育やいじめ対策、健全な関係性やそれらに関連するトピックに力を入れる組織をサポート”するために使われるとし、さらにこう続けている。

「また、特に女性やその他の過小評価されるグループのための職場改善や、評判の高い第三者のアドバイザーの支援を受けての特定の対象へのリーグを通じたトレーニングおよび発達プログラムのための、より広範にわたるプログラムにも資金が投じられる。われわれは特にワシントンメトロポリタンエリアに拠点を置く組織について、チームからの推薦を求めている」

スナイダーは木曜日に、チームを通じて以下のような声明を発表した。

「過去数カ月に私のクラブがいかに運営されていたかについて多くを知り、われわれの職場がどういった類のものだったかを知った。今はあるべき文化ではなかったことが明らかになった一方、問題の程度や、そういった文化が生まれ、継続するのを許容していたことにおける私の役割について、私は自覚していなかった。一人のオーナーとして、職場について最終的な責任が私にあることは分かっている。これは以前に言ったことであり、ここでもう一度言おう」

「ここで働く中で厳しく、心的外傷につがなるほどの経験をした人々に対し、深い自責の念を抱いている。心から申し訳なく思っている。時間を巻き戻すことはできないが、ここで働く人間は二度とそういった経験をしないこと、少なくともターニャと私がこのチームのオーナーである限りはそうであることを約束する」

「この件に関するコミッショナーの決断に同意し、全力をもって彼の調査による重要な勧告を実施する」

ワシントンの日常業務の監督にスナイダーがいつ戻るかについては示されていないものの、ウィルキンソンによる勧告を受け、大幅な変更が行われる見込みだ。ウィルキンソンは10項目からなる勧告を行っており、ダニエルおよびターニャ・スナイダーはこの施行に同意している。

リーグのプレスリリースによれば、勧告の内容としてはハラスメント報告のプロトコル作成、懲罰行為の計画、定期的な文化調査、定期的なハラスメント対策トレーニング、従業員構成における多様性拡大、明確な権限系統の確立、HR(人的資源)および法務部門の拡大と権限委譲、組織的な新人研修の開発、パフォーマンスマネジメントと補償システム、および退職者面接プロセスの整備、チアリーディングチームの保護、定期的なポリシー再評価が含まれている。

さらに、ワシントン・フットボール・チームには2021年7月31日まで半年に1回の報告義務が課される。チームが選定してNFLオフィスの承認を受けた第三機関がリーグに提出するこれらの報告は、前述の勧告の実施具合や、文化およびその他の調査の結果、退職者および雇用後の面談における“職場に関連するいじめや差別、ハラスメント、性的不品行、もしくはそれらに関連する項目”をある程度示すものを含むすべての苦情について行われる。

これらの措置が実施できなかった場合や、完全に順守できなかった場合は、報告期間が2023年7月以降に延長される可能性があるほか、その他の懲罰が科される可能性がある。

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