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セインツQBブリーズ、約45億円保証付きで契約延長

2016年09月09日(金) 12:44

ニューオリンズ・セインツと契約延長をしたドリュー・ブリーズ【AP Photo/Winslow Townson】

圧倒的な影響力を生かして交渉期限を迫ったニューオーリンズ・セインツのクオーターバック(QB)であるドリュー・ブリーズが規格外の契約を勝ち取ることに成功した。

7日(水)、『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートがブリーズとニューオーリンズ・セインツが契約延長に合意したと伝えた。ブリーズは今後2年間、4,425万ドル(約45億3,000万円)の全額保証を受けて2016年は2,000万ドル(約20億5,000万円)以上を手にし、さらには3,000万ドル(約30億7,000万円)のサインボーナスも獲得したという。

NFLネットワークのマイク・ガラフォロが伝えるところによると、今回は5年契約で以前の2年契約を取り消し、トレード条項は含まれていない。2016年のブリーズのサラリーキャップへのヒットはこの契約により大きく引き下げられた。

あと2年以上はNFLでプレーするつもりだと明かしたブリーズは「いつも言ってるように、契約なんてただのプロセスの一部だ。俺もチームもハッピーさ。特に俺はハッピーだね。ここでプレーして全キャリアを終えたいんだ。チームが必要としてくれる限り、俺はこのチームにいるさ」とコメント。

5年1億ドル(約102億4,000万円)契約の最終年として、今季に1,975万ドル(20億2,000万円)を得るブリーズはシーズン開幕と共に交渉を打ち切ると警告していた。ブリーズは2017年のフランチャイズ指定が4,320万ドル(約44億1,000万円)という法外な上限に達するため、契約交渉の際に自身にとって有利に働くことを知っていたのだ。

セインツがもしその数字を満たそうとしなかった場合、ブリーズは来年3月に最高額をオファーしたチームへの移籍をほのめかして圧力をかけることもできた。簡単に言えば、今回の契約はオフシーズン史上、最も厄介で扱いにくいものだったのである。

2014年11月を振り返ると、ラポポートはセインツがすでにブリーズが退いた後についても考えていると報じており、セインツのフロントは2016年のドラフトが始まる前、全体1位でQBを獲得するためのトレードアップについての話し合いの場を設けていたとも伝えていた。

たとえニューオーリンズ首脳陣がこの先10年間で37歳のQBブリーズを使いたがらなくても、彼らはブリーズが足底筋膜の断裂や右肩の回旋筋腱板(かいせんきんけんばん)負傷による“惨めで哀れな痛み”を経てプレーし続けてきたことを慰めととることもできる。

2015年にブリーズが残した成績は2009年度のスーパーボウルに出場したシーズンの成績と驚くほど似ていた。ブリーズは過去3シーズン全てにおいてQBレーティング70以上のスコアを記録した唯一のQBである。

最近ではある攻撃コーディネーター(OC)が『ESPN.com』のマイク・サンドに対し、ブリーズの正確性と肩力が昨シーズンに初めて落ちたと語ったが、守備コーチは近い将来には予想された能力の低下だと言うにとどまった。

守備コーチは「悪くなっているとは思わない。ブリーズは彼自身が作り出したキャラクターの犠牲になっているのだ。もう一度、ホノルルでクオーターバックチャレンジをやってみようじゃないか。35ヤード離れたカートにブリーズがボールを投げ入れるのを見てみよう」と述べている。

ブリーズはチームの看板を背負っているだけでなく、セインツのユニフォームが最も似合う限りなく重要なプレーヤーである。

セインツがNFLに加入した1967年から2005年にかけて、ニューオーリンズのオフェンスが上位5チームに入ったのはたったの2回だ。10年前、NFL史上最も偉大なフリーエージェントの1人としてブリーズがセインツに加入して以来、2010年に6位だったことを除けば、セインツのオフェンスは毎年上位5チームに食い込んでいる。

地元紙『The Times-Picayune(ザ・タイムズ・ピカユーン)』によると、セインツのブリーズ時代(2006年から2015年)は49ersのジョー・モンタナ/スティーブ・ヤング時代(1982年から1996年)とカウボーイズのロジャー・ストーバック/ダニー・ホワイト(1970年から1983年)に次ぎ、10シーズン連続でオフェンスがNFL上位10チームに入るという歴史的な快挙を達成。

かつてサンディエゴ・チャージャースのQBであったブリーズを1度目の投票で殿堂入りが決まるようなニューオーリンズのスター選手へと変ぼうさせたのはHCペイトンだ。ブリーズとHCペイトンが共に低迷期のセインツを救った。ブリーズはヘッドコーチ(HC)のショーン・ペイトンがいるうちに自身のキャリアに幕を閉じるのが相応しいのではないだろうか。