元レイダースWRラッグス三世は死亡事故前に時速約250km以上で走行していたことが発覚
2021年11月04日(木) 14:37現地3日(水)に検察官が発表したところによると、ラスベガス・レイダースの元ワイドレシーバー(WR)ヘンリー・ラッグス三世は事故を起こす前、ネバダ州が法で定めている基準の2倍にあたる血中アルコール濃度で時速156マイル(時速約251km)を出して走行していたという。この事故では、ラッグス三世の運転していたスポーツカーが23歳の女性が乗っていた車両後部に衝突して炎上し、女性は死亡している。
火曜日の事故発生から数時間後、レイダースは病院を出てラスベガスの刑務所に収容された直後のラッグス三世を放出した。
かつてドラフト1巡目で指名された22歳のラッグス三世は水曜日、酒気帯び運転による死亡事故と危険運転の容疑で開かれた初公判で、首に固定器具をつけ、車いすに座って看守に挟まれた状態で姿を現している。
ケガの程度については明らかにされていないが、クラーク郡地方検事のスティーブ・ウォルフソンは法廷外で、ラッグス三世は足を負傷したと思われると述べた。
ラッグス三世の車に同乗していたラスベガス在住で22歳のガールフレンド、キアラ・ジェナイ・キルゴ・ワシントンは事故で負傷した。当局によると、彼女は腕に重傷を負って火曜日に手術を受けたという。
警察とクラーク郡検視官によると、ラスベガス在住のティナ・O・ティンターさんは大破して燃えたトヨタRAV4(ラヴフォー)の中で愛犬と共に死亡した。記録によれば、彼女は事故が起きた場所から数ブロック先に住んでいたとのこと。
後にウォルフソン検事が被害者の家族であることを確認した男性3人と女性1人は審問に出席したが、報道陣への対応は拒否している。
ラスベガスの治安判事であるジョー・M・ボナベンチャーは事故の内容を聞いた際に困惑したと話しており、16年間の判事生活の中でこれほど高速で走行する車の事故を聞いたことがないと付け加えている。
それにもかかわらず、保釈金を100万ドル(約1億1,000万円)に設定するというエリック・バウマン検察官の要求を却下したボナベンチャー判事は、代わりに保釈金を15万ドル(約1,700万円)とした上で自宅監禁、電子監視、アルコール摂取禁止、運転禁止、パスポートの引き渡しなどの厳しい条件を提示した。
ラッグス三世の弁護士であるデビッド・チェスノフとリチャード・ションフェルドは、保釈は法律上、クライアントが法廷に戻ってくることを保証するためのものであり、彼を罰するためのものではないと主張している。
裁判所の記録によると、ラッグス三世はその後、15万ドルの保釈金を支払ったという。
ボナベンチャー判事は、かつてフットボールのスター選手だったO.J.シンプソンがラスベガスで武装強盗事件を起こしたため彼を刑務所に送り込み、その後、2008年1月にシンプソンが公判前の釈放の条件に違反したとして再び刑務所に戻している。釈放条件に従わなければ、再逮捕されて刑務所に戻ることになると裁判官はラッグス三世に警告した。
キルゴ・ワシントンの負傷に関連して、ウォルフソンはラッグス三世に対して2度目の飲酒および薬物の影響下での運転(DUI)で提訴するつもりだと法廷外で述べた。ボナベンチャー判事は2人の間に3歳の娘がいることを指摘している。
地方検事はラッグス三世が酒気帯び状態で銃を所持したことに関連して、武器使用についても提訴する可能性があると述べた。警察は事故後、車の床に弾の入った銃を見つけたと報告している。
バウマンは判事に対し、ラッグス三世が乗っていたシボレーコルベットがアメリカ西部時間2日(火)午前3時40分頃、トヨタ車に衝突する前に時速156マイル(時速約251km)から127マイル(時速約204km)まで減速し、トヨタ車の燃料タンクが破裂して火災が発生したことがエアバッグのコンピュータの記録で示されたと伝えていた。
ラッグス三世は警察や医療関係者に非協力的であり、事故後2時間以内に測定された血中アルコール濃度は0.16%だったと、バウマンは語っている。警察は声明の中ですでにラッグス三世が「機能障害の兆候を示した」と明かしていた。
検察官は裁判官に対し、2013年以降、NFL選手会(NFLPA)はライドシェアサービスと契約して「特に今回のような悲劇を防ぐために」会員に無料で交通手段を提供してきたと述べている。
ネバダ州ではDUIによる死亡事故やDUIによる重傷事故を起こした罪で有罪判決を受けた場合、保護観察の対象にはならない。どちらとも2年から20年の懲役刑が科せられる可能性がある。さらに、危険運転の罪では1年から6年の刑期が科せられる可能性があるため、有罪となった場合にラッグス三世は最長で46年の獄中生活を強いられる可能性があると、バウマンはボナベンチャーに強調した。
資産台帳によると、ラッグス三世は事故のあった場所から遠くない地域に110万ドル(約1億3,000万円)の家を所有している。
ウォルフソンによると、彼は月曜日の深夜にラスベガスのスポーツエンターテイメント施設であるトップゴルフ(TopGolf)に数時間滞在しており、事故の前にはさらに数時間、友人宅にいた可能性があることが捜査当局の調べで分かったという。
目撃者はダッジ・デュランゴのSUVから複数人が降りてきて、事故現場のコルベットの後ろに駐車したと警察に明かしている。警察と検察は当時その車に誰が乗っていたかを明らかにしていない。捜査は継続中だとウォルフソンは言う。
ラッグス三世は11月10日(水)に再び法廷に立つ予定だ。
レイダースは裁判所の動きを待たずに、火曜夜に短い声明を出してラッグス三世の放出を発表している。
チームとリーグはその日のうちに亡くなった女性の家族に哀悼の意を表し、NFLは「この悲惨な事故」について事実関係を調査すると約束した。
ラッグス三世はレイダースの礎となるはずだった。アラバマ大学で3年間を過ごす中で、2017年には1年生でありながらクリムゾン・タイドのNCAA優勝に貢献するなどの活躍を見せ、2020年ドラフトでは全体12位で指名された。
今季は24回のキャッチでチーム最多の469ヤード、タッチダウン2回を記録し、スター選手として活躍していた。2020年には新人としてキャッチ26回、452ヤード、タッチダウン2回をマークしていた。
ジョン・グルーデンが2018年にチームに採用される前に送ったメールをめぐってレイダースのヘッドコーチ(HC)を突然辞任した3週間後に今回の事故は起こった。グルーデンにメールには人種差別的、同性愛嫌悪的、女性蔑視的なコメントが含まれていたと『The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)』が報じた後に辞任している。
AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)西地区をリードするレイダース(5勝2敗)は暫定HCのリッチ・ビサッチアの元で2連勝していたが、今週はヤード数でトップを誇るWRを欠いてフィールドに戻ってくる。日曜日にはニューヨーク・ジャイアンツ(2勝6敗)と対戦予定だ。
水曜日に事故後初めて報道陣の前に姿を現したビサッチアHCは次のように述べた。
「はじめに、被害者のご家族に心よりお悔やみ申し上げます。昨日の朝、1人の人物が命を落としました。この悲劇的な出来事について話すときは、そのことに集中することが重要だと思います。影響を受けた方々、特に被害者のご家族のことを思うと深い悲しみを覚えます。しかし、私たちはヘンリー・ラッグスを愛していますし、彼にもそれを知ってもらいたいと思っています。恐ろしいほどの判断ミスは、彼が一生背負っていかなければならないものです。事態の深刻さはここにいる誰もが理解しており、被害者の方には衷心より哀悼の意を表します」
【RA】