カーディナルス戦で初先発の新人QBランス、49ersは長所活用に期待
2021年10月11日(月) 01:48サンフランシスコ・49ersのオフェンスがたった一度のスタートで劇的に変わることはないだろう。
現地10日(日)に開催される今季無敗のアリゾナ・カーディナルスとの試合は、4月のドラフトで49ersから全体3位で指名されたクオーターバック(QB)トレイ・ランスがジミー・ガロポロの代役を務めるものの、ガロポロのケガさえ良くなれば先発の座はガロポロの手に戻る。その点については今週、ヘッドコーチ(HC)カイル・シャナハンが明言していた。事実、ジミーGの愛称で親しまれるガロポロが次戦にもふくらはぎの負傷から復帰するとともに、ランスの先発が一度限りで終わることが望まれている。
とはいえ、ドラフト1巡目指名のQBで唯一、先発出場していなかった選手をしっかりと見られるのは魅力的な機会だ。
ランスはどのような姿を披露してくれるのだろうか? ランスとドラフトまで一緒に取り組んでいたジョン・ベックによると、未来のほんの一部を垣間見せるものになるという。
カリフォルニア州にある『3DQB』のCEOを務める第一人者、アダム・デドーとも連携している評判の高いQBトレーナーのベックは次のように話した。
「コーチたちはトレイにはトレイらしくいてほしいと考え、非常に高い運動能力とダイナミックさを発揮し、持てる力のすべてをオフェンスにもたらしてほしいと思っているはずだ。そういう要素が彼のためのゲームプランに盛り込まれるだろう。そうすれば彼が快適な状態で臨める。彼らはランスが自信を持っているプレーを分かっているだろうから、それに頼ることになるだろう」
身長約193cm、体重約102kgのランスはすでに動き出していた。今季初戦でタッチダウンパスを通してスタートを切ると、先週にも負傷したガロポロの代わりに2回のタッチダウンパスを成功させている。これらのおかげでカーディナルス戦での緊張は和らぐだろう。
「NFLレベルで初めての先発に挑む前に、QBとしてすでにそれを体感しているのは素晴らしいことだ」とベックは言う。
金曜日に決定を発表したシャナハンHCは精通さを強調している。攻撃陣の制約はあるものの、基本的にはランスが得意とする方向性でいくのだ。
シャナハンHCは「ただ座って新しいものを作るだけというのはしたくない。練習は2、3日しかないので、彼ができるだけ落ち着いていけるようにしたい」とコメントしていた。
つまり、劇的な違いはないだろう。しかし、49ersはガロポロにはないかもしれないランスの運動能力というアドバンテージを生かせる。
ベックは「トレイ・ランスになるからといって妙案はほとんどないはずだ。大学時代はROP(ランパスオプション)で活躍していたことから、アスレチック的な要素と指示間違いはあるかもしれない。49ersは49ersであり続けるだろうが、その要素は小さな糸のように織り込まれていくだろう」と語っている。
ドラフトから現在に至るまで、ランスはこれまでに足と腕のタイミングを合わせて時間通りにボールを出すという基礎トレーニングに励んできた。リードと処理の能力を向上させようとしていたのだ。実際、49ersがランスをドラフト指名した理由の1つに彼の頭脳が挙げられる。
10日の試合ではその一部を目撃できるかもしれない。
「ランスは情報の処理能力が高い」というベックは「加えて、彼にはコーチ陣が望むシステムの中で動き回れるだけの運動能力がある。ランでプレーできるという側面がある。彼はそのすべてをフィールドに持ち込める」と続けた。
たとえ1試合だけであっても、49ersは注目を集めるだろう。
【RA】